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田原総一朗「『切れ目ない安全保障』を批判した朝日新聞のトンガリ」

2015-03-25 03:16:47 | シェアー

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田原総一朗「『切れ目ない安全保障』を批判した朝日新聞のトンガリ」

(更新 2015/3/23 07:00)
※イメージ写真

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 ジャーナリストの田原総一朗氏は、朝日新聞のある社説は読み応えがあったとこう評価する。

*  *  *
 昨夏の、いわゆる朝日新聞問題が生じて以後、率直に言うと朝日新聞の記事がいまひとつ精彩を欠いていると思えてならなかった。

 昨年8月5日の総括特集で、朝日新聞は吉田清治氏の証言が偽りであったことは認めたが、まるで朝日新聞が吉田証言の被害者のような書き方で、偽りの報道を繰り返し行って多くの読者に迷惑をかけた加害者としての責任を取らなかった。海外の報道に与えた誤った影響の責任もあり、その謝罪と反省を欠いたのは大いに問題があった。

 だが、政府をウォッチして、政治権力に対して厳しい姿勢で臨むという朝日新聞のあり方自体に問題があったわけではない。朝日新聞とは異なる姿勢の媒体から、さまざまなかたちの激しい「朝日バッシング」が行われたが、こうしたバッシングには屈せず堂々と戦ってほしかった。政治権力に対する厳しい姿勢は変えないで貫いてほしかった。今の紙面を見てその姿勢が変わったとまでは思わないのだが、気のせいか鋭さ、トンガリが少々引けているように感じられたのである。 

 そんな中で、3月9日の朝日新聞社説「安保法制の与党協議 立ち止まって考えること」は、トンガっていて読み応えがあった。

 社説はまず、武力行使の新3要件などを定めた昨年の閣議決定のタイトルである「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」から、キーワードとして「切れ目のない」という言葉を抽出する。

 そしてこの言葉について、いきなり「『切れ目のない』は『歯止めのない』につながりかねない」と問題点を指摘している。

 たとえば「海上保安庁と自衛隊が緊密に協力し、切れ目のない態勢を敷く」ことは、「逆に言えば、小競り合いを止める間もなく事態がエスカレートし、軍事衝突に発展する危険性をはらむ」と危ぶみ、「ならば、むしろいったん切れ目を置いて、起きてしまった紛争を最小限にとどめる方策を考えるべきではないか」と言い切る。

 さらに、問題の「ホルムズ海峡の機雷除去」について、「肝心な点はうやむやである。それなのに公明党は『歯止めをかけた』と言い、政府・自民党は『将来に行使可能な余地を残した』と考える」と、両党の思惑が大きく食い違い、あいまいさを残している点を鋭く指摘している。

 ともかく、政府・自民党は、何とかして自衛隊の制約を外そうとはかっているのである。そして、その典型が「他国軍の後方支援をめぐる恒久法の議論」だと指摘する。

「その後方支援は『現に戦闘の行われていない地域』で活動を可能にするという。これもまたあいまいで、制約がないに等しい。戦闘が始まれば活動を休止・中断するというが、自衛隊員の危険は格段に高まる。政府・自民党の狙いは自衛隊の活動範囲を広げ、できる限り他国軍並みにすることだ。視線の先には将来の憲法改正や国防軍への衣替えがあるのだろう」

 今回の社説は、具体的な事例をいくつも示して、安倍政権が集団的自衛権の行使の範囲を何としても、できるかぎり拡大しようとしている危険性を直接話法で訴えている。「切れ目のない」ではなく、いったん「切れ目」を置くことが必要であり、「立ち止まって考えよう」という主張には、きわめて説得力があった。

週刊朝日 2015年3月27日号

 



戦争法制をめぐる直近の動きについて

2015-03-25 02:57:22 | ご案内

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戦争法制をめぐる直近の動きについて

2015年3月24日

昨年7月1日に強行した憲法違反の「集団的自衛権」行使容認の閣議決定を実体化させるために、戦争関連法が、今通常国会への提出に向けて準備されています。3月23日までの動きについて、ポイントをまとめましたので、掲載します。


2月13日に始まった自公の与党協議は、ほぼ毎週金曜日午前に開かれ、3月20日の第7回協議で「安全保障法制の大枠」が合意されました。膨大・多岐にわたる内容で、しかも閣議決定になかった分野の問題まで持ち出された与党協議がわずか7回で終了したのは、「熟議」の体裁を持たせつつ、政府・自民党の予定通りに20日の「まとめ」に持ち込んだもの。この「期限」は、与党協会座長の高村自民党副総裁が3月26日に訪米し、戦争法制の内容を米政府に報告しようとしていることに合わせたともされています。

当初想定された4月28日(火)での戦争法案の閣議決定は、連休後(5月中下旬?)に持ち越される見込みが強くなりました。「法案の条文を見てから」という公明党との調整に時間がかかりそうなことが理由と考えられており、4月中旬までに法案の条文をまとめ(「要綱」の形?)、与党協議が再開されることになっています。しかしこれも、「公明党の抵抗」と「自民党の譲歩」を演出する場であり、作業は外務・防衛官僚と内閣法制局の手で進められます。ポイントは、「切れ目のない」(目一杯の)戦争法制のために、憲法9条との関係でどう正当化(弁解)するかが条文づくりの焦点で、憲法上、また法律適用上、あいまいで恣意的な解釈ができる文言に満ちた法案となるでしょう。

安倍首相は4月26日から訪米(5月3日帰国)、日米首脳会談で戦争法制づくりに米側の「支持・称賛」を得ようとしています。首脳会談のテーマは、イスラム国問題、ロシア・ウクライナ問題、TPP問題、対中国政策、戦後70周年の「安倍談話」と歴史認識など多いと思われますが、「日米同盟の強化」が基調となるでしょう。首脳会談とあわせて日米安保協議委員会(「2+2」=外相・防衛相+国務長官・国防長官)が開かれ、日本の戦争法制の内容を前提とした「日米防衛ガイドライン」の再改定が行われる予定です。その腹合わせのため、3月下旬にデンプシー統幕議長が来日、また4月初旬にヘーゲル国防長官も来日し、安倍首相以下の政府関係者との会談が行われます。このスケジュールは、日本の国会が成立させてもいない戦争法制を、国会承認の必要がない「政府間合意」で先取りして、「国際約束だから」と法案通過に圧力をかけるものです。1997年のガイドライン改定で「周辺事態」を盛り込み、99年に「周辺事態法」を強行成立させた手法の再現であり、国会の立法権に対する侵害行為です。

これらのことから、6月24日に閉会予定の通常国会は、1ヶ月以上(政府・自民党は8月10日まで47日)の延長がすでに語られています。国会では、少なくとも安全保障委員会(衆院)、外交防衛委員会(参院)ではなく、特別委員会がつくられ、そこで審議される可能性が大きいと思われます。特別委員会の開催日はほぼ連日となり、「約80時間」(自民党国対委員長)の消化が促進されるでしょう。委員の構成では、社民党などは参加できなくなる可能性が大きく、また一方で維新の党などは、より「柔軟」な対応を打ち出しています。このため野党間の協力がしっかりできるか不透明な状況で、政府・与党の予定通りに進むことになりかねません。これを止めるには、大規模で粘り強い反対運動を、全国で起こすことが不可欠です。