【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

原爆忌)被爆校・長崎市立城山小学校が国指定重要文化財に 心をつなぐ新進党

2013年08月09日 08時20分38秒 | 第184臨時国会(2013年8月)黄金の3年間

 長崎原爆忌を迎えました。

 ちなみに、世界初の「ウラン型原爆」は広島に落ちました。
 ところが、長崎に落ちた「プルトニウム型原爆」は人類で2度目の投下でした。
 プルトニウム型原爆の1号機は、アメリカ・ニューメキシコ州で実験されています。一方、ウラン型は原理的には簡単なので、実験なしに広島に投下しました。

 こういったところも知っていただきたいものです。

 さて、被爆校長崎市立城山小学校(しろやましょうがっこう)が、国指定重要文化財になりました。2013年8月1日付官報で告示されました。



 2012年7月24日(水)の国会で、野党・公明党の1期生秋野公造さん(現環境・復興政務官)が、野田佳彦総理に行くよう勧めました。これを受けて野田総理は、2012年8月9日(金)、城山小学校を訪れました。

http://www.nagasaki-city.ed.jp/shiroyama-e/


[写真]城山小学校を訪れた野田佳彦・内閣総理大臣、2012年8月9日(金)、首相官邸ホームページから。

http://www.kantei.go.jp/jp/noda/actions/201208/09nagasaki.html



[写真]国指定重要文化財「長崎市立城山小学校」に立つ、公明党の秋野公造さんと田上富久・長崎市長、公明新聞から。

 秋野さんの7月に指摘から、1年後、長崎被爆建物では初めて、重要文化財になりました。被爆から68年。ちょっと遅かったかな。

 平和と福祉の庶民の党、新進党が小沢一郎氏によって解党されなければもっと早く指定されていたでしょう。


[画像]一方的に新進党解党を宣言する小沢一郎氏、1997年12月28日。

 山口那津男代表が「2012年12月9日(日)投開票」を求めていたのに、内閣総務官室と総務省の官僚をグリップしきれず、「2012年12月16日(日)投開票」と1週間後ろ倒しになってしまいました。長年の友情へのご配慮で、我々新進党勢が多く小選挙区で生き残れたことを感謝します。しっかりと、自分の足腰だけで勝ち残れる力をつけていかなければなりません。

 自立と共生の新進党。今は与党と野党に別れましたが、小さな声を聞く力。声なき声を聞く力。

 田上・長崎市長は8月4日付公明新聞日曜版1面で、「秋野さんの国会質問から、わずか1年あまりで登録実現という展開に驚くばかりです。被爆遺構の保存は被爆地の私たちだけに課せられた責務だと思い込んできましたが、それは思い違いでした。文化財登録を通じて、被爆遺構にかかわる人の輪を広げていくことの大切さを教えてもらいました」

 日本国民というよりも、人類の一人として、長崎で被爆死したすべての方々のご冥福をお祈りいたします。秋野さんのおじさんも含めて。

 [以下、当ブログ内2012年8月9日付エントリーより全文引用はじめ]

公明党・秋野公造さんの要請で、野田首相(民主党代表)、長崎の城山小学校を訪問 長崎原爆忌【追記あり】

2012年08月09日 11時48分28秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

[写真]被爆校、長崎市立城山小学校を訪れた首相(民主党代表)の野田佳彦さん、2012年8月9日、首相官邸ホームページから。


 2012年8月9日、長崎原爆忌を迎えました。野田佳彦首相(民主党代表)は長崎平和祈念式典に先立ち、被爆校「長崎市立城山小学校」を訪問しました。コウゾウさんのアドバイスによるものです。コウゾウさんと言っても渡部恒三さんではありません。元厚生労働省医官で公明党参議院議員の秋野公造さんのアドバイスです。

 
[写真]公明党参議院議員の秋野公造さん、公明党ホームページから。

 先々週、7月24日(水)の参院予算委員会の予算執行に関する集中審議。

 秋野さんは「総理は八月九日、長崎原爆忌にお越しになりますでしょうか。もしもお越しになれるのであれば、お忙しい日程は重々承知の上で、この被爆平和公園から僅か一、二キロのところでありますこの城山小学校に足を運んでみませんか。そして、長崎の思い、そして被爆者の思いというものに思いを致してみてはいかがでしょうか」と質問しています。

