ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

いったい何があったのだろうか

2009-09-30 14:38:26 | Weblog
今年の1月から、このgooブログ「ミーハーのクラシック音楽鑑賞」に以前からMixiで書いているクラシック音楽鑑賞のレビューをアップしている。

これまで、1日のアクセスはだいたい100~120 PV(60~80 IP)だったのだが、9月27日から、いきなり下記のようなアクセスになり、これまでアクセス上位ランキング10,000件(ここまで表示される)にも入ったことがなかったのが、いきなり1,830位に登場してしまった。

09.26(土) 105 PV  65 IP     位 / 1300168ブログ
09.27(日) 537 PV 393 IP 1,830 位 / 1300677ブログ
09.28(月) 448 PV 291 IP 2,976 位 / 1301158ブログ
09.29(火) 223 PV 163 IP 8,543 位 / 1301621ブログ

いったい何があったのだろうか。どこかに紹介されたのだろうか。

クラシック音楽鑑賞の演奏会レビューを読む人がこんなにいるのだろうか。それすら疑問でならない。私はクラオタではないが、単なるミーハーなクラシック音楽ファンでしかない。それもほとんどオーケストラしか聴かない。ましてや、今や楽譜も読めないし、楽器だって演奏ができない。そんなオジサンの日記をこんないっぱいの人が読んでいいのだろうか。驚きと共に恐縮である。

そもそもこのブログは毒にも薬にもならないことだらけだ。独断と偏見で書いてはいるが、誹謗中傷、ヒガミ、ヤッカミなどを書かないようにしているからである。そして、美人奏者には目がない。w

本当にこんなにアクセスがジャンプしたのはなぜなのだろうか。

2階から1階に席替えしたN響C定期

2009-09-28 11:50:21 | N響
一昨昨日(25日)、NHKホールでのNHK交響楽団第1654回定期公演に行ってきた。指揮は古楽奏法の権威ともいうべきクリストファー・ホグウッド。ゲスト・コンサートマスターはブダペスト祝祭管弦楽団のヤーノシュ・セルメチ。

【演目】
プロコフィエフ/交響曲第1番「古典交響曲」
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「プルチネルラ」
  ~休 憩~
モーツァルト/フリーメーソンのための葬送の音楽 K.477
ハイドン/交響曲第104番ニ長調「ロンドン」
《19時00分開演、20時40分終演》

N響C定期。2年半いた2階席から1階席に席替えをした。今度は通路際の絶好の席なのだが、思わぬ難敵が出現。この時期、2階席だとまだ半袖でも平気なのだが、1階席は冷房が効いているので上着は必要。そう思ってちゃんと上着を用意して行ったまではよかったのだが、通路際ということで、足元を冷気がすり抜ける、すり抜ける。次回はハイソックスを穿いていくか膝掛けを用意しなくては・・・、さて。

1曲目。プロコフィエフの交響曲のなかで、もっとも明快で解りやすい曲。ハイドンを意識して書いた曲だが、爽快なリズムと軽快なテンポでどことなくウキウキさせてくれる曲だ。

普段この曲を聴いていると若々しいイメージなのだが、ノン・ヴィブラート奏法だとその音色は不思議と熟年というか壮年的なイメージである。つまり、それはまだ恐れを知らない無鉄砲な響きではなく、少し世間をわきまえている落ち着いた響きなのである。これはN響というオーケストラの資質ではなく、明らかにノン・ヴィブラート奏法によるものだろう。ただし、クリストファー・ホグウッドの指揮ぶりはとても若々しい。これまた不思議であった。

2曲目。弦は第1&第2ヴァイオリン、ヴォイオラが各5、チェロとコントラバスが各4。そして管がフルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2,トランペット1、トロンボーン1という小編成。弦のメンバーはほとんどが首席奏者と次席奏者ばかり。

この曲は初めて聴いたが、バレエ音楽ということもあってか優雅にして華やかな。バロック音楽的要素が非常に強く、バレエ音楽というより舞踏会な音楽だ。全8曲から構成されていて、テーマと共に活躍する楽器も異なってくる。で、もっとも輝いていたのが鮮やかなスライド・テクニックを披露してくれた新田幹男のトロンボーン。また、フルート(客演の渡邊玲奈)のまろやかというかマイルドな音色に目を見張るものがあった。

