23日水曜にN響、25日金曜に読響の「第九」演奏会に行ってきた。
NHK交響楽団 ベートーヴェン「第9」演奏会@NHKホール」
指揮:クルト・マズア
ソプラノ:安藤赴美子
メゾ・ソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:国立音楽大学、東京少年少女合唱隊
《15時00分開演、16時20分終演》
クルト・マズアは1927年旧東ドイツ・ブリーク生まれ。ライプツィヒでピアノ・作曲・指揮法を学ぶ。1960年~1964年ベルリン・コーミッシェ・オーパー、1955年~1958年および1967年~1972年はドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者を務める。1970年から1996までライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の芸術監督・首席指揮者として活躍。1991年から2002年までニューヨーク・フィルの音楽監督。2000年から2007年までロンドン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者に。2002年から2008年まではフランス国立管弦楽団の音楽監督も務めた。日本では読売日本交響楽団深いつながりがあり、79年に名誉指揮者に就任している。
初日(22日)公演でアクシデントがあったN響の「第九」だったが、私が行った2日目の演奏は感動的なものだった。N響のメンバーはもともとドイツやオーストリアに留学している人が多いので、N響の音色はドイツ的と言われていた。ただ、最近はデュトワやアシュケナージが音楽監督を務めたためか、その音色がまろやかなものになっていた。ところが、この日のN響はまるでドレスデンかライプツィヒのような研ぎ澄まされた質実剛健なドイツオケのようで、クルト・マズアの豪腕にして威厳のある指揮に見事に応えていた。
ソリストには二期会のベテラン陣を配し、特に男性陣2人のしっかりした声質と声量はあの広いNHKホールの隅々まで見事に轟かせていた。合唱は東京少年少女合唱隊がソプラノに加わるのだが、これが実に面白い。やはり大人の国立音大生と声質が微妙に違い、残響音が音大生より長いように思え、天使の歌声を表しているように思もえた。また、四重唱でも時に五重唱に聴こえたりして、合唱に幅が広がったように聴こえた。これがマズアの狙いだったら、それは成功していたと言える。
終演後、マズアは上機嫌で、ソリストの女性2人の手に祝福のキスをするやら、合唱団からオケまで手で多くの賛辞をおくり、満面の笑みを聴衆に送っていた。そして、最後の最後は第一ヴァイオリンの青木調さんをお持ち帰りになって退場。これにはオケのメンバーも合唱団にも大受けであった。
読売日本交響楽団 第9交響曲特別演奏会2008@サントリーホール
指揮:オスモ・ヴァンスカ
ソプラノ:林正子
メゾ・ソプラノ:林美智子
テノール:中鉢聡
バリトン:宮本益光
合唱:新国立劇場合唱団
《19時10分開演、20時25分終演》
オスモ・ヴァンスカは1953年フィンランド生まれ。クラリネット奏者として活躍した後、シベリウス・アカデミーで指揮を学び、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。1985年にラハティ交響楽団の首席客演指揮者に就任。1993年から1996年までアイスランド交響楽団、1996年から2002年までBBCスコティッシュ交響楽団の首席指揮者。そして、2003年からミネソタ管弦楽団の音楽監督を務め一時低迷していたオケを再建させた。
私はこの手の指揮者が得意でない。大振りなくせに指示の仕方が解りにくい。それでいて、音だけは思いっきり鳴らす。第1楽章からもう耳なりがするような音の連発で、最終楽章の歓喜へ葛藤や抑揚などあったものではない。こんな指揮をさせられているようではオケも可哀想である。第三楽章のヴィオロやチェロが奏でる旋律も情感に乏しく、第4楽章へと繋がらない。正直何もかもちぐはぐだった。加えて、合唱のソリストたちも弱い。特にバリトンは深みや厚みがなく、まるでテノールのような声質なのには驚かされた。この日の演奏で唯一の救いは新国立劇場合唱団の合唱で、これは噂通りで非の打ち所がなかった。
さて、来年は何処の「第九」を聴きにいくのだろうか。
