ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

井上道義&新日本フィル@夏のミューザ川崎

2009-08-05 21:37:08 | 新日本フィル
昨日(4日)、ミューザ川崎で開かれている「フェスタ・サマーミューザKAWASAKI」の新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会に行ってきた。指揮は井上道義。

演目(※アンコール曲)
グローフェ/組曲「グランド・キャニオン」より「日の出」「日没」
伊福部昭/管弦楽のための「日本組曲」より「七夕」「盆踊」
ドビュッシー/交響詩「海」~3つの音楽的スケッチ~
※ルロイ・アンダーソン/プリンク・プレンク・プランク
《15時00分開演、16時05分終演》

平日の昼公演。さすがに観客は少ない。その数は4~5百人。それでも、指揮の井上道義は「昔は川崎を馬鹿にしていました。しかし、今はこんなりっぱなホールがあり、昼公演にもかかわらず、これだけのお客さんが入っている」と無理のあるゴマをすっていた。(笑)

プログラムは非常に魅力的だ。アメリカ、日本、フランスの土着性・民族性音楽のオンパレードである。ただ、できれば「グランド・キャニオン」もしくは「日本組曲」どちらかは全曲を演奏してほしかった。

「グランド・キャニオン」を聴くのは初めて。まるで映画音楽のようである。グランド・キャニオンへは2度ほど行ったことがある。キャンプもして日の出も日の入りも見ている。グローフェはあの赤茶けた渓谷がグラデーションのように変色していく姿を見事に表現している。う~ん、全曲聴いてみたい。

「日本組曲」は伊福部昭の代表作のひとつ。本来は「盆踊」「七夕」「演伶(ながし)」「佞武多(ねぶた)」の4曲編成で、そもそもはピアノ組曲として作曲され、1991年に管弦楽用に編曲された。そして、井上道義&新日本フィルが初演した。つまり、老舗の演奏である。井上は「七夕」ではごく普通に指揮していたが、「盆踊」では指揮をするというより、盆踊りしたり、舟を漕いだりと、太鼓を叩いたりとパフォーマスで伊福部音楽の面白さを伝えようとしていた。グッドジョブだ。

ドビュッシーの「海」は何度も聴いているせいか、それとも昼の誘いが身体に押し寄せてきてしまったのか、贅沢な眠りの時間を過ごしてしまった。ところで、フルート首席が倉田優(読響)、ヴィオラ首席が井野邊大輔(N響)に見えたのは幻覚だったのだろうか。

現田茂夫&N響@夏のミューザ川崎

2009-08-03 12:56:09 | N響
一昨日(1日)、ミューザ川崎で開かれている「フェスタ・サマーミューザKAWASAKI」のNHK交響楽団の演奏会に行ってきた。指揮は現田茂夫(奥様はソプラノの佐藤しのぶ)。司会は黒崎めぐみ(NHKアナ)。

演目(※アンコール曲)
ホルスト/吹奏楽のための第2組曲
伊藤康英/吹奏楽のための交響詩「ぐるりよざ」より「祭り」
  ~舞台転換(休憩ではない)~
ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
レスピーギ/交響詩「ローマの祭」
※マスカーニ/「カヴァレリア・ルスティカーナ」より「間奏曲」
《16時00分開演、17時20分終演》

「プレ・コンサート」
ロッシーニ/チェロとコントラバスの二重奏曲より第1、第3楽章
  by 西山ツインズ(チェロとコントラバス)
ドビュッシー/小組曲(小舟にて、行列、メヌエット、バレエ)
  by12人のおじさんクラリネッターズ
《14時50分開演、15時25分終演》

ミューザ川崎はやはり音が素晴らしい。「プレコンサート」でのたった2人の西山ツインズによるチョロとコントバスの曲も、大編成の「ローマの祭」もどちも見事な音響を聴かせてくれた。こんなことを書くと怒られるだろうが、もったいない! 川崎にはもったいないホールである。なんで東京にないのだ。m(_ _)m あの音だからベルリン・フィルもウィーン・フィルも日本に来たらここで演奏するのだろう。東響には申し訳ないが、他のオケももっとここを使うべきである。

さて、演奏の方だが最初に「プレ・コンサート」から。西山兄弟が双子とは知らなかった。調べてみると2人とも同じ高校、同じ大学、そして同時にN響に入団している。一心同体である。それゆえか、楽器が違っても演奏の仕方、身のこなし方はほとんど同じ。声質にいたっては全く同じ。オケで2人が入れ替わって演奏しても観客はまず気づくことはないだろう。

次の12人のクラリネットのおじさんズがゾロゾロと登場したときは、場内から少し笑い声が・・・。最近はどこのオケにも女性クラネット奏者がいるが、N響には残念ながらいない。リーダーである横川晴児が「東京中の20代から60代の有能なクラリネット奏者が一同に会したので」ということで、演奏したドビュッシーは素晴らしかった。ソプラノからバスまでの数種類のクラリネットが繰り出す音色は、単なる木管楽器ではなくミニ・オーケストラのような感じすらする。クラリネットが吹奏楽の核となることがよく解った。

吹奏楽の1曲目のホルストでは、ホルン陣の調和のとれた響きが耳に心地よかった。NHKホールではまず聴くことができない、ホルンのサラウンドする柔和な残響がミューザ川崎では聴くことができる。う~ん、シカゴ響もここでやってほしい。2曲目はまったく初めて聴く曲だが、かなりハイレベルな難曲。「長崎ぶらぶら節」などが入っているというが、音階がかなり複雑なような気がした。それを現田茂夫は音圧に重点をおいて、呪術かつ祭儀的な演奏にまとめあげる。2年前から休んでいたフルートの中野富雄がこの吹奏楽だけに参加していた。

オケはかなりの大編成。フルート首席が美人の宮崎由美香。オーボエのおじさんは左に池田昭子、右に宮崎と挟まれてどことなく鼻の下が長い。ホルンには村中美菜(日本フィル)もいて私は嬉しい限り。N響は美人路線に変更したのだろうか。(笑)

「ローマの謝肉祭」は弦がまだ暖まっていなかったせいか、少し精彩を欠いた演奏であったが、「ローマの祭」はワンダフルだった。昨年のN響定期(マッシモ・ザネッティ指揮)も素晴らしかったが、音響の差だろうか、それとも現田が意識した音圧のせいだろうか、最後は怒濤の迫力に圧倒されそうであった。そして、アンコール曲ではハープの早川りさこも登場して、N響独自の優しくしなやかな弦の音色をたっぷりと聴かせてくれた。

音も素晴らしかったが、美人奏者も数多く登場して目にも優しいコンサートであった。w