1年だけの友達(1)

2019-10-27 09:05:57 | 童話
私はこの家の玄関の横に生えている小さな草で、小さなお花をたくさん咲かせます。
だけれど、お花の本には私の名前はのっていません。

この家の女の子は私を大切にしてくれて、毎朝、学校へ行く時に
『小さなお花さん、おはよう。行ってきます。』
と言ってくれます。

そして、学校から帰ってくると
『小さなお花さん、ただいま。今お水をあげるからね。』
とお話しをして、お水をかけてくれます。

小さな草の私も夜になると眠るので、夢をみることがあります。
昨日の夢は、女の子と私は手をつないで学校へ歩いて行き、学校で私は女の子の横にすわりました。
国語の本を読む時は、女の子の次に読み、算数のお勉強では、女の子と一緒に手をあげて答を発表しました。
体操の時間は、私は走れないので、すわって女の子が走るのを応援しました。
そして、女の子と手をつないで帰って来て、玄関の横で女の子とわかれました。

朝になって、女の子が
『小さなお花さん、おはよう。行ってきます。』
と言って学校へ行ったので、私は
『行ってらっしゃい。』
と言う練習をしました。

そして、学校から帰ってきた女の子が
『小さなお花さん、ただいま。今お水をあげるからね。』
と言ってくれるので、私は
『おかえりなさい。』
と、
『いつもお水をありがとう。』
と言う練習もしました。

次の日は声が小さくて女の子は気がつきませんでした。だけれど、その次の日、私は
『行ってらっしゃい。』
と大きな声で言いました。すると、女の子はうれしそうに
『行ってきます。』
と言って学校へ行きました。そして、女の子が帰ってきた時に
『おかえりなさい。』

『いつもお水をありがとう。』
を言うと、女の子はうれしそうに
『ただいま。』
と言いました。

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