【演目】(※はアンコール曲)
シベリウス/交響曲第5番変ホ長調
シベリウス/交響曲第6番ニ短調
〜休 憩〜
シベリウス/交響曲第7番ハ長調
※シベリウス/アンダンテ・フェスティーヴォ
《19時00分開演、21時10分終演》
札幌交響楽団の3年かけてのシベリウス・ツィクルス最終回。一昨年は『フィンランディア』交響曲『第3番』『第1番』。昨年は組曲『恋人』交響曲『第4番』『第2番』。そして今年は交響曲『第5番』『第6番』『第7番』である。
1曲目『第5番』。シベリウの交響曲のなかでも『第2番』と共に好きな曲。というのも、金管の咆哮が一般的な交響曲と違って非常に情緒的だからだ。ただ演奏の方は1曲目ということもあり、金管も木管も少し緊張感が張りすぎというか硬さが抜けず、どことなく余所行きの演奏という感じ。それでもコーダのトランペットとホルンなどによる合奏部分はたっぷりと聴かせてくれて嬉しかった。ただ、後から思うとこの曲を演奏会の最後にもってきても良かったのではないだろうか。
2曲目『第6番』。これまで聴いてきた限りでは札響の弦はかなり控え目という印象だったが、ここではしっかりとしたユニゾンで北欧の風景を思い浮かべさせるような力強さがあり素晴らしかった。そして、なによりも白眉だったのがオーボエの金子亜未。彼女の奏でるオーボエには常に優美さと力強さが兼ね添えられている。彼女は間違いなく在京オケのオーボエ首席奏者レベルというかそれを上回る世界標準ではないだろうか。時間のあるときは、ぜひとも在京オケに客演していただきたい。
3曲目『第7番』。初演時には交響幻想曲と名付けられたが出版時には第7番と変更されたという曲。交響曲としては珍しい単一楽章の構成。ところが、演奏直後に何処からともなく鈴の音が聞こえてきてガックリ。そして、終曲後に今度は2階席センターから、余韻を潰す「よっしゃー!」の声はかかるは、フライング拍手はするはで、観客たちによってぶち壊されてしまった。尾高忠明はこの演奏会をもって11年間務めた札響音楽監督を辞める。いわば、国内最後の有終の美を飾る公演だったのに・・・。ツイッターなどによると「よっしゃー!」男は「この輩、奥様と一緒に7番の時だけ来ていて、演奏中にはエア指揮していた関西人ぽい人」とのこと。ということで、全国のクラシック・ファンの皆さん、今後はシベリウス第7番がかかる演奏会では注意しましょう。
さて、札響は尾高忠明の後任として、マックス・ポンマーが4月から首席指揮者として就任することが決定している。来年の東京公演が彼の指揮による演奏会なのか、それともラドミル・エリシュカによる指揮の演奏会なのか解らないが楽しみにしている。で、その時は開演前にぜひとも「拍手は指揮者がタクトを下ろしてからお願いします」という放送ならびに「フラブラとよっしゃー!は止めましょう」という掲示をしてもらいたい。