昨日(26日)新国立劇場で公演されている新国立劇場バレエ団の『ロミオとジュリエット』を観てきた。音楽はセルゲイ・プロコフィエフ。主なスタッフと出演者は下記の通り。
振付:ケネス・マクミラン
舞台美術・衣装:ポール・アンドリュース
指揮:大井剛史
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ジュリエット:リアン・ベンジャミン(英国ロイヤルバレエ団)
ロメオ:セザール・モラレス(英国バーミンガム・ロイヤルバレエ団)
マキューシオ:福田圭吾
ベンヴォーリオ:菅野英男
ティボルト:輪島拓也
上演時間 1幕60分 休憩25分 2幕35分 休憩20分 3幕40分
《14時00分開演、17時10分終演》
プロコフィエフの傑作のひとつ『ロミオとジュリエット』。その音楽は何度もオケで聴いているが、その舞台を観るのは初めて。で、見終わった直後の感想は、バレエを観たというより「バレエ付き音楽劇」を観たという思いだった。
音楽が素晴らしいことは百も承知だが、ここまで芝居芝居したバレエを観たのは初めてかもしれない。全体的にバレエの振付が少なく、演劇的な仕草が多く、ダンサーの躍動感というか肉体美を感じることはほとんどなかった。これが良いのか悪いのかは人それぞれの解釈だろうが、私には物足りなかった。
主演のリアン・ベンジャミンとセザール・モラレスは共に小柄。特にベンジャミンは女性ダンサーのなかでも一番の小柄のように見えた。しかし、その踊りはやはりロイヤルバレエ団でプリンシパルを務めるだけあって、しなやかにして流麗。特に手の動きが素晴らしく、ジュリエットの苦悩と葛藤を見事に表現していた。なかでも、第3幕での眠りのなかおよび死への旅立ちでの無力的な手の動きなどは息を飲むほどであった。一方、モラレスは機敏性、スピード感、柔軟性、リフト力などのテクニックは非常に高いものがあるが、もう少し自分なりの主張というかスタイルを見せて欲しかった。もしそれが築ければ世界的ダンサーになる逸材かもしれない。
と、二人の評価だが、日本人ダンサー、特に男性陣には苦言を呈したい。第一幕のロメオ、マキューシオ、ベンヴォーリオが3人で踊るアンサンブルはバラバラで、ひとりのダンサーは完全に回転不足。これは個人的な鍛錬不足なのか、それとも3~4ユニット構成による弊害なのだろうか。また、日本人には馴染みがないので難しいかもしれないが、サーベルを使った群舞も歯切れが悪い。一方で女性陣は3人の娼婦(寺田亜沙子、堀口純、北原亜希)をはじめ、一糸乱れない踊りは見事であり、そのレベルの高さを魅せてくれた。
大井剛史指揮の東京フィルの音楽は、序曲や間奏曲のときは音を全面的に前に出すものの、それ以外は踊りをうまく引き出そうとしていて好感がもてた。そして、トランペットなどの金管の響きが鮮やかで、さすがにこの曲に関してはダンサーたちよりもオケの方が慣れている。
マクミランの振付はオーソドックスでストーリー性を重視している。ただ、それに対してダンサーたちがいまい一つ応えきれていない。結局のところ、言葉はキツいが踊りが衣装やセットに負けている。加えて、音楽そのものに負けるのは仕方がないにしろ、オーケストラにも完全に負けていた。残り4公演で奮起してもらいたい。
振付:ケネス・マクミラン
舞台美術・衣装:ポール・アンドリュース
指揮:大井剛史
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ジュリエット:リアン・ベンジャミン(英国ロイヤルバレエ団)
ロメオ:セザール・モラレス(英国バーミンガム・ロイヤルバレエ団)
マキューシオ:福田圭吾
ベンヴォーリオ:菅野英男
ティボルト:輪島拓也
上演時間 1幕60分 休憩25分 2幕35分 休憩20分 3幕40分
《14時00分開演、17時10分終演》
プロコフィエフの傑作のひとつ『ロミオとジュリエット』。その音楽は何度もオケで聴いているが、その舞台を観るのは初めて。で、見終わった直後の感想は、バレエを観たというより「バレエ付き音楽劇」を観たという思いだった。
音楽が素晴らしいことは百も承知だが、ここまで芝居芝居したバレエを観たのは初めてかもしれない。全体的にバレエの振付が少なく、演劇的な仕草が多く、ダンサーの躍動感というか肉体美を感じることはほとんどなかった。これが良いのか悪いのかは人それぞれの解釈だろうが、私には物足りなかった。
主演のリアン・ベンジャミンとセザール・モラレスは共に小柄。特にベンジャミンは女性ダンサーのなかでも一番の小柄のように見えた。しかし、その踊りはやはりロイヤルバレエ団でプリンシパルを務めるだけあって、しなやかにして流麗。特に手の動きが素晴らしく、ジュリエットの苦悩と葛藤を見事に表現していた。なかでも、第3幕での眠りのなかおよび死への旅立ちでの無力的な手の動きなどは息を飲むほどであった。一方、モラレスは機敏性、スピード感、柔軟性、リフト力などのテクニックは非常に高いものがあるが、もう少し自分なりの主張というかスタイルを見せて欲しかった。もしそれが築ければ世界的ダンサーになる逸材かもしれない。
と、二人の評価だが、日本人ダンサー、特に男性陣には苦言を呈したい。第一幕のロメオ、マキューシオ、ベンヴォーリオが3人で踊るアンサンブルはバラバラで、ひとりのダンサーは完全に回転不足。これは個人的な鍛錬不足なのか、それとも3~4ユニット構成による弊害なのだろうか。また、日本人には馴染みがないので難しいかもしれないが、サーベルを使った群舞も歯切れが悪い。一方で女性陣は3人の娼婦(寺田亜沙子、堀口純、北原亜希)をはじめ、一糸乱れない踊りは見事であり、そのレベルの高さを魅せてくれた。
大井剛史指揮の東京フィルの音楽は、序曲や間奏曲のときは音を全面的に前に出すものの、それ以外は踊りをうまく引き出そうとしていて好感がもてた。そして、トランペットなどの金管の響きが鮮やかで、さすがにこの曲に関してはダンサーたちよりもオケの方が慣れている。
マクミランの振付はオーソドックスでストーリー性を重視している。ただ、それに対してダンサーたちがいまい一つ応えきれていない。結局のところ、言葉はキツいが踊りが衣装やセットに負けている。加えて、音楽そのものに負けるのは仕方がないにしろ、オーケストラにも完全に負けていた。残り4公演で奮起してもらいたい。