ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

N響の名曲プログラム@B定期

2015-05-22 00:24:00 | N響
一昨日(20日)サントリーホールで開かれたNHK交響楽団第1810回定期公演Bプログラム(1日目)を聴いてきた。指揮はエド・デ・ワールト。ヴァイオリンはギル・シャハム。

【演目】(※はアンコール曲)
シューマン/「マンフレッド」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調
※バッハ/無伴奏パルティ―タ3番 BWV10
   〜休 憩〜
ブラームス/交響曲第2番ニ長調
《19時00分開演、20時50分終演》

名曲プログラムである。そのせいかどうかわからないが客席に空席が少なく、P席センター(12席×6列)は完全に埋まっていた。10年余N響B定期に通っているが、このような光景を見たのは初めてかもしれない。(苦笑)

1曲目。先日のC定期では指揮台に椅子を置いていたエド・デ・ワールトだが、今回は無しでこのマンフレッド序曲からエンジン全開の矍鑠たる指揮ぶり。バランス感を大事にしているようで、とても端正のある響きを引き出していた。

2曲目。ギル・シャハムはこれまでに2度聴いているが、その音色の美しさと繊細さは相変わらず。得意のメンコンをお茶の子さいさいといった感じで、まるで指揮ぶりのようにして弾いていく。この人に手にかかったらどんな協奏曲も天使の歌声な音色になるのではないかと、うっとりしながら聴きいってしまった。

3曲目。エド・デ・ワールトの弦の使い方は巧妙だ。第1・第2ヴァイオリンに対してはモーツァルトのような流麗にして精微な音色を求め、ヴィオラ・チェロ・コントラバスに対してはベートーヴェンのような威厳と品格を求めているような指示を出す。そして、木管金管がその中和剤になり、ブラームスの「田園」とも呼ばれる明るく解放的な音色を作りあげていく。それにしても、N響の弦は上手い。何度も書くがN響の弦は世界のトップクラスのオケと同等の輝きがある。

オペラ『椿姫』@新国立劇場

2015-05-14 22:24:53 | オペラ
昨日(13日)新国立劇場・オペラ劇場で公演された『椿姫』(2日目)を観てきた。音楽はジュゼッペ・ヴェルディ。演出はヴァンサン・ブサール。指揮はイヴ・アベル。管弦楽は東京フィルハーモニー管弦楽団。主な出演者は下記の通り。

 ヴィオレッタ:ベルナルダ・ボブロ
 アルフレード:アントニオ・ポーリ
 ジェルモン:アルフレード・ダザ
 フローラ:山下牧子
 ガストン子爵:小原啓楼
 ドゥフォール男爵:須藤慎吾
 ドビニー侯爵:北川辰彦
 医師グランヴィル:鹿野由之
 アンニーナ:与田朝子
 合唱:新国立劇場合唱団
 《14時00分開演、16時50分終演》休憩1回

舞台はセンター近くから下手側(左側)にかけては全面鏡張りの壁。一方の上手側(右側)は書割だったり紗幕だったりと変化する。そしてフロアは光沢のある材質を使い、少しだけだが舞台がオケピまで張り出している。新国立劇場で張り出し舞台を見たのは初めてかも。あと天井から大きなシャンデリアが吊るされている。舞台美術はシンプルながらも多角的であり立体感もある。そして、このシンプルな舞台美術が歌い手にとっては大きな反響板にもなり、出演者に安心感を与えている。

さて、出演者ではヴィオレッタを演じたベルナルダ・ボブロは文句なしに及第点だ。伸びと艶やのある歌声はヒロインとしての存在感をしっかり出している上、その振る舞いも社交界の裏ヒロイン(高級娼婦)を見事に演じていて、十二分に観客を魅了する力をもっている。それに対して、アルフレードのアントニオ・ポーリは少し非力だ。この役はヴィオレッタの引き立て役で辛い役なのだが、歌声は悪くないのだからもう少し演技力で存在感を出して欲しかった。逆にその父親であるジェルモン役のアルフレード・ダザの方がそれなりの存在感を示してくれた。

指揮のイヴ・アベルは2011年の『蝶々夫人』のときも上手い指揮者だなあと思ったが、今回はそのときを上回るような指揮ぶりで、先日の『運命の力』では散々だった東京フィルから本当に同じオケなの?と思うぐらい、メリハリと輝きのある音色を引き出していた。また、プロンプター・ボックスがない舞台美術にもかかわらず出演者に出す指示も常に的確のように思えた。

オペラが指揮者によってこうも変わるものかということを実感させてくれた公演だった。新国立劇場が今後も彼を多用することを強く望みたい。

飯守泰次郎&東京シティ・フィルのブル8

2015-05-11 11:07:06 | 東京シティフィル
一昨日(9日)はオペラシティで開かれた東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第289回定期演奏会を聴いてきた。指揮は飯守泰次郎。

【演目】
ブルックナー/交響曲第8番ノヴァーク版第2稿1890年
《14時00分開演、15時35分終演》

開演前にステージ上に3階(下手側=L席側)バルコニー席から何かが落下。財布もしくは携帯電話かと思われるが、幸い演奏前で舞台上はスタッフだけで誰にも当たることはなかったが、バルコニー席などの最前列に座る人はとにかく物を落とさないように注意をしていただきたい。

第1楽章。前日にちょっと飲みすぎたので、聴覚的脳細胞はしどろもどろというか微睡み状態で、申し訳ないことにさほど記憶に残ることがなかった。マチネ公演の前日は飲んではいけないという教訓だけが残った。

第2楽章。この曲で私が一番好きな楽章である。2台のハープの音色が艶やかで弦全体の格調を引き上げていく感じ。加えてビオラとチェロの音色が美しかった。

第3楽章。アダージョ。コンマス(戸澤哲夫)を中心とした弦がしっとりと聴かせてくれる。ここでも中低弦のヴィオラとチェロの音色が美しい。妙なことを書くが、この日はヴィオラは10人中男性2人で女性主体、一方チェロは8人中女性1人で男性主体という編成。この編成が上手く音色にマッチしていたのかもしれない・・・?

第4楽章。トロンボーンやチューバ陣の音色は鮮やか。加えて、ティンパニーのテンポとリズムが爽快。しかし、ホルンやワーグナーチューバに冴えが感じられない。フィナーレは弦も全エネルギーを集中して大団円を迎えるが、ブルックナー特有の壮絶さというか豪快さで圧倒されるという体感を得ることはできなかった。

終演後は盛大な拍手が続き、最後はマエストロ飯守を舞台に呼び戻す“一般参賀”となったが、これはブルックナー演奏会では、もはやお決まり行事のような感じ。ブルオタの皆さんは本当に“一般参賀”が好きである・・・。