僕の魔法のズボン(3)

2022-03-01 10:56:12 | 童話
ついにズボンの脚の折り返しが無くなった。そのまま履いて丁度良くなり、お兄ちゃんのように大きくなったのだ。

だけど、お兄ちゃんのようにカッコいいかなぁ?僕は女の子をいじめたりしないし、年寄りの人が信号待ちをしている時は、青信号になったら手を挙げて一緒に渡ってあげている。
お兄ちゃんと同じように、僕もカッコ良くなっていると思う。

僕はお母さんに聞いてみた。
『ねぇ、お母さん、僕もお兄ちゃんと同じようにカッコいいかなぁ。』
『そうねぇ、そのズボンを履いている時は良い子でカッコいいけれど、そのズボンじゃない時はもう少し良い子になったらカッコいいわよ。』
『う~ん、まだカッコ良くないのか。どうすればカッコ良くなれるのかな? そうだ、魔法のズボンに聞いてみよう。』

『ねぇ、魔法のズボン君、どうすれば君を履いていない時もカッコ良くなれるのかな?』
『それはね、君がいつも僕を履いている時と同じように頑張っていればいいんだよ。僕はいつも君を見ているからね。』
『そうか、いつも同じように頑張らないといけないんだね。』

そして、僕は大きくなって魔法のズボンが履けなくなってしまったが、ズボンの魔法がなくても頑張れるようになった。
そして、今も魔法のズボンは大切にしているし、時々話もする。
僕はいつまでもこの魔法のズボンを大切にしていこうと思う。

    おしまい