 野田総理は「私としては、これ、国会のお許しをいただかなければなりませんけれども、八月九日の長崎、そしてその前の八月六日の広島、それぞれの地域における平和記念式典には是非出席をさせていただきたいというふうに思っております。もし、八月九日、日程的にお許しをいただいて式典に参加できるならば、ちょっと厳しい日程とは聞いているんですけれども、今委員から城山小学校の原爆の悲惨さを後世に伝えるための歴史的な価値についてのお話をいただきましたので、是非可能ならば立ち寄ることができるようにちょっと事務的に調整をさせていただきたいというふうに思います」と答弁しました。

 野田さんは約束を守る人です。内閣不信任決議案(小沢一郎新進党解党者らが発議者)提出中ということで、早めに出張し、長崎平和祈念式典の前の時間帯に訪れるという日程を組んだようです。首相官邸は現在新進党3羽ガラス(野田、藤村修官房長官、岡田克也副総理)が抑えていますので、公明党に配慮した日程を組めるのです。

 なお、一つ付け加えたいのですが、総理はきょうの平和祈念式典の中で「唯一の戦争被爆国」という表現をしました。広島・長崎平和記念(祈念)式典での首相のあいさつはいつも「唯一の戦闘被爆国」「唯一の戦争被爆国」と表現しています。しかし、国会では「唯一の被爆国」という表現がされます。しかし、長崎型のプルトニウム爆弾を最初に実験したのは米国のニューメキシコ州です。あるいは、マーシャル諸島は被爆国ではないのでしょうか。ぜひ、「唯一の戦争被爆国」という表現を使ってほしいと考えます。

 支え合う日本、心をつなぐ公明党(新進党)。

【追記 2012年8月10日(金) 午前8時半】

 ○秋野公造さん「忘れられない日に」

 秋野公造さんは、きょうのツイッターで、「昨日8月9日には長崎原爆忌平和祈念式典参加の前に野田総理を城山小学校にお迎えしました。その後の長崎県本部議員研修会に山口代表をお迎えしました。忘れられない日となりました。上京します。行って参ります」とつぶやきました。

 長崎大学を目指して勉強している最中に被爆死したおじさんも喜んでおられるでしょう。生命(いのち)を守る政治が継承されていることをうれしく思います。

【追記おわり】

国会会議録データベースから引用はじめ]

参議院予算委員会

第23号 平成24年7月24日

○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てますよう、質疑に入りたいと思います。(略)

 八月九日、長崎原爆忌を迎えます。

 被爆をした瓦やガラスを御覧になったことがありましょうか。被爆瓦は沸騰をしております。そして、ガラスは、元々何だったのかが分からなかったような形の、熱で変形をしております。そんな熱線に焼かれて長崎のそして広島の被爆者の方々の多くが命を失い、生き残った方も長期間にわたり後遺症に苦しみ、今でも被爆者の多くが後遺症に苦しんでいるというような状況であります。

 私のおじも、長崎大学を目指して勉強している最中に被爆死をいたしました。連れていってくれ連れていってくれと膝にしがみついたそうでありますが、誰も連れていくことができず、そのことを悔いておられる御友人のお話を伺いました。また、別のおじが亡くなるときには、友人たちが枕元に集まって、原爆を思い出せ、原爆を思い出せと言って励ましていました。子供心に、被爆の苦しみとは死ぬ苦しみよりもそんなに深いものなのかということを思ったことがあります。そういう被爆者の思い、長崎の思いというものに共有することなしに幾ら核廃絶だと叫んでも、それは観念的なものになるのではないかということを私は強く思います。

 広島では、原爆ドームの前で人々は被爆者の苦しみに思いを致します。長崎には城山小学校があります。この城山小学校、コンクリートの建物で、被爆地から約一、二キロのところにあるものですが、円い洋風のガラスがあります。中には、木れんがといって、木の枠にコンクリートがはめ込んであるような独特の構造が造ってあるものでありますが、爆風が窓ガラスを割って中に入って、そしてその裏側が焼けたのではなくて、ぐるっと熱が回ってその逆側が焼けているような、熱風が中に滞留をしたのではないか、そんなことも想像をさせるような、そんな遺構があります。

 コンクリートの寿命は五十年であります。もうそろそろしっかり補修をして、残すという意思を示さないと、長崎だけの遺産ではなく、全国民が、二度と核兵器を使わせない、そういったようなことを思わせるためには、何らか被爆の思いを伝える、そういったシンボルというものが私は必要だと思っています。
 城山小学校の国の文化財指定を求めます。文部科学大臣の見解を求めます。

