改め Objective Technician

はぐれ技術者のやりたい放題

力むほど力が出ない

2006-06-26 22:08:22 | 陸上競技
無駄な力とは何か。リラックスするとはどういうことか。



筋肉は縮むことは出来ても自力で伸びることは出来ないから全て対になってくっついていて、一方は関節を曲げてもう一方は関節を開く役目を担っている。


従って動きを単純化してしまえば一方の筋肉が縮んでいるときはもう一方は何にもする必要は無い。ただ力を入れずに伸びてるだけ。


でも、人間の動きはこんなに単純じゃないから伸びてる側の筋肉も微妙に収縮して全体のバランスをとっている。


ここで、この伸びてる側の筋肉の収縮が強くなってしまうとどうなるか。

反対側で縮んでる筋肉と関節を境に綱引きをしてるような状態になる。


力の大きさは単純な足し算だから、本来伸びてるだけでいい筋肉に力が入るほど縮んでる筋肉で出力されている力は相殺されて全体で出力される力の大きさは小さくなる。
これを共縮という。

いわゆるがちがちした硬い動き。


具体的に言うと、地面を押してるときはモモの裏の筋肉、足を前に振り出すときはモモの表の筋肉だけを使えばいいものを、速く動こうとすると次の動作に早く入ろうとするため裏がまだ縮んでる最中に表も縮もうとしてしまうことになる。


これが、力むと遅くなる理由。

踏み切り前のテンポアップで動きが硬くなり、減速する理由。


筋肉量が少なくても速い人は表と裏で力を入れる筋肉の切り替えのタイミングがぴったり合っていて、しかも縮んでいない筋肉は伸びっぱなし。だから効率が非常に良い。藤光とか高平さんとか。


ボディービルダーが遅い理由は、体中共縮しまくってるから。


力を出力する時間が短いほど、表と裏で縮む時間が重なりにくくなるから共縮が起こりにくくなる。


これが、接地は短いほうが良い理由。


いつもやってる流しは、周期的に変わる、力を抜くべき部位を意識的にリラックスさせて表と裏で緊張と弛緩が交互に入れ替わるのを確かめながら走るのが理想なはず。ただ全体の筋肉の力を抜いてゆっくり走るのではない。


どうすれば共縮をなくせるかというと、方法は2つ。


1:ひたすら走る。根性練の本当の目的は、辛くなってきたときに自然に効率の良い楽な動きをするようになること。

2:初動負荷理論に基づいた練習をする。簡単に言うと、初めに瞬間的に大きな力を出してあとは惰性で負荷を動かす練習。ハードルジャンプとかメディシンボール投げとかのプライオメトリックがこれ。



以上は総体の宿に置いてあったA新聞の端っこにちょこっと書いてあったのをたまたま読んで、それをヒントに総体でいろんな選手を見て自分なりに広げた考え。


そう思ってたら、ネット上でこれについての話がいっぱい見つかった。

今まで自分が知らないだけだった。






共縮をなくす方法その3:改造人間になる。

ショッカーのあの身軽で無駄のない動きは共縮してたらとても実現できない。

是非その秘密を知りたいものだ。



残念ながら勤務地が遠い。