ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

精彩に欠ける読響

2013-11-24 21:06:43 | 読響
一昨日(22日)サンントリーホールで開かれた読売日本交響楽団第531回定期演奏会に行ってきた。指揮は上岡敏之。ピアノはデジュ・ラーンキ。

【演目】
ブラームス/ピアノ協奏曲第2番変ロ長調
  ~休 憩~
ブラームス/交響曲第3ヘ長調
《19時00分開演、20時55分終演》

上岡敏之は好きな日本人指揮者の一人だ。大胆な解釈と情熱的な指揮に共感を覚えるからである。しかし、この日の上岡はトレードマークともいうべき突っ張った傘のような前髪がなくなり、指揮も以前のように尖ったところがなく面白味にかけた。

1曲目。ブラームスの協奏曲というと交響曲的色彩が濃いが、上岡&デジュ・ラーンキによる演奏はいたってシンプルで、ピアノは独奏、オケは伴奏といった感じで一般的な協奏曲的な趣きであった。そんななかで、白眉だったのが第3楽章のチェロの演奏。私の座席からはピアノに隠れて誰が弾いているのか解らなかったが、その音色があまりにも美しく、ピアノを完全に凌駕していた。そして、帰宅後に判明したのだが、この日のチェロ首席はゲストの宮田大とのことだった。そりゃ、巧いわ~。(笑)Twitterには共演者から「チェロの宮田大さん、ブラームスのピアコンのソロ、あまりの美しさに(本番中ではありましたが)ここはどこ、私は誰状態に。。贅沢な、あまりに贅沢なヒトトキ。。」とまでツイートされているではないか。彼のチェロを聴けただけがこの日の唯一の収穫だったかもしれない。

2曲目。この日のコンマスはかつてのコンマスだったデビット・ノーランがゲストとして登場。そのせいもあってか、弦がやたら硬い。ブラームスだから硬いというわけではない。ノーランがコンマスになると読響の弦はいつもこうである。そのせいか、木管も金管も硬い。こうなると、上岡がいくら大らかな指揮ぶりを発揮しても、独創的かつ柔和にして大衆的な交響曲が剛直にして威厳に満ちた音楽にしか聴こえてこなくなってきてしまった。

それでも、終演後は会場のあちらこちらからは「ブラボー!」の声が飛ぶ。一方で数多くの客は白けたように1回の拍手だけで足早に退席していく。私も2回拍手しただけで退席してしまった。読響は下野竜也が去り、スクヴァチェフスキに頼りすぎたツケが回ってきているようで、現在の状況は決していいとは言えない、と感じてしまった。