20センチの巨人(5)

2020-05-03 07:19:03 | 童話
『ねえお母さん、この物干しさおはこのままにしていていいでしょ?』
『何に使うの?』
『巨人さんが、また僕の所に来る時に使うんだよ。』
『ええ、いいわよ。』
『巨人さん、この物干しさおはこのままにしておくから、次に来る時に使ってね。』
『ああ、ありがとうよ。』

四月になって僕は小学生になり、毎日ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶって学校へ行っています。
ある日、巨人さんが
『わしも学校へ行ってみたいなあ。』
と言ったので、箱の中に入ってもらって連れて行ってあげることにしてました。そして、箱に穴を開けて外が見えるようにしました。
『巨人さん、学校へ行く用意ができたよ。』
と教えてあげました。
すると、巨人さんは物干しさおを伝わって上がって来て、
『この箱の中に入るのかい?』
『そうだよ。』

そして、僕は巨人さんの入った箱を持って学校に行きました。
すると友達がみんなで
『それは何なの?』
『巨人さんなのに小さいんだね。』
『どこから来たの?』
『へえ~、いつもは本の中にいるんだ。』
『もう大きくならないの?』
『巨人さんの学校はどこに有るの?』
と言いました。


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