ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

平日夜にもかかわらずほぼ満席の都響定期

2009-06-25 15:14:21 | 都響
昨日(24日)サントリーホールで開かれた東京都交響楽団の第683回定期演奏会へ行ってきた。指揮は小泉和裕。ホルンは首席奏者の西條貴人。平日夜公演にもかかわらず客席はほぼ満席。演目は地味なのに都響の観客動員力は凄い(?)。

演目
ストラヴィンスキー/交響的幻想曲「花火」
R.シュトラウス/ホルン協奏曲第2番変ホ長調
  ~休 憩~
チャイコフスキー/交響曲第3番ニ長調「ポーランド」
《19時00分開演、20時50分終演》

1曲目。全く初めて聴く曲。確かに花火を連想させてくれる曲だが、それは「たまや~」「かぎや~」といったダイナミックで優雅な「打ち上げ花火」といった感じでなく、かといっていって「線香花火」のような繊細で華麗な花火ではない。しいていえば「ドラゴン花火」のようで、金管と打楽器がキンキン・ガンガン演奏しているような曲だった。

2曲目。ホルン協奏曲を演奏することは珍しい。下世話な話で申し訳ないが、これにはどうも家庭(オーケストラ)の事情があるのではないかと邪推してしまう。というのも、現在、読響が首席ホルン奏者を2名募集している。また、N響も来年には首席奏者の募集をすると思われる。そのために、在京オケでは若手の有能なホルン奏者の引き抜き(移籍)を阻止するために、ホルン協奏曲を演奏しているように思える。今回の都響の西條貴人に続いて、9月には日本フィルも首席奏者の福川伸陽によるホルン協奏曲を演奏する。

これまで西條の音色は都響でもN響(エキストラで何度も出演している)で聴いている。そして、私は彼の吹く音色を高く買っている。しかし、この日の西條は出だしから音が震えるている。やはり相当緊張しているようだ。曲そのものも難曲のようだが、素人の私ですら明らかにミスだろうなと思う箇所がいくつかあった。しかしながら、朗々とした旋律のときは、こだまする音色は魅惑的であり、彼の端正なマスク同様に上品で美しかった。終演後、都響のメンバーがみんな笑顔で西條の演奏を賛えていたが、日本には素晴らしいホルン奏者は数少ないので、都響もメンバー、そして観客も躍起か必至である。

3曲目。チャイコフスキーの交響曲というと第4番・第5番・第6番「悲愴」が有名で、この第3番が演奏される機会は少ない。というのも、この曲は5楽章形式で妙に長く、飽きる箇所が多いからだろう。私もCDで聴いたりすると、あの憂鬱な第3楽章がなければ、どれだけ楽に聴けるのになぁ、などと思ったりする。

第1楽章は「序奏とアレグロ」。いかにもチャイコフスキーという旋律が数多く登場してきて、終曲部分には弦と管の軽快にして爽快感に満ちたオーケストレーションが入る。どことなく交響曲第4番や第5番を思わせるような楽章でもあり、その後への期待感を抱かせる楽章である。それを小泉和裕はカラヤン・スタイルともいうか、足が指揮台に張り付いて、両肘を少しまげて音を下からすくい上げるような指揮していく。

第2楽章は「アラ・テデスカ」(ドイツ風に)。第1楽章から一転してワルツ形式になる。森林をさまよっている動物が踊っているようで、バレエ音楽という感じである。ストリングスはゆったりと流れる旋律を身を任せながらように奏でていく。コンマス(矢部達哉)の動きもしなやかでスムーズだ。

第3楽章は「アンダンテ・エレジアコ」。私にとってもっとも鬱屈した感じの楽章である。ところが、都響の木管・金管陣はそれを逆手に楽しむかのように演奏する。フルート(柳原佑介)に続く、ファゴット(堂阪清高)やホルン(有馬純晴)のソロもしっとりしていて気持ちいい。なんか冷たい畳の上に仰向けに寝ているような心地良さである。それに続くストリングスも柔らかくて美しい。

第4楽章は「スケルツォ」。この楽章も実はかなり鬱屈している。スキップするような旋律でありながら、暗く沈痛した音色にしか聴こえない。憂鬱な第3楽章よりもこちらの楽章の方が無くてもいいのかなぁ、と思ってしまった。

