【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[法律の執行状況]法務省、黒川弘務氏ひとりのためだけの検察庁法案で大混乱、死刑執行ゼロ、ゴーン被告逃亡のさんざんな2020年との指摘

2020年12月30日 17時50分52秒 | 法律の執行状況
[写真]法務省前の白線が波打って見えるのは、きっと真夏の陽炎だけのせい、2020年8月6日、宮崎信行撮影。

 法務省にとっては、散々な、令和2年2020年だったとの年忘れ報道がされています。

 刑事訴訟法第475条などにもとづく死刑の執行が、2020年はありませんでした。年末年始には執行できないとする規則があるそうです。また東京拘置所から仮釈放されていたカルロス・ゴーン被告が楽器に隠れてレバノンに逃亡。ICPOに手配し、現地での記者会見でCNN記者から「東京拘置所という小さい檻からレバノンという少し大きい檻に移動しただけではないか」と痛烈に批判され、国際世論の同情は皆無となりましたが、法務省の失態であることはまちがいありません。

 例えば5月13日の当ニュースサイト記事にもある通り、「検察庁法改正案」(201閣法52号)について、途中から野党が問題視し、大混乱となりました。人事院による公務員定年の段階的65歳引き上げの法案だったのですが、西松・陸山会事件の公判の時期から、官房長・事務次官を一貫してつとめた黒川弘務さんを検事総長にするための項目が含まれていることが判明。「内閣法制局と口頭で解釈変更の決裁をした証拠」を森法相が答弁する異例の展開となりました。

 組織図を見ると、法務省刑事局の定員はたったの60名。しかも、代々の局長らは司法試験に合格した検察官採用者ですので、国会対策は不得手。だから、黒川氏が暗躍する素地があったわけです。一方同省の組織図を眺めると、公安調査庁の出先機関である、各管区の公安調査局の職員定員は1272名。これはいったい何の仕事なんでしょうか。日本共産党地区委員会の街頭演説を聞いて回る仕事なんでしょうか。あまりにもホワイト過ぎる職場とみられます。法務省として一括採用をしたり、アメリカのように検察官を地方公務員とするなどの改革が、3度目の就任の上川陽子法相に求められます。
 

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Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki

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