ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

尾高忠明&札響+ペレーニ

2011-03-02 12:15:49 | 国内オーケストラ

昨日(3月1日)サントリーホールでの札幌交響楽団東京公演を聴いてきた。指揮は尾高忠明。チェロはミクローシュ・ペレーニ。

【演目】(※はアンコール曲)
武満徹/ハウ・スロー・ザ・ウィンド−オーケストラのための(1991)
ショスタコーヴィチ/チェロ協奏曲第2番ト短調
  ~休 憩~
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調
※シベリウス/アンダンテフェスティーボ
《19時10分開演、21時25分終演》

札幌交響楽団の指揮者陣は、音楽監督が尾高忠明(新国立劇場芸術監督・N響正指揮者)、正指揮者が高関健(前・群馬交響楽団音楽監督)、首席客演指揮者がラドミル・エリシュカ(チェコ・ドヴォルザーク協会会長)と、日本の地方オケのなかでは屈指のメンバーを揃えている。そして、本拠地(行ったことはないが)はその響きが定評のKitaraホールで、地方オケとしてはかなり恵まれた環境にあるのではないだろうか。

1曲目。私の不得手なタケミツである。いつもながら、60年代から70年代の映画音楽的な曲だなぁと聴いていたら、どこかで聴いたことのあるような旋律や色彩が聴こえてくる。あ、これって「夢千代日記」と思ってしまった。タケミツはテレビドラマの音楽は少ないはずなので、「夢千代日記」がタケミツなのかどうか聴いているときは解らなかったが、帰って調べたら案の定であった。

2曲目。今回のお目当て。ミクローシュ・ペレーニは一番のお気に入りチェリスト。飄々としながらも、独特の長いボーイングから深みと厚みのある音色で、チェロがもつ優雅さと力強さを“体感”させてくれる奏者。

ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番は何度も聴いているが、第2番は初めて聴く。この曲はおそらくテクニック的にはさほど難しさはないと思うが、テンポの取り方やオケとの合わせ方がかなり高度なのではないだろうか。そんななかで、第2楽章の聴かせどころであるスケルツォでのホルンとの掛け合いは素晴らしかった。また、コンマス(伊藤亮太郎)率いるヴァイオリン陣との音色の重ねあわせも綺麗に溶け込んでいて、ショスタコーヴィチ特有のテンポとリズムの世界を堪能することができた。言葉は少し可笑しいかもしれないが、チェロの職人芸を聴いた思いだった。ブラボー!

3曲目。出だしのコントラバスが甘い。結局、この甘さが最後まで尾を引いてしまったのか、この曲の持つインパクトを弱くしてしまった。加えて、チェロ協奏曲では愁眉だったホルン陣が5人に増えたことによってアンサンブルがうまく整わなくなり、他の木管陣も2曲目とはうってかわって、妙に肩に力が入ってしまい、その音色に輝きを感じられない。

一方で、金管陣は素晴らしい。どっしりとした大地に根を下ろしたような力強さを感じさせてくれた。そして、何よりも白眉だったのがヴァイオリン陣。いや~、在京オケも真っ青の音色で、終始一貫素晴らしく、尾高忠明も「札響のヴァイオリンを聴けよ!」と言わんばかりに、ヴァイオリン陣に対しての指示と煽りの多い指揮だった。

アンコールも結局は弦楽とティンパニーだけで、ヴァイオリン陣の爽やかな北の大地の風を運んでくるような美麗な音色に聴き惚れてしまった。

最後にサントリーホールに苦言をひとつ。開演前に当日券には雨のなか長蛇の列。以前にも書いたが、サントリーホールの当日券はボックスのなかに係員がひとりいるだけで処理している。これではチケットをなかなか裁くことはできない。おそらく、この処理の遅さから開演時間が10分遅れたに違いない。それにしても、クラシックのお客さんは品がいいというか、誰もこのどうしようもない対応に文句を言わないのだろうか。これが演劇だったらお客さんは暴言の一言二言を吐いて帰ってしまう。こんな殿様商売的対応をしていては、クラシック音楽の裾野は広がることはない。



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