第5楽章「フィナーレ」。ポロネーズのリズムから始まるが、最後はフーガのように勢いよく終わる。ただ、この楽章になると小泉もオケも少し疲れが出てきたのか音のバランスが少しチグハグになる。最後の最後のフーガではティンパニー(久一忠之?)が頑張っていた。

最後に小泉和裕はこの“隠れた名曲”をうまくまとめあげたと思う。ただ、私にはこの曲が残念ながら名曲とは思えない。楽章間の連係がほとんど感じられない。交響曲としての繋がりとか流れを感じないので全体のイメージが把握できない。これならば、非常に似たような曲であるが、カリンニコフの交響曲第1番の方が間違いなく“隠れた名曲”だと思う。カリンニコフの交響曲第1番、どこか演奏してくれないかなぁ。

ラザレフと日本フィルの暴走列車

2009-06-22 17:58:02 | 日本フィル
一昨日(20日)サントリーホールで開かれた日本フィルハーモニー交響楽団第611回東京定期演奏会<プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクト vol.2>へ行ってきた。指揮は首席指揮者のアレクサンドル・ラザレフ。ヴァイオリンはニコラ・ベネデッティ。

ニコラ・ベネデッティは1987年イギリスはスコットランド生まれ。2004年5月にBBC青少年コンクールで優勝。2005年1月にユニバーサルUKからCDデビュー。これまでにロンドン交響楽団をはじめ数多くの欧米のオーケストラと共演。日本でもすでにトッパンホールで単独公演を行っている。使用楽器はストラディヴァリウス“アール・スペンサー”。新進気鋭の才色兼備ヴァイオリニスト。

演目(※はアンコール曲)
チャイコフスキー/組曲第4番《モーツァルティアーナ》
モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 K216
※イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番ト長調から第2楽章
  ~休 憩~
プロコフィエフ/交響曲第2番
※プロコフィエフ/交響組曲「3つのオレンジへの恋」よりマーチ
《14時00分開演、16時05分終演》

1曲目。いきなり脱線話で申し訳ないが、日本フィルの弦楽奏者たちの平均年齢はおそらく在京オケのなかで一番高いと思う。それゆえに日本フィルの弦音はスキップして弾けるような軽快感はないにしろ、ゆったりとした円熟味のある音色が魅力である。その意味ではこの「モーツァルティアーナ」のような少しネバネバ系の旋律はあっているような気がする。

この曲は時にモーツァルト特有の間延びして眠くなったりするが、ラザレフは抑揚ある指揮でモーツァルトのしっとりした音色にチャイコフスキーの華麗な音色をうまくブレンドさせていた。う~ん、いい香りの演奏だった。

2曲目。ニコラ・ベネデッティは白のドレス姿で登場。ブロンド・ヘアによくお似合いで、スタイルも出るところは出て、引き締まるところは引き締まっていて、凹凸がハッキリした抜群のプロポーション。そして、お顔もラテン系美人である。

さて、演奏の方は私が不得手なモーツァルトということもあってか、どうも気怠い。加えて、演奏の方はお身体のような凹凸がはっきりしたアクセントのある音色に聴こえてこない。ただ、アンコール曲では「私はモーツァルトよりこっちなのよ」と言わんばかりの表現をしてくれた。次回来日するときは、デビューCDで評判になったシマノフスキのヴァイオリン協奏曲第1番を是非とも演奏してほしいものである。

3曲目。2楽章構成という非常に珍しい交響曲。プロコフィエフという人は面白い。交響曲第1番ではモダンながらも古典派的な曲を作ったのに、この第2番ではプロコフィエフ自身が「鉄と鋼でできた交響曲」といったぐらいの前衛的世界だ。

第1楽章、冒頭のトランペットを合図に、耳をつんざくような大音響で、サントリーホールの壁が打ち破られんばかりの不協和音の世界が次々と演奏されていく。それはプロコフィエフだけでなくラザレフの世界の大爆発でもあった。先日の準・メルクルとN響の「ボレロ」を暴走列車のような演奏と形容したが、今回はもっとすごい暴走列車だった。まるで3重連の蒸気機関車が煙をたててロシアの大地を走っていくような感じである。もう誰もラザレフ特急を止められない。10月の第3番も期待したい。