3曲目。今回のプログラムは前半がネオ古典、後半が古典という構成なのだが、この1曲だけがなんとなく異質だった。モーツァルトがフリーメーソン(現代まで続く秘密結社)のメンバーであったことは有名だが、それよりも私はホグウッドがフリーメーソンなのではと疑ってしまった。まあ、私にはそれぐらいこの曲が凡庸な葬送曲にしか聴こえなかった。それは、この曲に関してはノン・ヴィブラート奏法をする人、しない人がいて全く纏まりがなく、指揮の意志がオケに伝わっていなかったらかもしれない。

4曲目。ハイドンというと室内オケというか室内楽のイメージが私にはあるが、この「ロンドン」は編成も大きく、旋律もバロック調を脱していて、古典派音楽というよりロマン派音楽に近いような気がする。この曲ではオケはノン・ヴィブラート奏法に徹していて、これがホグウッドの古楽奏法という醍醐味を感じることができた。そして、それは妙な重厚さや荘厳さのある音色ではなく、喉ごしのいいライトビールを飲んでいるような爽快さすら感じる。これまで私はノン・ヴィブラート奏法に好印象をもっていなかったが、ホグウッドの学究的でもあり遊戯的でもあるしなやかな解釈は、ロジャー・ノリントンとは明らかに違うことを体感させてくれた。

ウィーン・フィル@ミューザ川崎

2009-09-22 16:52:04 | 海外オーケストラ
一昨昨日(19日)、ミューザ川崎でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団公演に行ってきた。指揮は名誉指揮者でもあるズービン・メータ。

ズービン・メータは1936年インド生まれ。1978年から1991年までニューヨーク・フィルの音楽監督を務め、私も80年代に彼の指揮を2度ほどニューヨークで聴いたことがある。

【演目】(※アンコール曲)
R.シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」
    チェロ:タマシュ・ヴァルガ(首席奏者)
    ヴィオラ:クリスティアン・フローン(首席奏者)
  ~休 憩~
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
    ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ(首席奏者)
※J. シュトラウス2世/「レモンの花咲くところ」
《18時00分開演、20時15分終演》

ウィーン・フィルのコンサートマスターといえば、すぐに思い浮かぶのがライナー・キュッヒル(1950年生まれ)。次にライナー・ホネック(1961年生まれ)。この2人はソリストとしても活躍している有名である。だが、今回の来日メンバーにはこの2人は入っていないようで、若手のフォルクハルト・シュトイデ(1971年生まれ)と、試用期間中(2年間)のアルベナ・ダナイローヴァ(ブルガリア出身の女性)がコンマス(コンミス)を務めている。

1曲目。チェロをソリスト扱いに配置しての演奏。そのチェロのタマシュ・ヴァルガとヴィオラ首席・クリスティアン・フローンの掛け合いは、あ・うんの呼吸ともいうべきな絶妙な調べを伝えてる。しかしながら、コンミスのアルベナ・ダナイローヴァが入ると、音が拡散していってしまう。これは彼女が地球の反対側の国・日本デビューという気負いがあったからだろう。ウィーン・フィルは女性に門戸を開放して10年余。しかし、まだまだ男性偏重のオケで女性奏者はまだ数人しかいない。彼女にはなんとか試用期間を乗り越えて、いつの日か確固たるコンミスになってもらいたい。

2曲目。ズービン・メータはまだまだ若い。1曲目も2曲目も暗譜で、まるで脂ののった魚が泳ぐかのように、自由奔放にタクトを振っていく。そして、それに応えるかのようにコンマス(フォルクハルト・シュトイデ)の精悍にして若さ溢れる音色がオケをリードしていき、「英雄の生涯」の情感的世界を描いていく。1曲目では全く冴えなかったホルン陣(9本)がうって変わって、荘厳にして華麗な音色を高々と響かせていく。そして、弦は先日の「シュトラウス・オーケストラ」と言われるドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏と同じように、二重三重と重なっていく深みのある音色が胸に沁みていく。

アンコール曲のウィナー・ワルツを聴いていると微睡みに包まれるような空間に陥る。ウィーン・フィルはこれらの曲に関しては、世界中のどこのオケも太刀打ちできない演奏をする。そして、お客にウィーン・フィルを聴きにいったんだな、という印象をしっかりと植え付けさせて、家路につかせる。反則技のアンコール曲である。w