NHK交響楽団 ベートーヴェン「第9」演奏会@NHKホール」
指揮:クルト・マズア
ソプラノ:安藤赴美子
メゾ・ソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:福井敬
バリトン:福島明也
合唱:国立音楽大学、東京少年少女合唱隊
《15時00分開演、16時20分終演》
クルト・マズアは1927年旧東ドイツ・ブリーク生まれ。ライプツィヒでピアノ・作曲・指揮法を学ぶ。1960年~1964年ベルリン・コーミッシェ・オーパー、1955年~1958年および1967年~1972年はドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者を務める。1970年から1996までライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の芸術監督・首席指揮者として活躍。1991年から2002年までニューヨーク・フィルの音楽監督。2000年から2007年までロンドン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者に。2002年から2008年まではフランス国立管弦楽団の音楽監督も務めた。日本では読売日本交響楽団深いつながりがあり、79年に名誉指揮者に就任している。
初日(22日)公演でアクシデントがあったN響の「第九」だったが、私が行った2日目の演奏は感動的なものだった。N響のメンバーはもともとドイツやオーストリアに留学している人が多いので、N響の音色はドイツ的と言われていた。ただ、最近はデュトワやアシュケナージが音楽監督を務めたためか、その音色がまろやかなものになっていた。ところが、この日のN響はまるでドレスデンかライプツィヒのような研ぎ澄まされた質実剛健なドイツオケのようで、クルト・マズアの豪腕にして威厳のある指揮に見事に応えていた。
ソリストには二期会のベテラン陣を配し、特に男性陣2人のしっかりした声質と声量はあの広いNHKホールの隅々まで見事に轟かせていた。合唱は東京少年少女合唱隊がソプラノに加わるのだが、これが実に面白い。やはり大人の国立音大生と声質が微妙に違い、残響音が音大生より長いように思え、天使の歌声を表しているように思もえた。また、四重唱でも時に五重唱に聴こえたりして、合唱に幅が広がったように聴こえた。これがマズアの狙いだったら、それは成功していたと言える。
終演後、マズアは上機嫌で、ソリストの女性2人の手に祝福のキスをするやら、合唱団からオケまで手で多くの賛辞をおくり、満面の笑みを聴衆に送っていた。そして、最後の最後は第一ヴァイオリンの青木調さんをお持ち帰りになって退場。これにはオケのメンバーも合唱団にも大受けであった。
読売日本交響楽団 第9交響曲特別演奏会2008@サントリーホール
指揮:オスモ・ヴァンスカ
ソプラノ:林正子
メゾ・ソプラノ:林美智子
テノール:中鉢聡
バリトン:宮本益光
合唱:新国立劇場合唱団
《19時10分開演、20時25分終演》
オスモ・ヴァンスカは1953年フィンランド生まれ。クラリネット奏者として活躍した後、シベリウス・アカデミーで指揮を学び、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝。1985年にラハティ交響楽団の首席客演指揮者に就任。1993年から1996年までアイスランド交響楽団、1996年から2002年までBBCスコティッシュ交響楽団の首席指揮者。そして、2003年からミネソタ管弦楽団の音楽監督を務め一時低迷していたオケを再建させた。
私はこの手の指揮者が得意でない。大振りなくせに指示の仕方が解りにくい。それでいて、音だけは思いっきり鳴らす。第1楽章からもう耳なりがするような音の連発で、最終楽章の歓喜へ葛藤や抑揚などあったものではない。こんな指揮をさせられているようではオケも可哀想である。第三楽章のヴィオロやチェロが奏でる旋律も情感に乏しく、第4楽章へと繋がらない。正直何もかもちぐはぐだった。加えて、合唱のソリストたちも弱い。特にバリトンは深みや厚みがなく、まるでテノールのような声質なのには驚かされた。この日の演奏で唯一の救いは新国立劇場合唱団の合唱で、これは噂通りで非の打ち所がなかった。
さて、来年は何処の「第九」を聴きにいくのだろうか。