「終わり楽しければ全てよし」のN響B定期

2009-06-18 16:33:58 | N響
昨日(17日)サントリーホールで開かれたNHK交響楽団の第1651回定期公演へ行ってきた。指揮は準・メルクル。ヴァイオリンはワディム・レーピン(当初の予定はユリア・フィッシャーだった)。

ワディム・レーピンは1971年ロシア西部、シベリアのノヴォシビルスク生まれ。17歳でエリーザベト王妃国際コンクールに史上最年少優勝。以後、世界中の一流オーケストラと共演、ロシアを代表する世界的ヴァイオリニストである。N響とも過去に4度共演。使用楽器は1736年製グァルネリ・デル・ジェス “Von Szerdahely”。

演目(※アンコール曲)
ファリャ/バレエ組曲「三角帽子」から第2部
ラロ/スペイン交響曲ニ短調
※ラロ/スペイン交響曲より第2楽章
  ~休 憩~
ドビュッシー/「映像第3集」から「イベリア」
ラヴェル/ボレロ
《19時00分開演、21時05分終演》

N響2008/2009シーズン定期公演最終プログラムのテーマはスペイン。ラテン気質の陽気な演目が並ぶ。「終わりよければ全てよし」という言葉は好きではないが、「終わり楽しければ全てよし」といった充実した演奏会だった。

1曲目。軽快にして快活。準・メルクルにはラテン系の血が流れているかと思うぐらい、彼は指揮台上で右へ左へとステップをして踊りまくる。その指揮に乗せられるかのように、普段は沈着冷静なコンマスの堀正文の上体も珍しく揺れる。オケもファリャのお祭り音楽をエンジョイしている。ムイ・ビエ~ン!

2曲目。この曲にはあまり良いイメージがない。ドラマ版「のだめ」でも少し揶揄されていたが、あの冒頭のダッ・ダッ・ダ~ンという重苦しい旋律が好きではないからだ。ところが、この日のN響のダッ・ダッ・ダ~ンはめちゃくちゃに明るい。それも伸びやかな響きで、目からウロコが落ちるではないが、耳からタコが落ちるよう驚きであった。

そして、レーピンの演奏は至ってクール。いとも簡単に難曲をグイグイと弾いていってしまう。それは見た目には軽々しいが、鳴り響く音色はヴァイオリンだけでなくレーピン自身からも奏でられているようだ。そして、第3楽章冒頭のオケの弦による低音もけれん味がなく、それにまた乗せられたかのようにレーピンは最後まで息を切らすことなく歌い続けていった。ファンタスティック!

3曲目。ライブでは初めて聴く。導入部のカスタネットとタンブリンが心地よい。そのあとは思わずステップを踏みたくなるような晴朗な音色が続く。「町と道といなかの道」「夜のかおり」「祭りの朝」と3曲どれもがシャンとしたリズムのなかで、情感に満ちた弦のボーイングと冴えた色彩感のある管の音色が見事にマッチしていく。穏やかにして美しいハーモニーを堪能させてもらった。ラブリィ~!

4曲目。フルートから始まる木管と金管による旋律のリレーでは2~3人のソリストは少し音がうわずったり籠もったりしていたが、ヴァイオリンがピチカートから弓を使うようになってからは、全体の統率感がいきなりグレードアップ。加えて、テンポも徐々にアップして、最後はSL(蒸気機関車)が暴走列車(誉め言葉)となって、一直線にイベリア半島を駆け抜けていくようだった。あ~、気持ち良かった。w 準・メルクル、Good Job !

方向性が見えなかった都響プロムナード

2009-06-15 17:44:06 | 都響
昨日(14日)サントリーホールで開かれた東京都交響楽団のプロムナードコンサートNo.334へ行ってきた。指揮は梅田俊明。ピアノはヴァレリー・アファナシエフ。チケットは完売。ただし空席が結構目立った。

演目(※アンコール曲)
ロッシーニ/歌劇「どろぼうかささぎ」序曲
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調
  ~休 憩~
シベリウス/交響曲第1番ホ短調 
※シベリウス/アンダンテ・フェスティヴォ
《14時00分開演、16時15分終演》

1曲目。威風堂々としたロッシーニ。弦も管も高らかになっていて軽快な響き。オケピではこれだけの音は出すことはまず出来ない(聞こえない)ので、胸ワクワクのとてもいい気分にさせてくれる。しかし、ちょっと鳴らしすぎかなぁ、と危惧をしてしまったが、その予感が後に現実となってしまった。

