一昨日(4月27日)サントリーホールでのNHK交響楽団第1699回定期公演を聴いてきた。指揮はロジャー・ノリントン。ピアノはマルティン・ヘルムヒェン。
【演目】
ベートーヴェン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調
~休 憩~
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」
《19時00分開演、20時45分終演》
2ヶ月ぶりのN響である。ただし、私の不得手なノリントンである。
1曲目。舞台に登場したノリントンのお腹は♪だるまさんが転んだ♪状態。日本に来て美味しいものを食べ過ぎてこんなになってしまったのだろうか。ただし、ベートーヴェンが残したバレエ音楽の序曲を可もなく不可もなく自然体で指揮をする。
2曲目。ベートーヴェンの交響曲のなかでもっとも演奏される機会の少ない第2番。理由はなぜだろうかと真剣になって聴いたが、う~ん、眠くなる。私にはまるでモーツァルトのような睡眠導入音楽にしか聴こえない。楽聖ベートーヴェンには申し訳ないが、ミーハーな私には残念ながらあまり受け入れられる曲ではなかった。
休憩を挟んで後半がピアノ協奏曲。このプログラミングはなかなかオツかなぁなどと思っていたが、それ以上のものだった。
マルティン・ヘルムヒェンは1982年ベルリン生まれ。N響には今回が3回目の登場だが、前2回はとも聴き逃している。
第1楽章。軽やかである。しかし、華やかにしてきらびやかである。冷静沈着な「皇帝」である。それでいて背筋にゾクゾクとした衝撃も走る。長くのびた指先が鍵盤の上を流れていく。その指は決して気負うこともなく、滑らかに鍵盤を叩いていく。というよりも、置かれていく。この人のピアノの弾き方は理想的というか、クセがなくて良い。姿勢はいつも正しく、ピアノに妙に覆い被さったりするようなことはない。常に貴公子然としてピアノと向き合って正々堂々としている。
第1楽章が終わったあと、観客席のあちらこちらから緊張感がほぐれたようなため息が聞こえ、舞台上ではノリントンはすでにヘルムヒェンに拍手を送っていた。
第2楽章。ソナタ形式のような緩徐楽章であるが、ここでもヘルムヒェンはピアノと正対して、身体を大きく振ることもなく、感情移入することなく坦々と旋律を奏でていく。かといって、奏でられる音色は優美であり、心を清らかにしてくれる。素晴らしい~~。
第3楽章。ベートーヴェンならではの生き生きとしたリズムと旋律をヘルムヒェンは次々と奏でていく。ただし、彼の奏であげる「皇帝」は決して威厳に満ちたものではなく、穏やかでとても庶民的である。ひょっとすると、彼は今回の大震災のことを考えて「庶民そのものが皇帝なのだ」というメッセージを発していたのかもしれない。つまり彼の「皇帝」は「主権在民」だったのかも。
いずれにしろ名演奏であった。放送日時などは未定だが、映像で再度楽しみたいと思う。
【演目】
ベートーヴェン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲
ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調
~休 憩~
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」
《19時00分開演、20時45分終演》
2ヶ月ぶりのN響である。ただし、私の不得手なノリントンである。
1曲目。舞台に登場したノリントンのお腹は♪だるまさんが転んだ♪状態。日本に来て美味しいものを食べ過ぎてこんなになってしまったのだろうか。ただし、ベートーヴェンが残したバレエ音楽の序曲を可もなく不可もなく自然体で指揮をする。
2曲目。ベートーヴェンの交響曲のなかでもっとも演奏される機会の少ない第2番。理由はなぜだろうかと真剣になって聴いたが、う~ん、眠くなる。私にはまるでモーツァルトのような睡眠導入音楽にしか聴こえない。楽聖ベートーヴェンには申し訳ないが、ミーハーな私には残念ながらあまり受け入れられる曲ではなかった。
休憩を挟んで後半がピアノ協奏曲。このプログラミングはなかなかオツかなぁなどと思っていたが、それ以上のものだった。
マルティン・ヘルムヒェンは1982年ベルリン生まれ。N響には今回が3回目の登場だが、前2回はとも聴き逃している。
第1楽章。軽やかである。しかし、華やかにしてきらびやかである。冷静沈着な「皇帝」である。それでいて背筋にゾクゾクとした衝撃も走る。長くのびた指先が鍵盤の上を流れていく。その指は決して気負うこともなく、滑らかに鍵盤を叩いていく。というよりも、置かれていく。この人のピアノの弾き方は理想的というか、クセがなくて良い。姿勢はいつも正しく、ピアノに妙に覆い被さったりするようなことはない。常に貴公子然としてピアノと向き合って正々堂々としている。
第1楽章が終わったあと、観客席のあちらこちらから緊張感がほぐれたようなため息が聞こえ、舞台上ではノリントンはすでにヘルムヒェンに拍手を送っていた。
第2楽章。ソナタ形式のような緩徐楽章であるが、ここでもヘルムヒェンはピアノと正対して、身体を大きく振ることもなく、感情移入することなく坦々と旋律を奏でていく。かといって、奏でられる音色は優美であり、心を清らかにしてくれる。素晴らしい~~。
第3楽章。ベートーヴェンならではの生き生きとしたリズムと旋律をヘルムヒェンは次々と奏でていく。ただし、彼の奏であげる「皇帝」は決して威厳に満ちたものではなく、穏やかでとても庶民的である。ひょっとすると、彼は今回の大震災のことを考えて「庶民そのものが皇帝なのだ」というメッセージを発していたのかもしれない。つまり彼の「皇帝」は「主権在民」だったのかも。
いずれにしろ名演奏であった。放送日時などは未定だが、映像で再度楽しみたいと思う。