「ドン・カルロ」by ミラノ・スカラ座@東京文化会館

2009-09-16 18:12:43 | オペラ
昨日(15日)、東京文化会館で行われているミラノ・スカラ座公演「ドン・カルロ」に行ってきた。指揮はダニエレ・ガッティ。演奏はミラノ・スカラ座管弦楽団。18時00分開演、22時35分終演。途中休憩2回。主な出演者は下記の通り。

フィリッポ二世:ルネ・パーペ
ドン・カルロ :ラモン・ヴァルガス
ロドリーゴ  :ダリボール・イェニス *
宗教裁判長  :アナトーリ・コチェルガ
修道士    :ガボール・ブレッツ
エリザベッタ :ミカエラ・カロージ
エボリ公女  :アンナ・スミルノヴァ *
テバルト   :カルラ・ディ・チェンソ
( * は当初発表されたキャストが変更)

舞台装置を演出のシュテファン・ブラウンシュヴァイクが手がけていて、その構造はとてもシンプルかつ明快。舞台転換が何度か行われるが、色彩はモノトーンで統一。そして、遠近法を利用した斜舞台と階段を組み合わせた舞台が効果的で見やすい。また、演出のなかで2回紗幕(細かい網の幕)をうまく幻想的に使い、この演出家がこのストーリーをお米を研ぎ澄ますかのように、無意味なところを削りおとして、解りやすい舞台を作っている

お話はオペラ特有というか、近親愛と憎悪が入り乱れたもので、観ていて「これで心中でもしたら、近松門左衛門と変わらないよなぁ」などと思ってしまった。で、最後はシェイクスピア悲劇のような終わり方で、まあストーリーとしてはさほど珍しいのではない。

歌い手では代役ながらもロドリーゴを見事に演じきったダリボール・イェニスが素晴らしかった。歌舞伎の二枚目にあたるおいしい役どころなのだが、主人公のドン・カルロがあまりにもドン・クサカッタ(テノールのもっといい歌手はいないの?)ので、観客のほとんどが彼の歌声と演技に目が釘付けになってしまった。私のお目当てのルネ・パーペは目立ってはいけない役なので、非常に控え目な演技をしていたが、それでも彼が独唱をしたときの拍手はやはり一番大きかった。また、全体の歌のなかでは、第3幕のフィリッポ2世、ロドリーゴ、エリザベッタ、エボリ公女による四重唱がやはり一番聴きごたえがあった。

休憩時間30分を2回入れても4時間半の大作だが、第1幕の内容がちょっと凡庸なので、このあたりをもっと研ぎすませれば、もっともっと素晴らしい舞台になるではないだろうか。

ミラノ・スカラ座@NHK音楽祭2009

2009-09-12 11:56:48 | 海外オーケストラ
一昨日(10日)、NHKホールで開幕したのNHK音楽祭のミラノ・スカラ座管弦楽団公演に行ってきた。指揮はダニエル・バレンボイム。合唱は世界一の合唱団との呼び声も高いミラノ・スカラ座合唱団(合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ)。ソリストは下記の通り。

ソプラノ:バルバラ・フリットリ
メゾ・ソプラノ:エカテリーナ・グバノワ
テノール:ヨハン・ボータ
バス:ルネ・パーベ

演目
ヴェルディ/レクイエム
《19時00分開演、20時45分終演》
休憩なし。ただ、出演者が入場するのに10分。退場するのに10分。

今年のNHK音楽祭のテーマは「オーケストラが奏でる故郷の名曲」。そのオープニングを飾ったのはミラノ・スカラ座管弦楽団。しかし、このテーマにはかなり偽りありで、ヴェルディの「レクイエム」は「【合唱団】とオーケストラが奏でる故郷の名曲」であった。

ミラノ・スカラ座合唱団(105人)は超ウルトラ素晴らしい合唱団だ。どうみてもソリストでしょう~、と思われる恰幅のいいお姉さま方や、老眼鏡をかけたいぶし銀のようなおじさま方の声は、NHKホール3階席にいても、冒頭の “Requiem” や “Kyrie eleison” という歌声が鮮明に聴こえてくる。予想していたとはいえ、こんなに凄い歌声だとは・・・。冒頭のほんの2~3分でヴェルディの世界へ引きづりこまれてしまった。

