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両手を広げて(1)

2019-11-09 08:55:34 | 童話
『お母さん、僕ね、夢の中で空を飛んでいたんだよ。』
『あらっ、すごいわね。』
『両手を広げて、ビューンと飛んでいたんだよ。』
お父さんは
『夢は何でもできるけれど、本当は飛べないよ。』
だけど、僕は飛べると思う、夢の中で飛んでいたから飛べるんだ。

『お母さん、僕ね、また夢の中で空を飛んでいたよ。今度はね、パラグライダーを付け飛んでいたんだよ。』
『あらっ、すごいわね。』
お父さんは
『少し現実味のある夢になったな。』
と言ったが、すごいねとは言わなかった。
僕はできそうな気がする。
そして、今晩はどのようにして空を飛ぶのか楽しみだ。

『お母さん、僕ね、また夢の中で空を飛んでいたよ。今度はね、ヘリコプターを操縦していたんだよ』
『あらっ、今度はすごいわね。』
お父さんは
『そうだなぁ、努力すれば可能性のある夢だな。』
と言ったが、すごいねとは言わなかった。
僕は大きくなったらヘリコプターに乗ろうと思った。

『お母さん、僕ね、また夢の中で空を飛んでいたよ。今度はね、ジェット旅客機を操縦していたんだよ。』
『あらっ、すごいわね。』
お父さんが
『いっぱい努力しないとなれないよ。』
と言って、ガンバレと言った。
僕は努力してジェット旅客機を操縦しようと思った。

僕とお兄ちゃんと(3)

2019-11-08 08:53:55 | 童話
そして、今度はお母さんの時よりもうまくできたので、お兄ちゃんからオヤツをいつもよりたくさん貰えました。
僕もうれしいですが、お兄ちゃんもうれしそうに僕の頭と体をいっぱいなでてくれました。
お兄ちゃんが
『ポチは何でもできるからえらいね。』
とほめてくれました。僕はコックリ、コックリとうなずいて、体全部で喜びました。
みんなに何がうまくできるようになったか教えてあげるね。
それはね、後足だけで歩けるようになった事だよ。チンチンは立ったままだけれど、僕は歩けるようになったんだよ。

お兄ちゃんやお母さんは両足で歩いているのに、僕だけできなかったんだ。
えっ、犬は四本の足であるいて、人間は二本の足で歩くんだって?
うん、いつも公園で会う犬は四本の足で歩いていたけれど、人間の僕は二本の足で歩いていなかったんだ。

ええっ、僕は人間ではなくて犬なの?
だって、僕は家の中でご飯を食べたり、寝たり、ソファの上にお母さんと一緒に座ったりしているし、お外へはクツを履いて行くし、お兄ちゃんやお母さんと同じだよ。僕はしゃべれないだけだよ。

だけれど、僕は今、しゃべる練習をしているんだ。
ウ~ウワン、ワンワワワワン、ウ~ウワウ、ウ~~~ウン、ウワウワウン。
まだ、みんなには分からないみたいだけれど、もう少ししたら、みんなとお話しができて、お兄ちゃんに
『ポチは何でもできるからえらいね。』
とほめてもらおうと頑張っているんだ。

     おしまい

僕とお兄ちゃんと(2)

2019-11-07 06:52:15 | 童話
僕はオヤツが大好きです。
みんなの言うとおり僕ができるとオヤツをくれます。
お母さんと散歩に行く時に、お母さんはオヤツを持っていて、時々僕にくれます。
だから、僕はオヤツを欲しい時はお母さんの顔を見ます。
お母さんの手に載っているオヤツはすごくおいしいです。

僕は運動が大好きです。お兄ちゃんと公園へ行った時はお兄ちゃんと駆けっこをします。
だけれど、お母さんと一緒の時は駆けっこをしません。
お母さんの時の運動は、お手・お代わり・チンチンだけです。
僕はお手とお代わりは得意ですが、チンチンはあまり上手くありません。だから、お兄ちゃんに教えてもらって一生懸命に練習をしています。
うまくできるようになったら、もっとたくさんのオヤツをもらえるかな?

昨日はあまりうまくできませんでしたが、お母さんはオヤツをくれました。
きっと特別にくれたんだね。だから、今はもっと上手くできるように頑張っているんだ。
何度もやって、やっと上手くできるようになったので、お母さんがオヤツをくれました。

やっぱりオヤツはおいしいなあ。
兄ちゃんが学校から帰って来た時にうまくできて、たくさんのオヤツをもらえるとうれしいなあ。

僕とお兄ちゃんと(1)

2019-11-06 06:50:10 | 童話
僕は毎朝、お兄ちゃんと近くの公園へお散歩に行きます。
いつも公園へ行く途中で、犬を連れたおじさんに会います。
『やあ、おはよう。今日も元気だね。』
『おじさん、おはようございます。はぃ、元気です。』
家に帰ると、僕達はクツを脱いで家にあがります。そして、お兄ちゃんはゴシゴシと手を洗いますが、僕は手を洗いません。

『朝ご飯を食べるわよ。』
『はあ~い。』
そして、お兄ちゃんはコップで牛乳を飲みますが、僕はお皿で牛乳を飲みます。
『牛乳はおいしいよね。』
とお兄ちゃんが言ったので、僕はコックリとうなずいて返事をしました。
それから、みんなで朝ご飯を食べます。
『今日の朝ご飯もおいしいね。』
僕はまたコックリとうなずいて返事をしました。

朝ご飯が終ると、お兄ちゃんは学校へ行きます。
だけれど、僕は小さいので学校も幼稚園も行きません。
そして、お父さんは会社へ行くので、僕はお兄ちゃんとお父さんの二人を玄関で見送ってからソファに座って、お母さんが食器の片付けとお洗濯が終わるのを待っています。
お母さんが全部終るとソファの僕の隣りに座って、僕の頭をなでてくれます。

お兄ちゃんと散歩に行っている時も楽しいのですが、お母さんと一緒にソファに座っている時も楽しいです。
お母さんは時々僕を散歩に連れて行ってくれますが、お兄ちゃんのように毎日ではありません。

ドッコイショ(3)

2019-11-05 06:49:36 | 写真
これから、おじいちゃんと一緒の時は、おじいちゃんとドッコイショとヨイショと言う競争をしようと思いました。
だけれど、僕が中学生になった時におじいちゃんとドッコイショとヨイショの競争ができなくなりました。
僕は時々、おじいちゃんのいる空に向って大きい声で
『ドッコイショ』
『ヨイショ』
と言っています。

いつかおじいちゃんが高い空から、僕と競争するみたいに、もっともっと大きな声で
『ドッコイショ』
『ヨイショ』
と言ってくれると思っています。
おじいちゃんのドッコイショやヨイショが聞こえるのはいつなのかなぁ。

おしまい