ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

N響の『シモン・ボッカネグラ』

2013-11-10 12:45:00 | N響
一昨日(8日)NHKホールでのNHK交響楽団第1766回定期公演~ヴィエルディ生誕200年~歌劇「シモン・ボッカネグラ」(演奏会形式・字幕つき)に行ってきた。指揮はネルロ・サンティ。主な出演者は下記の通り。

【演目】
ヴェルディ/歌劇「シモン・ボッカネグラ」
     (プロローグ・第1幕)
  ~休 憩~(30分)
     (第2幕・第3幕)
《18時00分開演、21時05分終演》

  シモン:パオロ・ルメッツ
  マリア/アメーリア:アドリアーナ・マルフィージ
  フィエスコ:グレゴル・ルジツキ
  ガブリエレ:サンドロ・パーク
  パオロ:吉原 輝
  ピエトロ:フラノ・ルーフィ
  射手隊長:松村英行
  侍女:中島郁子
  合唱:二期会合唱団

世界に数多くのオペラ指揮者と呼ばれる人がいると思うが、そのなかでもネルロ・サンティはそのキャリアと実力を鑑みればオペラ界の重鎮であり、巨匠であろう。そして、なによりも驚かされるのが、約2時間半にもおよぶ演目を完全暗譜で指揮することである。彼は協奏曲や交響曲でも完全暗譜で指揮をするのだが、オペラを完全暗譜で指揮をする人はそうそうはいないだろう。

さて、お話はジェノヴァ共和国の総督であるシモン・ボッカネグラを巡り、その娘のアメーリア、アメーリアの恋人にしてシモンの政敵であるガブリエレの3人を軸に、宗教的対立や市民の暴動などを背景にしながら展開され、最後はシモンとガブリエレが和解して、シモンが2人の結婚を祝福してガブリエレを後継者にして息を引き取るという、悲劇とも喜劇とも捉えられる悲喜劇である。

出演者は3年前に行われた『アイーダ』とほぼ同じメンバーで、ある意味サンティの手兵ばかり。サンティの娘であるアドリアーナ・マルフィージは今回もヒロイン役でご登場である。(苦笑)歌手のなかではガブリエレを演じたサンドロ・パークが、『アイーダ』のときと同じように一人圧倒的な歌声と存在感を示している。あと、前半と後半でなぜか座る配置が変わっていた二期会合唱団も統率された歌声で健闘だ。

演奏は非常に巧かった。歌手を引き立てると同時に、物語性としての表現力も高く、N響の実力を十二分に発揮していた。N響の面目躍如というかサンティの為せる業なのかもしれない。

こうした演奏会形式を定期公演で行うということは金銭的には大変なことではあると思うが、N響は来年以降も年1回はこうした演奏会形式の公演は行ってほしいものである。それは観客にもオケにもオペラの勉強になるはずなのだからだ。ただ、今後はできればゲルギエフ、ルイージ、F.ジョルダンといった現役バリバリのオペラ指揮者を登用して、歌手もそのつど一新してもらいたい。