僕はどっちかな?(3)

2020-11-13 09:37:55 | 童話
家に帰るとお母さんが
『あらっ、おかえり。』
と言ったので、僕が『ワンワン』と言うと、タロウは
『ただいま。』
と言いました。

タロウが居ない時は普通なのに、タロウが居る時は僕が犬になっているのは変だなぁと思いました。
そして、このまま、僕が犬でタロウが人間になってしまうのかなぁと思いました。

ある日、タロウの『ワンワンワン』と言う声でお昼寝から目がさめました。
タロウの方を見ると、タロウが人間の僕になっていて、『ワンワン』と言っていました。
そして、僕の姿を鏡で見ると犬のタロウになっていて、人間の言葉を話していました。

あれっ、いつの間に反対になったのかなぁ? そして、お外へ行くと、近所のおばさんが
『タロウは今日も元気ね。』と言ったので、僕は『うん、元気だよ。』と言いました。
人間になったタロウは毎日お母さんに注意されます。
『ちゃんと歯をみがきなさい。顔を洗ったら顔をブルブルッしないで、タオルで拭きなさい。お風呂ではよく洗うのよ。お野菜も食べるのよ。』

人間になったタロウが注意されなくなったある日、僕とタロウはお昼寝の夢の中で『ワンワン』、『なぁに』とお話しをしている時に目がさめました。
今度は、タロウが『ワンワン』と言って、僕が
『なぁに。』
とお話しをしました。
今は夢の中なのかどうか、僕は分かりません。

そして、僕とタロウは、また今度交代するか分かりません。分かっている事は、僕とタロウは、いつまでも仲良しだという事です。

おしまい


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