おととい(25日)サントリーホールで行われたNHK交響楽団第1660回定期公演へ行ってきた。オール・ベートーヴェン・プログラム。指揮はネルロ・サンティ。
【演目】
ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン/交響曲第4番変ロ長調
~休 憩~
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」
《19時00分開演、20時55分終演》
目からウロコ、ひょうたんから駒、狐につつまれているようなと言ったら失礼になるが、風変わりなベートーヴェン・プログラムだった。それは、このプログラムがベートーヴェンのなかでもモーツァルト風の曲を並べている印象をもったからだろう。
1曲目。ベートーヴェンが書いた唯一のオペラ「フィデリオ」の序曲。今日でも上演されることが多く、またこの序曲もコンサートでよく演奏される。非常に明るい感じの曲をN響は軽快に演奏していく。特に弦が引き締まった音色を響かせる。この日はコンマス・堀、第二・山口、ヴィオラ・店村、チェロ・木越と首席は年長者だらけで、メンバーも全体にベテラン陣が多かった。そのせいでもあるまいが、弦の音色が普段よりも老獪にしてコンパクト。それでいて、しなやかなにして優しい音色は変わらなかった。まずは出だし快調。
2曲目。以前はベートーヴェンの交響曲のなかでもあまり演奏されることが少なかった交響曲だったが、最近は人気のようでかなり演奏される。といいつつも、私がこの第4番を生で聴くのは今回が2回目。弦楽主体の構成のために、その曲調はやはりどことなくモーツァルト風。ただ、モーツァルトの曲が淡々と演奏されていく印象があるが、そこはやはりベートーヴェン。音のメリハリはモーツァルトより大胆かつメリハリがある。ここでも1曲目同様に、弦が非常にタイトな音色を奏でていき、心地良い誘いに襲われることなく、しっかり聴くことができた。
3曲目。先日オペラシティでチェコ・フィルの「田園」を聴いたばかりであるが、N響の「田園」はかなり洗練された音色だった。というのも、それはオケのメンバーの音色が観客にダイレクトに届いていくという感じでなく、いったんすべての音がサンティの巨体に集約され、それが凝縮したひとつの塊となりイタリア人ならではの陽気な香りもブレンドされ、観客に伝えられていく。こうした演奏はそうそうお目にかかれるものではない。「田園」の演奏としてはかなりゆっくりで抑揚の押さえた演奏であったが、集約された音色はとても上品かつ聡明であった。
私がこの日もっとも注目したのフルートの首席を務めた渡邊玲奈。これまでに数多くのコンクールで優勝した実力者だが、この日の演奏でも豊饒とした音色を奏でて、その実力をいかんなく発揮していた。次代のN響を背負う逸材ではないだろうか。
【演目】
ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」序曲
ベートーヴェン/交響曲第4番変ロ長調
~休 憩~
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調「田園」
《19時00分開演、20時55分終演》
目からウロコ、ひょうたんから駒、狐につつまれているようなと言ったら失礼になるが、風変わりなベートーヴェン・プログラムだった。それは、このプログラムがベートーヴェンのなかでもモーツァルト風の曲を並べている印象をもったからだろう。
1曲目。ベートーヴェンが書いた唯一のオペラ「フィデリオ」の序曲。今日でも上演されることが多く、またこの序曲もコンサートでよく演奏される。非常に明るい感じの曲をN響は軽快に演奏していく。特に弦が引き締まった音色を響かせる。この日はコンマス・堀、第二・山口、ヴィオラ・店村、チェロ・木越と首席は年長者だらけで、メンバーも全体にベテラン陣が多かった。そのせいでもあるまいが、弦の音色が普段よりも老獪にしてコンパクト。それでいて、しなやかなにして優しい音色は変わらなかった。まずは出だし快調。
2曲目。以前はベートーヴェンの交響曲のなかでもあまり演奏されることが少なかった交響曲だったが、最近は人気のようでかなり演奏される。といいつつも、私がこの第4番を生で聴くのは今回が2回目。弦楽主体の構成のために、その曲調はやはりどことなくモーツァルト風。ただ、モーツァルトの曲が淡々と演奏されていく印象があるが、そこはやはりベートーヴェン。音のメリハリはモーツァルトより大胆かつメリハリがある。ここでも1曲目同様に、弦が非常にタイトな音色を奏でていき、心地良い誘いに襲われることなく、しっかり聴くことができた。
3曲目。先日オペラシティでチェコ・フィルの「田園」を聴いたばかりであるが、N響の「田園」はかなり洗練された音色だった。というのも、それはオケのメンバーの音色が観客にダイレクトに届いていくという感じでなく、いったんすべての音がサンティの巨体に集約され、それが凝縮したひとつの塊となりイタリア人ならではの陽気な香りもブレンドされ、観客に伝えられていく。こうした演奏はそうそうお目にかかれるものではない。「田園」の演奏としてはかなりゆっくりで抑揚の押さえた演奏であったが、集約された音色はとても上品かつ聡明であった。
私がこの日もっとも注目したのフルートの首席を務めた渡邊玲奈。これまでに数多くのコンクールで優勝した実力者だが、この日の演奏でも豊饒とした音色を奏でて、その実力をいかんなく発揮していた。次代のN響を背負う逸材ではないだろうか。