ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

12人の金管スーパースターたち

2015-07-05 22:51:57 | その他
昨日(4日)サントリーホールで開かれたベルリンフィル12人の金管奏者たち(Berlin Philharmonic Brass Ensemble)を聴きに行ってきた。

【演目】(※はアンコール曲)
《良き仲間との気晴らし》/ヘンリー8世
《クリスチャン4世の時代の音楽》
  イントラーダ/A.オロロジオ
  流れよ我が涙/J.ダウランド/流れよ我が涙
  デンマーク王のガイヤルド/J.ダウランド
《3つのコラール前奏曲》/J.S.バッハ
  1. 優しくも愛らしき
  2. 御身は我が傍らに
  3. われらが神は堅き砦
トロンボーン四重奏/ドビュッシー
  1. 神よ、眺めるのはよいもの
  2. 太鼓の音が聞こえても
  3. 冬よ、お前はただのやくざ者
《小さな三文音楽》/K.ワイル
  1. 序曲
  2. 切り裂きマッキーの殺しの歌
  3. 代わりにのソング
  4. 快適な生活のバラード
  5. ポリーの歌
  6. タンゴ・バラード
  7. 大砲ソング

  〜 休憩 〜

《舞台管弦楽のための組曲》/ショスタコーヴィチ
メドレー
  ショウほど素敵な商売はない/バーリン
  "Sacred Concert"よりアリア/エリントン
  プティ・ワルツ/ガーナー
  祈り(合唱)/エリントン
  マイ・フェア・レディ/ロウ
《タンゴ組曲》
  コラレーラ・ミロンガ/アイエータ
  アディオス・ノニーノ/ピアソラ
  エル・チョクロ/ビジョルド
  タンゴ・ジェラシー/ゲーゼ

(※アンコール)
Paso doble-Gypsy Dance/PascualMarquinaNarro
ベルリンの風/パウル・リンケベルリンの風
浜辺の歌/成田為三/
《19時00分開演、21時10分終演》

まず驚いたのが、客層が実に若かったことだ。通常のクラシック演奏会なら私は壮年層か若年層(ちと無理があるか)に入るが、今回は明白に老年層。ロビーには制服姿の女子高生や楽器ケース(もちろん金管楽器)を背負った学生がいっぱいなのである。

そんな彼らにとっては、今回のメンバーは憧れのスーパースターであり、サッカーでいえばメッシでありC.ロナウドなのかもしれない。ということで、開演前、休憩中、終演後の彼らの目の輝きは星とハートのキラキラマークだった。チケットはもちろん完売。

さて、演奏であるが、これはもう素晴らしいの一言に尽きる。演奏者たちに対する形容語には名手、達人、スペシャリスト、エキスパート、匠などという言葉が使われるが、彼らはそれらの言葉を超越していて、もう神の使い手というしかないだろう。その安定した音色、アクセント、呼吸間、アンサンブル、個々の表現力など文句のつけようがない。非の打ち所がない。

そして、選曲のセンスの良さにも感心した。前半は厳かな曲を、後半はリラックスした曲で構成。そして、アンコール曲のセンスも抜群だった。1曲目はよく知らないが、2曲目はリンケの「ベルリンの風」で、客席からも関係者かもしれないが指笛を鳴らす人を入れていて盛り上げる。また、日本の曲を1曲は演奏するだろうなあ、と思っていたら、それが「浜辺の歌」であったことだ。今の若い人は知らないかもしれないが、この歌は木下恵介の名作『二十四の瞳』(主演:高峰秀子)のなかで印象的に使われている名曲である。これを選んだ彼らに敬意を表したい。

最後に、日本の吹奏楽人口は約100万人(経験者は500万人とも)いると言われる。この人口はおそらく吹奏楽大国アメリカに次ぐものではないだろうか。そして、その吹奏楽の半分とは言わないが3分の1は金管(トランペット、トロンボーン、チューバ、ホルンなど)を演奏している。そして、いつの日かこのなかから一人でもベルリンフィルの金管メンバーになってもらいたい。