ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

シャイー&ゲヴァントハウス管のブル8

2011-03-06 12:15:57 | 海外オーケストラ

一昨日(4日)サントリーホールで開かれたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の来日公演を聴きに行ってきた。指揮はリッカルド・シャイー。

【演目】
ブルックナー/交響曲第8番ハ短調(ノヴァーク版)
《19時00分開演、20時35分終演》

ちょっと変わったオケの配置。ヴァイオリンは対向配置。下手側、第1ヴァイオリンの後方にコントラバスが2壇に分けれて10台。その横のチェロの後方に同じように2壇に分かれてチューバ、ホルン9台(4台はワーグナーチューバ兼用)が並ぶ。こうして左側に少し偏った配置のために、普通はセンター正面12時のところに並ぶ木管首席陣が少しずれて1時ぐらいに位置する。そして、ハープは上手ヴィオラの後ろに3台。第2ヴァイオリンの後方だけが唯一の空白スペースとなったかが、いずれにしろ100人以上の大編成。

第1楽章(アレグロ・モデラート)
緊張感と集中力に満ちたスタート。地響きのように唸るコントラバスの音色が明晰かつ迫力満点で心地よい。ヴァイオリンはスモーキーというかエコーがかかったような味わいある音色でドイツのオケらしい荘厳さと重厚さがずっしりと伝わってくる。そして、イタリア人なのにまるでドイツ人のようなガッチリとした体型のリッカルド・シャイーは威厳に満ちた大学教授のような感じでオケを纏め上げていく。

第2楽章(スケルツォ、アレグロ・モデラート)
起伏に富んだアップテンポな展開で私がもっとも好きな楽章。低弦の響きと金管の色彩感がなんともいえない。加えてティンパニーのコントロールされた打音が反撥することなく溶け合っていく。また、木管陣の清らかな音色が聴こえてくる。いや~、もう満足満足。

第3楽章。(アダージョ)
この楽章は愁眉だった。ホルン陣の音色にとにかく酔いしれた。あんな芳醇にしてマイルドな音色を聴いたのはシカゴ交響楽団以来だ。ベルリンフィルは聴いたことがないが、ホルン&ワーグナーチューバ陣はヨーロッパのオケでは実力ナンバー1ではないだろうか。ここまで聴いてきて、これは歴史的名演に立ち会えるのか、と思ってしまったが、残念ながらそうは問屋は卸さなかった。

第4楽章(フィナーレ)
シャイーは少し間をおいてから第4楽章に入った。しかしながら、冒頭のファンファーレで金管の音色が少し割れてしまう。その後にある弦のピチカートも乱れる。ドイツから日本へきた長旅の疲れが出てしまったのだろうか。そのせいか、全体のアンサンブルに妙な自己主張が見えてしまう。それでも、最後はシャイーの指揮の下、重厚壮大にして統一感に満ちた終焉を迎えた。

終演後の「フライング・ブラボー」が危惧されたが、シャイーが手を下ろすまでその声は鳴らず、シャイーが正面観客席を振り返った途端にブラボーのハーモニーの嵐が沸き起った。それも私が知る限りでは最大級のブラボーの嵐で、それは嵐というよりウエーブという感じだった。

なお、この日はNHKの劇場中継班が録画に入っていて、この模様は3月18日(金)23時からの教育テレビ「芸術劇場」で放送予定。



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