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宮崎信行の国会傍聴記 ニュースサイト

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

「医薬品インターネット解禁法案」「消費者集団訴訟法案」ともに廃案の情勢 経団連の息の根を止めよう!

2013年11月23日 15時37分01秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法




[写真]米倉弘昌・経団連会長の前であいさつする安倍首相(自民党総裁)=経団連トップページから。

 悪の枢軸=経団連。

 民主党政権の内閣府のチームが検討した報告書にもとづく、「消費者の財産的被害の集団的訴訟による民事訴訟特例法案」(183閣法60号)は、2013年11月1日(金)の衆議院本会議で、自民党・民主党・公明党の共同修正を全会一致で可決し、参議院に送りました。

 ところが、参議院で、3週間にわたり、委員会の趣旨説明すらされず、審議されない状況が続いており、12月6日会期末まで残り2週間で、審議未了による廃案になる可能性が出てきました。衆議院で全会一致で可決した法案が参議院で3週間も審議されないのはきわめてまれ。

 この理由について、参議院民主党の問い合わせに対して、参議院自民党は「森まさこ消費者問題担当大臣が特定秘密保護法案の答弁をしている期間は、いっさい体をあけられない」という趣旨の答えをしています。

 森大臣は消費者庁という「省の大臣」であり、職員の人事考課もする、まさに社長ですから、本業をしっかりやってほしいところです。

 衆・消費者問題特別委員会では、参考人質疑をしています。だからといって、参・消費者問題特別委員会でも参考人質疑をしなければならないわけではなく、森大臣の趣旨説明、質疑答弁まで突貫工事で間に合わせることはできるでしょう。仮に会期末になると、参院なので廃案になり、来年の通常国会では、ふたたび衆参両院の審議が必要になり、法律成立は早くても4月~5月の連休前後まで半年ずれ込みます。

 衆院の参考人質疑では、4人出席しています。

 このうち、経団連の阿部泰久・本部長は次のように述べています。

 「そういう意味では非常に工夫された法律案だとは考えておりますが、しかしながら、民事訴訟制度に関する新たな特例の導入ということでございます。制度の設計や運用次第では濫訴の懸念があるということでございます。その結果、健全な事業活動が萎縮されるようなことになってはならないと思っております。」

 「できれば法律案の修正の期待をしたいわけでございますが、仮に法律案が変えられなくても、その後の対応を政省令、監督指針等でしっかりとお願いしたいと思います

 つまり、経団連として、法案に反対しないが、仮に成立しても、政令(自民党大臣が決定し天皇陛下が公布)、省令(霞が関の省が伝達)、監督指針等(法律などにもとづかない霞が関の自主基準)で巻き返す、ということを経団連は言っていると考えていいでしょう。

 羽田内閣が退陣直前に成立させたPL法(製造物責任法、平成6年法律85号)について、経団連本部長は「先ほど、端的にございませんと答えましたが、そのような訴訟が勝ったことはないという意味でございますので、提起自体はざらにあると思います。」と答弁しました。これは共産党議員の猛追及の結果出たもので、羽田内閣が成立させたPL法で、被害者の告訴はたくさんあるものの、被害者が勝訴したことは一度もない、と経団連が認めた答弁です。

 森大臣が本業を離れて、特定秘密保護法案の答弁担当になったのが、このような経団連としての廃案圧力の陰謀論、というのはさすがに考えすぎでしょう。

 とはいえ、経団連としては、うまくいけば廃案。仮に成立すれば、霞が関を使って政省令でいくらでも巻き返せると高をくくっているのでしょう。まして、政令は天皇陛下の署名で官報に載りますから、より悪質です。

●インターネット医薬品販売解禁法案も廃案へ、参・厚労委が「プログラム法案」未審査

 一方、インターネットでの医薬品販売を解禁する薬事法・薬剤師法改正法案(185閣法21号)が今週20日(水)から衆・厚労委で審査されています。ただ、参・厚労委では、社会保障制度改革プログラム法案(185閣法2号)が来週以降、審議入りする予定。定例日は合計4日間しかない状況です。この「インターネット医薬品解禁法案」は、「厚労省が法律でなく通達行政(裁量行政)をしているのは憲法違反(違憲行政)だ」と最高裁勝訴を勝ち取ったケンコーコム社長が「法案が不十分だ」と、反対にまわっています。質疑でも、野党からも、薬害懸念、対面販売の重要性が指摘されています。こちらは、新経済連盟、与党、野党が慎重な姿勢になりながら、厚労省の政府参考人が「この法律ができれば裁判は大丈夫だ」と答弁することになっています。

 このように、経団連は、法律ができても、霞が関で巻き返す術を知っている。新経連は若いから、意図と逆の法案が出て、「法案に反対」という分かりにくいメッセージになっているようです。

 会期末に向けて、永田町・霞が関・大手町による、自民党政治の大きな問題点が浮上してきました。


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