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ぼく(2)

2019-09-15 10:44:06 | 童話
ぼくは生まれる前からいろいろな事を知っていたし、妖精とお話しをしていたんだよ。
今も妖精が見えるけれど、大人の人には見えないんだって。
お姉ちゃんやお兄ちゃんも大きくなったので、妖精は見えないと思うよ。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも、小さい頃にはみんな見えていたんだけれど、見えていた事を忘れてしまっているんだ。

ぼくもみんなと同じように、大きくなると忘れてしまうのかな?
きっとそうだよね。
だからいろんなものが見えている今が一番忙しいんだ。
大人の人は、ぼくが忙しくしている事を知らないだけなんだ。

昨日は家で飼っている犬とお話しをしていたし、今日は、さっきまで遠い外国の赤ちゃんと楽しくお話しをしていたんだ。
遠い所と何も使わないでお話をする事を、大人の人はテレパシーと言っているみたいだね。

お母さんがお父さんに、新生児健診でぼくを病院へ連れて行くと言っていたけれど、他の赤ちゃんとお話しができるから楽しみだなぁ。
大人の人は僕達がお話しをしていることが分からないけれど、病院に居る時みんなとたくさんお話しをしているんだよ。

何のお話しかって?
みんな、自分のお母さんの自慢をするんだ。
『ぼくのお母さんが一番美人だよ。』
『ぼくのお母さんの方が優しいよ。』
『ぼくんちの方が、兄弟が多いよ。』

僕達は、まだしゃべることができないけれど、みんなとは目と目でお話しをしているんだ。だからたくさんの赤ちゃんでお話しをしている時は、あっちを見たり、こっちを見たり、忙しいんだ。

ぼく(1)

2019-09-14 08:56:28 | 童話
今、産まれて十日目のぼくは、お母さんに抱っこをしてもらって幸せです。
あれっ、お父さんとお姉ちゃんとお兄ちゃんが居ないよ。そうか、今日は、お休みの日ではないんだ。
お父さんは電車に乗って会社へ行ったのかな?
ぼくは、生まれてから外へ出たことが無いので電車に乗ったことがありません。
だけれど、お母さんのお腹の中に居る時にお母さんと一緒に電車に乗ったことは覚えているんだ。電車はゴトンゴトンと楽しかったよ。

お姉ちゃんは自転車に乗って中学校へ行ったのかな?
ぼくがお母さんのお腹の中に居る時は転ぶと危ないので、お母さんは自転車に乗らなかったんだ。
だから、ぼくは自転車は知りません。

お兄ちゃんは歩いて小学校へ行ったのかな?
ぼくもお母さんのお腹の中に居る時に、お母さんといっぱい歩いたよ。歩くのも楽しいよね。
だけれど、お母さんが歩いていない時に、お腹の中のぼくだけが歩いて、お母さんのお腹を中からギュ~と押したことが有ったんだ。
その時、お母さんは
『あらあらっ。』
と言っていたんだ。
ぼくがドンドン大きくなっていくと、お母さんのお腹の右側や左側がニュー、ニューと膨らんで、そのたびにお母さんが
『あらあらっ。』、
『あらあらっ。』
と言っているのを、ぼくはお腹の中で聞いていたんだけれど、楽しかったよ。

夢の交換(6)

2019-09-13 06:32:23 | 写真
次の日、僕は運動会でリレーをしている夢を見たので、朝起きてから「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませました。
そして、そのゴム風船を学校の近くの家の大きな犬の所へ持って行ってパチンと風船を割ってみました。
すると、大きな犬はまた寝てしまい、寝ながら走っているように前足と後足を動かし始めました。そして、口にくわえた何かを僕に渡そうとしました。
『あっ、リレーでくわえたバトンを僕に渡そうとしているのだ。』
大きな犬は今度も僕の持ってきた夢を見ているのだと思いました。

学校で、この大きな犬が、僕の持ってきた夢を見ていたことを友達に話しました。
『へぇ~、すごいね。』
『犬にも夢をあげられるんだ。』
『僕の家で飼っている猫に夢をあげてみようかな。』
そして、クラスのみんなで、自分の家で飼っている犬や猫やハムスターや金魚や亀に夢をあげてみることにしました。

犬を飼っている友達は、犬に海水浴へ行った夢をあげました。
そうすると、寝ながら泳いでいました。

猫を飼っている友達は、猫にお父さんと魚釣りに行った夢をあげました。
そうすると猫は両方の前足を前に出して釣竿を持っていました。

ハムスターを飼っている友達は、ハムスターに野球をしている夢をあげました。
そうすると、寝ながらバットを振ってから走る格好をしていました。

金魚を飼っている友達は、金魚に縄跳びをしている夢をあげました。
そうすると、寝ながらピョンピョンと跳んでいました。

亀を飼っている友達は、亀に運動会で組体操をしている夢をあげました。
そうすると、寝ながら後ろ足でふんばり、両方の前足をピーンと伸ばしていました。

今度、僕は動物園で、象やキリンやカピバラにも、いろいろな夢をあげてみようと思っています。

   おしまい

夢の交換(5)

2019-09-12 06:48:36 | 童話
朝、僕がパジャマの胸ポケットを探しましたが夢の入ったゴム風船は有りませんでした。
学校で友達に
『クワガタを捕まえた夢を見たよ。』
と言ったら、友達も
『カッコいいカブトムシの夢を見たよ。』
と言いました。
『やったあ、成功だ。』
『そうだね、成功だね。』

それから、僕が海へ行った夢を見た時は、山へ行った夢を見た友達と夢の交換をしています。そうすると、二人とも海と山と両方へ行ったことになるのです。
そして、学校へ持って行って、たくさんの友達と夢の交換をして楽しんでいます。

僕はまたクワガタを捕まえた夢を見たので、今度は別の友達と夢の交換をすることにして、夢の入ったゴム風船を大切に持って学校へ行っている時に、学校の近くの家の大きな犬が『ワン』と吠えたので僕は大切に持っていた夢の入ったゴム風船を落としてしまいました。そうすると、ゴム風船が割れて、まばゆく光りました。

ゴム風船が割れてすぐに、大きな犬は寝てしまいました。
そして、寝ている犬が前足で何かをさわるようにし始めました。その後、顔を振りながら前足で鼻に付いている何かを取ろうとし始めました。
僕は、この犬はクワガタに鼻を挟まれている夢を見ているのだと思いました。

夢の交換(4)

2019-09-11 08:25:11 | 童話
ある日、僕はカブトムシを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませました。
そして、友達はクワガタを捕まえた夢を見たので、「夢っ!」と言ってゴム風船を膨らませて学校へ持って来て交換することにしました。

夢の入ったゴム風船は、白くてフアフアしているので、夢を持って行く時は、ゴム風船が割れないように大事に持って行きました。
僕のカブトムシも友達のクワガタも大きくてかっこよかったので、夜に夢を見るのが楽しみです。

僕も友達も、夢の入ったゴム風船を大事に家に持って帰り、胸のポケットにゴム風船を大事にしまって布団の中に入りました。
『楽しみだなあ。』
そして、僕は友達が見たクワガタを捕まえた夢を見ました。大きくてカッコいいクワガタ でした。