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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

北澤俊美防衛相「長野県はちょっと変わってましてね」の意味とは?

2010年05月18日 06時53分46秒 | 素晴らしき新生党保存会


【参院外交防衛委員会 2010年5月13日】

 国会審議では、「お国自慢」は控えめな方がいいのですが、北澤俊美(北沢としみ)防衛大臣が一風変わったお国自慢をしました。

 北澤防衛相は、7月11日ないしは25日投票が予想される、第22回参院選に長野選挙区に民主党公認で立候補する予定です。

 テレビでおなじみ自民党の山本一太さんが「5月8日、大臣が長野市におられるときに、そこの会合でこう言っています」として記事を紹介しました。

 これは、沖縄に偏っているヘリコプターの訓練を日本全国(の自衛隊基地)に散らし、沖縄のみなさんに『(負担が)半分減った、4割方減った』と実感してもらえる案を防衛省としてつくっています、という趣旨の発言です。

 一太さんは、これを「普天間移設断念」という言質にしたかったのでしょう。真意を問い質しました。

 これについて、防衛相は「これは私の昔からの後援会のみなさんがたの農村部での会合での発言です。で、長野県っていうのはちょっと変わってましてね」と異例の答弁。大臣が自らの選挙区を「ちょっと変わっている」と発言し、委員会室がざわめきます。

 長野県はいったい、何が変わっているのでしょうか?

 「長野県というのは、私が概括的なことを申し上げますとね、後に一杯会(飲み会)が控えていても、かなり多くの質問が出るんですね。で、『もっと分かりやすく話してくれないか』と。というような(雰囲気の)中で、『沖縄の負担が軽減されるということの意味はどういうことなのか?』と問われたんで、それはまず第一義的に、普天間の返還である。それに加えて、沖縄に(日本の米軍)基地の74%が偏在している、ということからすれば、総理の思いは、さらにこれを軽減して、全国で分かち合いたい。沖縄に、外来機がやって来て訓練しているということは、全国の国民に認識されていない。そのなかで、仮に言えば、沖縄の中で『飛行機の数が30%減ったな、いや40%減ったんじゃないか』という軽減策は国民に分かりやすい。そういう一つの事例として、申し上げたところです」と答弁しました。

 つまり、国政を預かる議員として、地元有権者にかみ砕いて説明したのであり、それを基にした新聞記事を使って、質問しないでほしい、との趣旨の答弁です。

 山本一太さんは「防衛大臣、何言ってんだかちょっと分かりません。お話をされたところが農村部だろうと、都市部だろうと(関係ありません)。私の後援会でもいっぱい質問が出ます」と言い返しました。

 民主党王国・長野県と、その隣県である自民党王国・群馬県。ちょっと不毛なお国合戦です。

 これに対して、北沢防衛相は、「田舎だの、都市だのと言葉尻をとらえておっしゃいましたけど、私が言った場所がそういうところだと分かりやすく言っただけで、そういうことで、まるで私が都会と差別しているような話をしないでください。そこで、総理が『全国民で分かち合いたい』と言っているわけですから、防衛省としていろいろな案を作るのは当たり前です」と述べました。

 ちなみに新生党結党メンバーの1割と、新党さきがけ結党メンバーの2割は長野県選出議員なんですよ。長野県が、政権交代ある二大政党制のリード役になったことは間違いありません。

 りんごと二大政党・長野県。

 仮に余命が1日なら、きょう、りんごの木を植えたい。子孫のために。そういう考え方が農業県であり、山国である長野県には根付いています。そのため、議論好きで政治意識が高いとされています。

 ちなみに、私の祖母は政談演説会では常に最前列に座ることで有名人だったそうです。このエピソードは家族も知らなかったそうですが、地元選出で閣僚を務める政治家が証言しているそうです。大正生まれの祖母は「自民党の小坂憲次さんの政策・実績ではなく、衆議院の議席を小坂家が世襲しているということ自体が問題であり、小坂家の世襲を断ち切るべきだ」という考え方を持っており、それは慧眼だったと思います。その夢が実現したのは、2009年で、他界してから7年後と遅れてしまいました。

 この5月8日の発言の後に、東京新聞投書欄に「沖縄の基地が全国ベースになってきた」という言葉遊びが載りました。

 基地(ベース)というハコ物ベースで議論するのでなく、部隊や人数の運用ベースで議論する。さらに言えば、日米同盟のあり方、専守防衛のあり方にまで議論を格上げする。いわば「北澤イニシアチブ」と呼んでもいい、ひとつの議論の材料だと思います。政府としての具体案はなかなかできてきませんが、沖縄の心の痛みを全国ベースで分かち合おうとする世論が、ようやく、やっとですが、出来つつあります。


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