2曲目。アファナシエフはピアニストとしてだけでなく指揮者としても活躍している。そのせいもあるのだろうか、演奏は終始一貫、彼が奏でるピアノがオケをリードするという感じで、ソリスト・指揮者・オケが三位一体の協奏曲ではなく、伴奏付きピアノ・ソナタといった感じの協奏曲だった。

アファナシエフの演奏はかなりのスローで、どことなく気怠い感じがする。それでも彼の老獪なタッチは、時に聴く者の肌を針で刺すような刺激感があったりする。そして、その風貌からして「妖怪」が魔界の音楽を奏でているようでもある。それがアファナシエフの個性であり、アクの強さであろう。そのために、ベートーヴェンの協奏曲を聴いているというよりも、アファナシエフのピアノを聴いている感じだった。それにしても、もう少し指揮者やオケの存在感を出してほしかった。

3曲目。シベリウスの交響曲というと北欧のイメージだが、第1番はその色彩感がまだ薄い。というのも、シペリウスは最初の交響曲を創るにあたって、ベルリオーズの「幻想交響曲」の影響をかなりうけたようで、この交響曲は外見的な「情景」だけでなく、内面的な「情感」の表現にもかなりの比重を置いていると思われる。特に第4楽章は「幻想曲風に」とタイトルがあるように、彼が初めて書いた交響曲への意欲が喜怒哀楽となっている。そして、それをもっとも表わすのがティンパニーなのだが、残念ながらこの日のティンパニーは明らかに鳴らし過ぎで、これでは情景も情感もあったものではない。ただ、救いといっては申し訳ないがアンコールは弦とティンパニーだけの曲だが、これは見事な調和にとれた演奏だった。

最後に、このコンサート、いろいろな人が気負い過ぎというか、チグハグというか統一感が見えないものだった。指揮者、ソリスト、オケのベクトルが全く違うように見えたのは私だけだったのだろうか。

準・メルクル&N響の「夏の夜の夢」

2009-06-13 15:36:32 | N響
昨日(12日)NHKホールで開かれたNHK交響楽団の第1650回定期公演へ行ってきた。指揮は準・メルクル。ピアノはジャン・フレデリック・ヌーブルジェ。

ジャン・フレデリック・ヌーブルジェは1986年フランス・パリ生まれ。17歳でパリ国立高等音楽院卒業。2004年ロン・ティボー国際音楽コンクール3位に入賞して、各地の音楽祭に招かれるようになる。2006年のヤング・コンサート・アーティスト国際オーディション優勝。その年の暮れに、ニューヨークとワシントンでリサイタルを開催する。また、2007年11月にはリヨン管と一緒に来日している。

演目
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調
  ~休 憩~
メンデルスゾーン/劇音楽「夏の夜の夢」
  ソプラノ:半田美和子
  メゾ・ソプラノ:加納悦子
  合唱:東京音楽大学
  語り:中井貴惠
《19時00分開演、21時10分終演》

1曲目。ベートーヴェンの交響曲と協奏曲はほとんど聴いていると思っていたが、このピアノ協奏曲第1番を生で聴くのは初めて。ジャン・フレデリック・ヌーブルジェはオケによる序奏のなかでイメージを含ませたなかでピアノに向かう。しかし、彼の顔はピアノと正対することなくオーケストラというか、オケのなかに置いてあるカメラの方を向いている。顔が左に傾くのがクセなのだろうか。そして、遠目で定かではないが、彼の指はかなり長いようで鍵盤が妙に窮屈に見える。そのせいもあるのだろうか、彼が奏でる音色はどことなく硬質な感じがして、滑らかさや柔らかさを感じさせない。

第1楽章後半部分にあるカンデンツァでも、彼が奏でる音色は色彩感のあるフランス的でなく、少し地味なモノトーンのようなドイツ的な音色である。また、緩やかな第2楽章ではいわゆる情感たっぷり弾くというのではなく、淡泊にあっさりと奏でる。しかしながら、第3楽章ではリズミカルに自分の思いを鍵盤に叩きつけていく。そんな彼を見守るかのようにN響もベートーヴェンならではの荘厳な響きをさりげなくサポートする。

ジャン・フレデリック・ヌーブルジェは期待の若手ピアニストだが、感情的な部分がまだまだ空回りしているようで、もう少しどっしりと腰をすえてピアノに向かってほしい気がした。