ソリストでは断然バスのルネ・パーベの歌声が抜きんでていた。独唱のときはドイツ出身らしくゲルマン魂のような荘厳にして重厚の歌声を轟かせ、アンサンブルやユニゾンのときは相手を引き立てるかのように少し押さえ目に歌う。いや~、2年前の「トリスタンとイゾルテ」公演のときも、素晴らしい歌声を聴かせてくれたが、今回は更に円熟味を増していて、男の色気と艶をいかんなく発揮していた。あの歌声にうっとりした観客の女性陣も1人や2人ではすまなかっただろう。(笑)

ダニエル・バレンボイムはこれまで何度か聴いているが、好印象はあまりなかった。しかし、この指揮は感服の極みであった。音に対する視野がとても広く、またオーケストラを妙に煽ることなく、大曲にもかかわらず丁寧に丁寧に音を紡ぎ出していく。管弦楽団もオペラ座のオケらしく「主役は歌だよ」と言わんばかりに、ソリストや合唱団を絶妙に引き立ていく。

こうしたオケのなかでは上手(右側)に配置されたティンパニーと大太鼓の2人が素晴らしかった。この2人の適格なリズムがオケおよび曲全体を引き締めているように思えてならなかった。バレンボイムもこの2人にはほとんど指示らしいものを出さず、信頼しきっている様子だった。

ミラノ・スカラ座、イタリア・オペラ界最高峰に君臨する合唱団とオーケストラであるということを十二分に証明した演奏会だった。

N響シーズン開幕はノン・ヴィブラート奏法

2009-09-10 12:48:24 | N響
昨日(9日)、サントリーホールで開かれたNHK交響楽団第1652回定期演奏会に行ってきた。指揮はクリストファー・ホグウッド。ピアノはクリスティアン・ベザイディンオート。

演目
ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調
  ~休 憩~
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調
《19時00分開演、20時55分終演》

クリストファー・ホグウッドは1941年イギリス生まれの指揮者兼チェンバロ・オルガン奏者。彼は昔ながらの音楽奏法を得意とする指揮者で、指揮をするときは基本的に私があまり好きでないピリオド奏法(ノン・ヴィブラート奏法)で行う。

1曲目。ヴァイオリンは両翼配置。非常に引き締まった音色で、まるで尖った剣のような鋭いけれん味のない音色。オケ全体にピリオド奏法に対する迷いは全くなく、団結力あるベートーヴェンの魂の塊のような素晴らしい音色を響かせる。そのせいかどうか解らないが、いきなり「ブラボー!」の声。

2曲目。ちょっと変わった配置。舞台中央に蓋を外されたピアノが一台置かれ、ピアノがオケの1パートのようなスタイル。

ピアノのクリスティアン・ベザイディンオートは「フォルテピアノ」奏者ということもあり、音は明瞭にして快活。しかし、ずっとペダルを踏み続けているせいか、まるでヴィブラートだらけのピアノを聴いているようである。それゆえに、音にメリハリ感がなく、聴いていて時に飽きてしまう。ただ、第2楽章でのチェロ&コントラバスの低音との掛け合い部分の繊細な音色だけは聴きごたえがあった。

3曲目。私はピリオド奏法が好きではない。ロジャー・ノリントンで嫌気がさした。というのも、ピリオド奏法は弦奏者を何か束縛しているようで、自由闊達な音色が聞こえてこないからである。ところが、クリストファー・ホグウッドはノリントンとは違った。彼はまるで踊る指揮者かのように、指揮台の上で右へ左へ上へ下へと動き回り、N響メンバーをどんどんと煽てあげていく。それに釣られたかのように、弦もピリオド奏法ということを意識することなく、タイトにして優美なベートーヴェンの世界を描いていく。

弦のピリオド奏法ばかりに目が行きがちだったから、途中から何気ない金管の音色にも耳がすスーッと吸い込まれていった。特にホルンの2ndを吹いていた客演の人の首席(松崎裕)のサポートする音色が素晴らしかった。この日の演奏の最大のMVPは彼ではないだろうか。また、トランペットの首席(WHO?)の目立たないながらも、鮮明な音色でベト7ならではの楽しさを演出していた。

この日の演奏はおそらくクラオタやクラシック・ファンには少し物足りないかと思う。私もその1人である。しかし、クラシック音楽を勉強している人には、非常に勉強になるのではないだろうか。この日と同じプログラムが12日(土)14時から横浜みなとみらいホールで行われる。クラシック音楽を勉強している人で時間がある方は聴きに行かれることをおすすめする。先ほどホールに問い合わせたが、チケットはまだ残っているとのこと。

