【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

安保国会出足から大きくつまづく 衆本に回付されて在外公館法成立 国保を県単位に広げる法案審議入り

2015年04月14日 17時53分52秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

【平成27年2015年4月14日(火)衆議院本会議】

 安保国会が出足から大きくつまづきました。

 在外公館名称・位置・給与法(189閣法11号)は、参議院が4月9日に、「4月1日から施行する」を「公布の日に施行する」などと修正したため、国会法83条の「乙議院において甲議院の送付案を修正したときは、これを甲議院に回付する」にもとづき、衆議院に回付されました。 採決の結果、全会一致で可決し、成立しました。

 これは、自民党の片山さつき外交防衛委員長が3月30日(月)の理事懇談会に2分遅刻したことにより、31日の委員会開催と本会議緊急上程が流れたため、4月1日を過ぎて修正が必要となったためです。2分遅刻が2週間遅れになりました。自民党からみて、安保法制国会が出足からつまづいたことになります。

 土屋品子外務委員長(自民党)の報告の後、「緑の気候基金への拠出法案」(189閣法12号)が可決し、参議院に送られました。全会一致ですが、これも「※指定」ですが、すでに衆議院通過の時点で4月14日。三代目議員である、岸田文雄外相は何事もなかったかのようにたんたんと答弁するでしょうが、安保国会に向けて、外交防衛委員会でじわじわと政府与党に負担がかかっていきます。

 株式会社商工中金および中小企業信用保険法改正案(189閣法17号)が自公民の賛成多数で可決しました。附帯決議付き。

 株式会社日本政策投資銀行の完全民営化を先送りする法案(189閣法13号)も起立多数で可決しました。財務・金融は今国会は法案をすべて成立すると思われます。

 ※印ではありませんが、厚生労働省独立行政法人改革法案(189閣法23号)は、民主党、維新の党、日本共産党の、衆議院本会議に登壇できる3党がおのおの反対討論。この法案の中には入っていませんが、厚労省独法の王様、「GPIF(厚生年金積立独立行政法人)」の財務担当者の参考人招致や法案の提出の有無について、民維共が問題視しました。後半国会序盤で、安保と並ぶ労働法制の主戦場で、民維共が足並みをそろえました。

 この後、※法案である、いわゆる重要広範議案である、「国民健康保険を市町村単位から都道府県単位に広げる国民健康保険法改正法案」(189閣法28号)が審議入り。塩崎厚労相の趣旨説明の後、各党代表質問。

 今週は、きょう、木曜日、金曜日の本会議とも、いわゆる重要広範議案が審議入りし、後半国会が本格化します。

 ◇

 なお、あるテレビ局が9日の参議院本会議可決を受けて、成立した前提で報道しました。これはテレビ局ではなく、片山さんがいけない。ぜひ今後も国会のことをどんどん報道してほしいところですが、外務省記者クラブ(政治部、国際部)に国会を軽視する風潮があったり、参議院担当に経験の浅い者を配置する人事ローテーションがあるのかもしれません。政治部新人は総理番からスタートしますが、むしろ、参議院を最初に担当してもらって、政治部・経済部・国際部・社会部・科学部にまたがる各府省担当と協調して法律成立の記事を書いてもらって、それから官邸に移って総理番になったりとか、場合によっては専門性が高いのだから、派遣社員にして、6月は人員倍増にしたらどうかと考えます。半分冗談です。

【同日 参議院総務委員会】

 「地上波デジタル移行を財政的に支援する高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法(高テレ法)を廃止する法律案」(189閣法10号)は、※(こめじるし、日切れ)指定にもかかわらず、年度内に成立しなかったことから、与党の島田三郎さん(自民党、島根選挙区、2019年改選)の提案により技術的修正が入りました。全会一致。次の本会議後に、衆議院に回付されることになります。回付議案が複数になる国会は珍しいです。

【同日 衆議院法務委員会】

 ※指定の「裁判所職員定員法案」(189閣法21号)が審議入りしました。

【同日 参議院法務委員会】

 「矯正医官の兼業および勤務時間の特例法案」(189閣法60号、参議院先議)が審議入りしました。上川法相の趣旨説明によると、矯正施設(刑務所など)の医師は2割欠員状態だそうです。そのため、兼業などができるようにして医師を確保したい、という法案ですが、よく聞くと、フレックスタイム(裁量労働制)も導入するそうです。これは提出済みの厚労省執筆の残業代ゼロ・高度プロフェッショナル・ホワイトカラーエグゼンプションの労働基準法第14条第1項など改正法案にも、民間企業における、医師の、残業代ゼロを踏まえた改正法案が入っているのですが、これはどういうことでしょうか。法務省と厚労省が軌を一にして法案執筆しているように感じます。なにか、閣議決定文書がプログラムになっているのかもしれませんが、今は民主党が政権についていないので、私はそのような閣議決定があるかどうか知りません。女性の活躍推進のために女性検事が法務省矯正局長につきましたし、麻生内閣以降、景気対策の補正予算で、矯正施設の地上波デジタルテレビや法務局が整備されてきているので、けっこう、法務省が他省の顔色をうかがっているようなところがあるのかもしれません。

【同日 参議院内閣委員会】

 「道路交通法改正案」(189閣法38号、参議院先議)が審議入りしました。

【同日 参議院経済産業委員会】

 昨秋の臨時国会を前に、安倍首相が7月20日に改正を宣言したにもかかわらず、公明党衆議院委員長による「政治とカネ」の報告書隠しのせいで、衆議院解散で審議未了廃案となった「官公需の中小企業優先発注法案」(189閣法40号)が審議入りしました。

【同日 参議院国土交通委員会】

 国土交通省独立行政法人改革法案(189閣法48号、参議院先議)が審議入りしました。

【同日 参議院外交防衛委員会】

 特定防衛調達法案(189閣法20号)の質疑が行われました。採決は次回以降。

【同日 参議院農林水産委員会】

 一般質疑。この中で、TPP交渉について、林農相は「衆参両院の農林水産委員会決議が守られたと評価していただけるように政権一体となって交渉していきたい」と答弁。米国のTPA(大統領交渉権限付与法案)については、「アメリカ議会の中のことだが、TPAはTPP妥結に必須であり、注視していきたい」と答弁しました。

 この後、

 競馬法改正案(189閣法47号)が審議入りしました。海外競馬の馬券を、国内の馬券売り場(中央、地方競馬とも)で売ることができるようになります。利益の多くの部分が国庫に納付されます。成立すれば、公布の日から3か月以内の政令で定める日に施行されるので、年内にもスタートするかもしれません。

【同日 参議院厚生労働委員会】

 一般質疑の後、「勤労青少年福祉法を改正し青少年雇用促進法とする法律案」(189閣法50号、参議院先議)が審議入りしました。
以上

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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