○国務大臣(平野博文君) 今議員から御指摘いただきました城山小学校についてでございますが、昭和二十年八月の九日の原爆投下によって被害を受け、学校関係者にも多くの犠牲者が出たと承知をいたしております。また、被爆の実態を示す建物でもあると考えてございます。
 今、そういう中で長崎市では、平成九年度からこの遺構の現状調査を、十年度からは保存をどういうふうに整備をするか、こういうお考えの下に今実施をされておりまして、一部が残されておりまして、展示施設を含めて改修をして公開中であると、こういうことで、今議員御指摘がありますように、この建物をどのように保存をし、後世にこの問題を伝えていくか、このことは非常に大事な視点だと私は思っております。
 したがいまして、地元長崎市におきましても、この学校をどういうふうにしていくかという調査報告書もでき上がっていると、こういうふうに承知をいたしておりますので、近く、どういう保存形態がいいのか、こういうことで文化庁の方から専門家を現地の方に派遣をしたいと思っております。その上で地元の方々と十分に調整をして今後対応していきたいと、かように思っております。

○秋野公造君 ありがとうございます。
 ここには被爆した防空ごうがあります。そして、亡くなった女学生のことをしのぶ嘉代子桜という、そういうような桜、これも実は害虫にちょっと食われているような状況であります。どうかこういうことも含めまして、保存の検討をお願いをしたいと思います。
 総理は八月九日、長崎原爆忌にお越しになりますでしょうか。もしもお越しになれるのであれば、お忙しい日程は重々承知の上で、この被爆平和公園から僅か一、二キロのところでありますこの城山小学校に足を運んでみませんか。そして、長崎の思い、そして被爆者の思いというものに思いを致してみてはいかがでしょうか。
 この城山小学校は、当時の子供たちが残そうと運動をして残ったものであります。その心の中に、私たちが二度と核兵器を使わせない、平和を守っていく、そういったことを継いでいく鍵があると信じます。
 総理の見解を求めたいと思います。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 私としては、これ、国会のお許しをいただかなければなりませんけれども、八月九日の長崎、そしてその前の八月六日の広島、それぞれの地域における平和記念式典には是非出席をさせていただきたいというふうに思っております。
 もし、八月九日、日程的にお許しをいただいて式典に参加できるならば、ちょっと厳しい日程とは聞いているんですけれども、今委員から城山小学校の原爆の悲惨さを後世に伝えるための歴史的な価値についてのお話をいただきましたので、是非可能ならば立ち寄ることができるようにちょっと事務的に調整をさせていただきたいというふうに思います。

○秋野公造君 ありがとうございます。
 この城山小学校を舞台とした絵本の中に、「世界でいちばん悲しいクラス」という絵本があります。被爆して後、生き残った子供たちは別室に入れられて授業を受けたという悲しい歴史であります。
 もしも福島でいわれなき差別が起きようとしているのであれば、あの被爆後の長崎で起きた差別、広島で起きた差別というものを我が国はまだ乗り越えられていなかったということになるかと思います。
 そうはいっても、また、福島で受けた健康被害というもの、お母さんたちの心配、そして子供たちの心配というものはやはり言い表されないものがあり、福島の県民の皆様の健康は国が責任を持ってしっかりと守るべきであるということを強く訴えたいと思いますし、それは原発事故調査会の報告でもしっかり国の負担でと、そして、与野党で成立させた子ども・被災者支援法においても、少なくとも子供については、一生涯にわたって、そして県内外同じ検査を求めるように議員立法で成立をしたところであります。
 この福島県民健康調査をしっかり成功させるために、それを実施するための最低限の施設については、例えば教官室、事務官室、甲状腺超音波を行う診察室、カウンセリングルーム、会議室、そしてコールセンター、そういった最低限のことを行う施設の整備については再三求めてまいりましたが、この予算についてどのようになっておりますか。総理に伺いたいと思います。

○委員長(柳田稔君) 時間ですので、お願いします。

○内閣総理大臣(野田佳彦君) はい。県民健康管理調査を長期にわたって実施するために必要な予算については、福島県からの御要望も踏まえまして、福島県が設置した県民健康管理基金に対して平成二十三年度の第二次補正予算で約七百八十二億円を既に交付をしています。その中で必要な施設として、本基金を活用して、例えば、甲状腺超音波検査の診察室や、全県民を対象とした外部被曝を推計する基本調査のデータベースの管理運営のための施設整備等を進めていると承知をしております。
 引き続き、福島県によって県民健康管理基金が適切に活用され、健康管理調査が円滑に実施されていくものと考えております。(後略)

[引用おわり]

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