spin-off 80’s

誘惑の風



『ドキドキする』
誘惑の風は前触れなく訪れる

ひとり旅大好きな後輩と久々のサシ呑み

居酒屋からラーメン屋へと梯子は毎度のパターン

ほろ酔い状態で最終バスに乗り込み後輩に手を振る

時刻は23:59

日付が変わるなぁと思いながら車内を見渡すと

自分が座る席を挟んで左側の席に綺麗な女性が

女性もほろ酔い状態のようで車窓から景色を眺めている
歳は20代後半から30代前半ぐらいだろうか

じっと見ていると変に思われるので焦点が合わないようにしつつ視線は女性に

すると女性はスカートの下からのぞく素敵な足を擦るようにマッサージを始めだした

その行為に胸が高鳴り高揚する自分

女性は自分が見ていることに気づいているのか、気づいていないのか足を摩り続けている
最早自分はチラ見では我慢出来ない状態に

隣の席に座って


『大丈夫ですか?』


と、声をかけようか悩みはじめる自分

バスのアナウンスが自分が降りる場所を告げるまで葛藤は続いた
付き合っている彼女の顔や過去の不徳な行為が過る

「やめろ!」と言う声
「チャンスを逃すな」という甘い声

すると突然に

自分が降りるバス亭の名が車内に響きわたり我に返る

ここまでか…

いや、良かったんだと席を立つと

まさか!

自分よりワンテンポ遅れて女性が席を立つ

同じバス亭なんだ!

興奮している自分
理性が崩壊しつつある自分

バスを降りて自分の家の方向に歩き始めると

女性の足音が後ろから聞こえる

ついてきているのか?

少しパニック状態な自分

振り返りたいが振り返る勇気がない
であれば、歩くスピードを落として様子をみよう

パニックな割に小狡い行為

すると…

ほんの一瞬で女性は自分の横を通り過ぎていった

綺麗な横顔と甘い香りが目と鼻を刺激する

追いかけるべきなのに足が動かない

後ろ姿も素敵な女性は交差点を渡り自分とは逆の方向へ

交差点に立ちつくしていた自分は

正解だったのだろうか?
間違いだったのだろうか?

そんな事を考えながら項垂れ気味に歩き始めると
少し冷たく感じる風が吹いていた




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