2曲目。お目当ての「夏の夜の夢」。今年はメンデスルゾーン生誕200年ということで、メンデルスゾーン作品が目白押し。そのなかでも期待していたのがこの「夏の夜の夢」全曲演奏。来月の読響の尾高忠明によるオール・メンデスルゾーン・プロも期待しているが。

冒頭の「序曲」はコンマス(まろさま)率いる弦の囁くような音色がシェイクスピアの劇世界に導く。その後に中井貴恵が「夏の夜の夢」のストーリーを一通り説明。そして「スケルツォ」へと進んでいき前半のハイライトの「歌と合唱」。ソプラノ(半田美和子)の歌声はとても可憐で透き通っていて妖精パックのようである。また、メゾ・ソプラノ(加納悦子)と女性合唱団(東京音楽大学)の歌声も美しい。もう少し聴いていたいような曲だが意外に短いのである・・・。

中盤は「間奏曲」「夜想曲」から誰も知っている「結婚行進曲」と続く。そして、最後は有名な「道化師の踊り」からまた「歌と合唱」へと戻る。しかし、残念なのがソプラノとメゾ・ソプラノの歌声がよく聞こえないのだ。やはり彼女らの立ち位置を弦の後ろ、木管の横にしたことは間違いであろう。2人が最後に気持ちよく歌って、メンデルスゾーンおよびシェイクスピアの劇世界の幕を閉じてもらうためには、やはり最前列にすべきではなかっただろうか。

開演前の室内楽は平野秀清、藤村俊介、銅銀久弥の3人のチェリストによるハイドンの「3台のチェロのためのディヴェルティメントニ長調」だった。平野秀清(チェリスト平野玲音の父)は8月に定年退職とのこと。N響在職35年、本当におつかれさまでした。

庄司紗矢香お目当てだったN響定期

2009-06-10 13:16:54 | N響
一昨昨日(7日)NHKホールで開かれたNHK交響楽団の第1649回定期公演へ行ってきた。指揮はジョナサン・ノット。ヴァイオリンは庄司紗矢香。

演目(※アンコール曲)
ストラヴィンスキー/管楽器のための交響曲
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調
※レーガー/プレリュード
  ~休 憩~
ラヴェル/優雅で感傷的なワルツ
ドビュッシー/交響詩「海」
《15時00分開演、16時50分終演》

1曲目。「管楽器のための交響曲」ということだけあって、舞台には弦がひとりもいない。そのために、指揮台と管弦楽器奏者たちの間があり、それこそ間抜けな演奏光景である。いくら次の曲のための舞台転換を簡略化するとはいえ、指揮台をもう少し近づけるなりしてほしかった。というわけで、演奏も指揮者と管弦楽の密着感がなく、どことなく拡散しているような気がした。主旋律はフルート(客演:日本フィルの真鍋恵子)が奏でる。彼女の音色はとってもクリアなのだが、低音部では音質の幅というかボリューム感をもう少し押し出してほしかった。

2曲目。お目当ての庄司紗矢香の登場である。ヴァイオリン協奏曲のなかでも難曲中の難曲といわれ、緩ー急ー緩という珍しい構成の協奏曲でもある。演奏開始後の庄司は素っ気ない。醒めている。クールである。いや、ふてぶてしいと言ってもいいかもしれない。しかし、彼女が奏でるヴァイオリンの音色は素晴らしい。その演奏態度とは似ても似つかない感性豊かな音色がビシッビシッと観客に突き刺さっていく。第2楽章ではプロコフィエフならではちょっと不協和音ながらも躍動感ある旋律を弱音強音を見事にちりばめながら、人間のもつ喜怒哀楽を表現していく。そして、第3楽章になると、もはやNHKホールは彼女ためにあるような独壇場になり、誰もが彼女を凝視するかのようであり、その音色はもはや空いた口が塞がらないようになっていた。素晴らしい~~~

庄司紗矢香は1715年製ストラディバリウス“ヨアヒム”を完全に自分の手中にした感じである。日本の女性ヴァイオリニストといえば、諏訪内晶子、五嶋みどり、竹澤恭子と3人のお姉さんが世界的に活躍しているが、庄司紗矢香はもう彼女らと肩を並べる実力の持ち主となったようで、世界の何処へ行っても観客を魅了することができるだろう。