シーズン開幕は日本フィルで

2009-09-07 11:21:13 | 日本フィル
一昨日(5日)、サントリーホールでの日本フィルハーモニー交響楽団第613回定期演奏会に行ってきた。指揮は新たに首席客演指揮者になったピエタリ・インキネン。ヴァイオリンはベルリンフィルの第1コンサート・マスターに内定している樫本大進。

演目
ショスタコーヴィチ/祝典序曲
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲
  ~休 憩~
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番
《14時00分開演、16時00分終演》

ピエタリ・インキネンは1980年フィンランド生まれ。4歳でヴァイオリンを習い始め、シベリウス音楽院を経て、1998年からケルン音楽大学でザハル・ブロンに師事をうけて、2001年に卒業。ヴァイオリニストとしては第8回国際シベリウス・ヴァイオリン・コンクールで第4位と特別演奏賞を受賞。その後、ヨーロッパの主要オーケストラと共演。指揮者としては北欧およびアジアのオーケストラと数多く共演。2008年1月にニュージーランド交響楽団音楽監督に就任。この9月から日本フィルの首席客演指揮者に就任した。

1曲目。明るい。これほど明晰な音質を日本フィルから聴いたことは最近はなかった。インキネンのもつ初々しさが見事にオケにノリ移っている。特に弦楽のピュアで理知的な音色にはホレボレする。「祝典序曲」ということで、その主体は管楽器にもかかわらず、弦が若々しい音色を奏で上げる。日本フィルの弦楽は他のオケに比べて年齢層が高いのにもかかわらず、躍動感に漲った音色を奏でていく。コンマスの扇谷泰朋がいつも以上にギラギラと脂ぎっているように見えてしまった。(笑)

2曲目。樫本大進と指揮のインキネンは同じザハル・ブロン門下生ということで、ある意味気心知れた仲のはずである。しかしながら、2人の共同作業が成功したかというと、残念ながらそうは思えなかった。冒頭の、この曲最大の聴かせどころとこもいえる、高音の沁み入るような調べが伝わってこない。しかし、その後の低音部の旋律は安定している。これは彼の使用楽器(1674年製アンドレア・グァルネリ)のせいなのだろうか。それとも・・・。それでも、彼がもつテクニックと表現力は繊細な音色になってサントリーホールに響いていく。ただ、樫本自身があまりにも神経質すぎるのだろうか、時にたよりない音質を感じてしまう。こうした彼の神経質な音色を少し危惧してしまうが、是非とも試用期間を乗りきって、ベルリンフィルの第1コンサートマスターの席を獲得してもらたい。

3曲目。これはとても清々しい演奏だった。その要因はまず第一にインキネンの音作りにあるだろう。彼の指揮そのものに魅力があるかといえば、それはあまり感じ取れない。おそらく練習段階で相当綿密な音作りをしているのではないだろうか。1曲目同様に、弦楽が非常に明晰な音色を奏でる。ややもするとくすんだ音色を出しかねない日本フィルの弦なのだが、統率のとれた締まった音色を奏でる。

そして、この曲ではなによりも金管の透きとおった爽やかな音色にも好感がもてた。今年からインキネン同様に新しくトランペットの客演首席奏者になったオッタヴィアーノ・クリストフォーリと、ホルンの福川伸陽がリードしていく金管が、それこそ針の穴を糸で通すような鮮明で直線的な音を響かせていく。こんな素晴らしい金管の音色を日本のオケから聴くことはそうめったにない。これだけでも、聴きに行ったかいがあった。

ラザロフとコバケンという両輪に加えて、インキネンの登場は日本フィルの「新しい風」になることは間違いだろう。ただ、残念なことにインキネンが次にタクトを振ることが決まったいない。できれば、演目等が未定となっている来年3月から6月までの「名曲コンサート」シリーズか「サンデーコンサート」シリーズに登場してもらいたいものである。

9月のコンサート鑑賞予定

2009-09-03 17:16:38 | Weblog
9月です。芸術の秋のシーズン到来です。

5日 (土) 日本フィルハーモニー@サントリーホール
9日 (水) NHK交響楽団@サントリーホール
10日(木) ミラノスカラ座@NHK音楽祭
19日(土) ウィーンフィル@ミューザ川崎
25日(金) NHK交響楽団@NHKホール
30日(水) 読売日本交響楽団@サントリーホール

この他にも16日(水)のミラノスカラ座のヴェルディ・プロに食指が動いています。