昨日(27日)、オペラシティコンサートホールで行われた山形交響楽団特別演奏会「さくらんぼコンサート2012東京公演」へ行ってきた。指揮は音楽監督の飯森範親。ピアノはダニール・トリフォノフ。
【演目】(※はアンコール曲)
西村朗/弦楽のための悲のメディテーション
(山形交響楽団創立40周年記念委嘱作品)
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
※チャイコフスキー/田舎のエコー
~休 憩~
ブラームス/交響曲第2番ニ長調
《19時00分開演、21時15分終演》
1曲目。西村朗が初めての弦楽だけのために書いた作品。タイトルにある「悲」とは仏教にある「カルナー」(“慈悲”もしくは“憐れみ”のようなこと?)のことを言うそうだ。それにしても、日本の現代音楽はいつまでこうした概念的かつ宗教色の強い音楽を作り続けていくのだろうか。私は1960年代後半から1970年代前半にかけてATG映画をよく観たが、そのころにすでにこの作品に似たような映画音楽を聴いている。あれからすでに40年は経っている・・・。大河ドラマのテーマ音楽の方がよほど進化している。
2曲目。ダニール・トリフォノフは1991年ロシアのニジニ・ノヴゴロドに生まれの20歳。2010年ショパン国際ピアノ・コンクールで第3位。2011年ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール優勝。それから数週間後の第14回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。という輝かしい受賞歴がある。すでに世界各地で演奏活動を行っており、2009年にカーネギーホール・デビューもしている。現在はクリーブランド音楽院でセルゲイ・ババヤンに師事を受けている。
顔立ちにはまだ少年の面影が残っている。そして、そのピアノにも少年の面影が残り、かつまた若さという勢いがある。そして、驚いたことに大人の成熟さもある。いろいろな年齢的な表情が彼のピアノから伝わってくる。なんとも表現力の豊かなピアニストだ。
第1楽章は大胆に、第2楽章は繊細に、そして第3楽章は華麗にといった感じで、自分自身のテーマを決めているかのように、ピアノに自分の心情を溶け込ませていく。その不敵な自信はいったいどこから来るのだろうか。ちょっと末恐ろしいというか、かなり期待のもてる20歳だ。ブラボー!
3曲目。飯森範親は思い入れたっぷりにゆっくりとオケを導いていく。しかし、あまりにもテンポが遅い。加えてホルンやトロンボーンなどの金管が些細なミスを繰り返す。また弦が小編成(10ー8ー7ー6ー4)の対抗配置ということもあり、どうも厳格にして重厚なブラームスの音を引き出すにいたらない。かといって「田園」的な開放感のある音も聴こえてこない。座った席が前過ぎたというせいもあるかもしれないが・・・。熱演であることはよく解るが、どことなく空回りしているようにも思え、残念ながら昨年聴いたチャイ5のような感動は味わえなかった。今年から初めた大阪公演の疲れが出たのかもしれない。
【演目】(※はアンコール曲)
西村朗/弦楽のための悲のメディテーション
(山形交響楽団創立40周年記念委嘱作品)
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
※チャイコフスキー/田舎のエコー
~休 憩~
ブラームス/交響曲第2番ニ長調
《19時00分開演、21時15分終演》
1曲目。西村朗が初めての弦楽だけのために書いた作品。タイトルにある「悲」とは仏教にある「カルナー」(“慈悲”もしくは“憐れみ”のようなこと?)のことを言うそうだ。それにしても、日本の現代音楽はいつまでこうした概念的かつ宗教色の強い音楽を作り続けていくのだろうか。私は1960年代後半から1970年代前半にかけてATG映画をよく観たが、そのころにすでにこの作品に似たような映画音楽を聴いている。あれからすでに40年は経っている・・・。大河ドラマのテーマ音楽の方がよほど進化している。
2曲目。ダニール・トリフォノフは1991年ロシアのニジニ・ノヴゴロドに生まれの20歳。2010年ショパン国際ピアノ・コンクールで第3位。2011年ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール優勝。それから数週間後の第14回チャイコフスキー国際コンクールで優勝。という輝かしい受賞歴がある。すでに世界各地で演奏活動を行っており、2009年にカーネギーホール・デビューもしている。現在はクリーブランド音楽院でセルゲイ・ババヤンに師事を受けている。
顔立ちにはまだ少年の面影が残っている。そして、そのピアノにも少年の面影が残り、かつまた若さという勢いがある。そして、驚いたことに大人の成熟さもある。いろいろな年齢的な表情が彼のピアノから伝わってくる。なんとも表現力の豊かなピアニストだ。
第1楽章は大胆に、第2楽章は繊細に、そして第3楽章は華麗にといった感じで、自分自身のテーマを決めているかのように、ピアノに自分の心情を溶け込ませていく。その不敵な自信はいったいどこから来るのだろうか。ちょっと末恐ろしいというか、かなり期待のもてる20歳だ。ブラボー!
3曲目。飯森範親は思い入れたっぷりにゆっくりとオケを導いていく。しかし、あまりにもテンポが遅い。加えてホルンやトロンボーンなどの金管が些細なミスを繰り返す。また弦が小編成(10ー8ー7ー6ー4)の対抗配置ということもあり、どうも厳格にして重厚なブラームスの音を引き出すにいたらない。かといって「田園」的な開放感のある音も聴こえてこない。座った席が前過ぎたというせいもあるかもしれないが・・・。熱演であることはよく解るが、どことなく空回りしているようにも思え、残念ながら昨年聴いたチャイ5のような感動は味わえなかった。今年から初めた大阪公演の疲れが出たのかもしれない。