3曲目。この曲は8つのワルツを連ねた形をとるが、どれもがラヴェルの名曲「ラ・ヴァルス」に似ている。以前、日本フィルでもこの曲を聴いたことがあるが、どことなくラヴェルのオーケストレーションのダイジェスト版を聴いているようで物足りない。今回のN響の演奏でもその感じは拭いきれず、この日の演目のなかでもっとも拍手の数が少なかった。

4曲目。ジョナサン・ノットの指揮はコンパクトだ。それでも大編成なオケを的確にまとめてあげていく。そして、弦からはドビュッシー特有のうねるような音色を次から次へと紡ぎだしていく。そして、木管・金管からはきらびやかな色彩感をつけ加えていく。ドビューシーはこの曲「海」の初版表紙に葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を使っているが、ノットもその意図を汲んで指揮をしたのではないだろうか。しなやかでN響ならではの艶のある演奏だった。終演後、第2ヴァイオリンのお姉さん(斎藤麻衣子)から花束をもらったノットの顔も歓びに満ちていた。

Mixiにみるクラシック音楽ファンの傾向

2009-06-05 13:51:33 | Weblog
あまり意味のあるデータではないかもしれないが、ちょっと気になったので調べてみた。( / )内の数字は左側が現時点(6月5日現在)でのMixiでのコミュニティ参加者数。右側はオーケストラ連盟が公開している資料による2007年の各オーケストラの会員数。
(※コミュニティとはMixiのなかでファンが集うネット上のサークルのようなもの)

NHK交響楽団         (2,056人 / 10,111人)
東京都交響楽団         (432人 / 3,335人)
東京交響楽団          (383人 / 3,548人)
東京フィルハーモニー交響楽団  (414人 / 3,514人)
日本フィルハーモニー交響楽団  (197人 / 2,625人)
新日本フィルハーモニー交響楽団 (595人 / 4,402人)
読売日本交響楽団        (223人 / 3,996人)

札幌交響楽団          (145人 / 2,884人)
オーケストラ・アンサンブル金沢 (184人 / 2,793人)
名古屋フィルハーモニー交響楽団 (248人 / 2,881人)
京都市交響楽団         (251人 / 689人)
大阪フィルハーモニー交響楽団  (494人 / 1,366人)

ご覧のようにN響がMixiのコミュニティ参加者数、定期会員数でも群を抜いている。これはNHKという全国放送をもった母体が背景にあるので、他とは比較しようがないだろう。

この数字だけを見ると在京オケのなかでは、新日本フィルの頑張りは目を見張るものがある。Mixiのコミュ参加者数、定期会員数どちらにおいてもN響を除いては一番なのである。すみだトリフォニーホールという素晴らしいホールをフランチャイズに、Mixi利用者が多い20代~30代をもうまく取り込んでいるということだろう。反対に日本フィルは在京オケのなかでもどちらでも一番少なく、もう少し努力が必要ではないだろうか。

地方オケでは札幌交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、名古屋フィルハーモニー交響楽団は地元の支持をうまく取り纏めているような気がする。それだけ充実した演奏会を催しているという証しなのかもしれない。一方、関西地区は上記にあげたオケ以外に、関西フィル、大阪センチュリー響とあり、分散化傾向があると共にクラシック音楽の土壌はさほど強いという感じはしないような気がする。

この数字比較はクラシック音楽ファン全体を見るときに、さほど意味があるものとはいえないかもしれない。ただ、Mixiにおけるクラシック音楽ファンの傾向を見るうえではちょっと面白い。

6月のコンサート鑑賞予定

2009-06-03 15:27:36 | Weblog
5月はN響の3定期公演に行ったが、6月も同様になってしまった。N響偏重と言われても仕方がないが、なにぶん自宅から近いホールがNHKホール、オーチャードホール、サントリーホールなのだから仕方がない。(言い訳)

7日 (日) NHK交響楽団@NHKホール
12日(金) NHK交響楽団@NHKホール
14日(日) 東京都交響楽団@サントリーホール
17日(水) NHK交響楽団@サントリーホール
20日(土) 日本フィルハーモニー@サントリーホール
27日(土) ハノーファー北ドイツフィルハーモニー@サントリーホール

この他にも24日(水)の都響公演にも食指が動いている。7月はN響定期がないので、読響、日本フィル、東京フィルなどに行く予定でいる。