【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

生方さん 再三再四 叱られる 参院環境委

2012年06月19日 18時41分34秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【2012年6月18日(月)19日(火) 参・環境委員会】

 平成24年度予算ですでに歳出(予算執行が可能な限度額)が盛り込まれている「環境省原子力規制庁」(当初・原子力安全庁の名称が民主党内手続きで改称)の法案。政府案の「環境省設置法改正案」と自民党の塩崎恭久さんらの衆法「原子力安全委員会設置法案」を3党修正して「原子力規制委員会設置法案」(180衆法19号)となり、衆院を通過し、参院に送付されています。

 3党合意を反映した法案は、衆議院環境委員長提出法案となっているので、生方幸夫(うぶかた・ゆきお)さんが参議院環境委員会に出向いて答弁しています。東京生まれで千葉6区(松戸市など)選出の生方さんは、ご存じの通り、小沢一郎幹事長に物を申した民主党らしからぬ正義漢。

 その生方さんですが、参議院環境委員会では再三再四叱られました。

 原子力行政に関してはナーバスになっている方が多いので、あまり笑い話にもできませんが、生方さんは法案の趣旨説明の後、どういうわけか、委員会室からたびたび外出してしまいました。

 
 [画像]趣旨説明する法案提出者の衆議院環境委員長の生方幸夫さん、参議院環境委員会、2012年6月18日、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 生方さんの他にも、民主党の近藤昭一さん、大谷信盛さん、横山北斗さん、自民党の吉野正芳さん、田中和徳さん、公明党の江田康幸さんらの各衆院議員も提出者として答弁に当たりましたが、やはり委員長の指名が多くなります。

 公明党の加藤修一さん(全国比例、任期は来夏まで)は、「(法案)提出者である(衆議院)環境委員長が(今)いないというのは、参議院の軽視だし、相当重い法案なので、そういう行動はとらないでほしい。委員長がいないことに抗議します」と語りました。

 みんなの党の参院国対委員長の武闘派議員、水野賢一さん(千葉選挙区、2016年改選)から、法案の参院送付が遅いと指摘された生方さんは、「法案の付託は(参議院の)議院運営委員会の考えだ」とすると、議運理事でもある水野さんは「あなたは付託をするのではないが、提出者なんだから、もっと早く送付しないといけない」とまくし立てられると、生方さんは「会期が22日まで、いや21日までとなっていますから」としどろもどろ。次に与党である「新党大地・真民主」の参院議員、平山誠さん(全国比例で旧・新党日本の名簿で繰り上げ当選して民主党を離党、来夏改選)からは「提出者は何も言わずに(委員会室から)出ていかないでくださいよ」と怒鳴られました。

 2日目となる19日の審議。環境委員会は20人しかいないので、各党とも同じ顔ぶれが質問しました。

 加藤修一さんは前日の審議を経て、質問の冒頭でペーパーを見ながら、「5つのお願い」をしました。まず「審議のあり方に不満があります」として「審議中に法案提出者の(衆議院)環境委員長がいない。参議院軽視ともいえ、このような無様な委員会審議にならないよう、衆議院に猛省を求めます」としました。これを受けて、自民党の松村祥史(まつむら・よしふみ)参議院環境委員長は「加藤委員のご指摘はごもっともだと思う」と応じました。

 この後は、さすがに生方さんは委員会室に長くとどまったようです。

 一方、法案の趣旨説明で、「(東京電力福島第一原子力発電所の)事故により、国内外の信頼が大きく損なわれ、信頼を回復するためにも、行政の体系を見直す必要がある」と述べたことについて、公明党の加藤さんは「違和感がある」と指摘しました。これは、与党議員でありながら、当事者意識が薄いことを批判したものと思われます。

 同じく2日間、答弁者席に座ってた細野豪志環境大臣(兼)原子力事故の再発防止担当大臣が、原子力規制委員会の職員のノーリターン・ルール(採用府省に戻らない人事)について、「1人1人の人生がかかっていますので」と繰り返し言及したところに、実際に部下を持つようになって1年経つ細野さんの責任感との違いが際だった感じがします。

 「王様は裸だ」と言った生方さんにはがんばって欲しいです。生方さんの対抗馬である、自民党千葉6区支部長の渡辺博道さんを赤坂で見かけたことがあります。平成研の先輩議員である閣僚経験者と2人で食事をしていたようで、赤坂議員宿舎方面に帰る閣僚経験者が肩を叩いて去っていきました。帰りの松戸方面まで乗り入れている地下鉄で偶然渡辺さんと同じ車両になりましたが、「ようし、捲土重来してやるぞ」という表情をしていました。 帰ってから議員要覧をみたら、当選4回の61歳ですから、国政復帰し、党が政権奪還すれば閣僚も視野に入ってきます。松戸市役所職員から県議を経て、国会議員になったたたき上げのようです。最近の自民党では市役所職員から地方議員を経てたたき上げてきた人が多い傾向にあります。

 ぜひ、生方さんも、与党に必要な一言居士、政策調査会復活という役割を果たしたことを有権者の方が判断できるように、一定の土台をしっかり残してもらわないと、私も困ります。

 これじゃ困りますね。こんなことでは、生方さんは小沢グループにクラス替えです。

 原子力規制委員会設置法案は18日、19日の2日間の質問を経ても終局せず、20日以降も質疑あるようで、やはり重要法案だし、一体改革に一意専心してきたけど、こういう深刻な問題に刮目しないといけないと感じました。高嶋良充筆頭総括副幹事長(参院議員、自治労出身、引退)が小沢一郎幹事長を批判したかどで、生方副幹事長解任騒動なんてやっていた平和な時代が懐かしいけど、歴史は後戻りできません。

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