【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「働き方改革」データ説明できないのに強行採決で衆議院かなり強引に峠を越える「ギャンブル依存症」衆・本通過で「カジノ」審議入り、「民法18歳成年」衆委通過

2018年05月25日 17時55分51秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]宮崎信行、きょねん2017年、宮崎信行撮影。

 1月4日に安倍首相が設定した「働き方改革国会」は、「働き方改革関連法案」(196閣法63号)で、前哨戦からの平成25年裁量労働調査のデータの間違いが最終盤でも発覚。当日朝にも、調査票に8枚のコピーが紛れ込んでいたことが分かりましたが、加藤勝信厚生労働大臣の「増えたり減ったりしているから平均は変わらない」とのわけのわからない答弁直後に、委員長自ら質疑終局をはかり、賛成多数で打ち切られ、可決(自公維による修正議決)されました。

 きょうは、衆議院内閣委員会で「ギャンブル依存症等対策基本法案」(196衆法20号)が可決し、本会議に緊急上程し、参議院に送られました。その直後に、「カジノ実施法案」(196閣法64号)が審議入りしました。

 衆議院はかなり強引に峠を越えました。

【衆議院本会議 同日】

 「加藤勝信厚生労働大臣不信任決議案」が議題になりました。趣旨弁明は西村ちなみさん。2時間以上にわたり、「加藤大臣の答弁はご飯話法といわれ、朝ごはんを食べましたかと問われると、ごはんは食べていません(パンを食べましたから)と答弁するはぐらかしだ」「裁量労働者の方が時間が短いとした調査では、けさになってからも8枚の調査票のコピーが原票に混じっていたとしており、何をもとに審議したらいいのか混乱している」などと批判しました。

 この後、採決し、投票総数430、賛成130、反対300の賛成少数で否決されました。

 「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法改正案」(196閣法40号)は、立憲・国民・共産の反対、自民・公明・維新の賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 「災害救助法改正案」(196閣法65号)は全会一致で可決し、参議院に送付されました。

 この日の午前中には3法案の審議が終わっていました。このうち、次の1本だけ緊急上程されました。

 「ギャンブル依存症等対策基本法案」(196衆法20号)は、立憲・共産などの反対、自民・公明などの賛成多数で可決し、参議院に送られました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 議題は、
 内閣提出の「働き方改革関連法案・政府原案」(196閣法63号と、
 自公維が提出した「196閣法63号の衆議院委員会修正案」、
 「立憲の対案」(196衆法17号)
 「国民民主党の対案」(196衆法14号、15号、16号)

 4分類に広がってきました。

 共産党の高橋千鶴子さんは「きょうは午前10時半までの、1時間半の審議だ。きのう、解任決議案が否決されたばかりの高鳥修一委員長は、きょう採決しないと約束してほしい」と迫ると、高鳥委員長は「後刻、理事会で協議します」と受け流しました。次に、立憲民主党の西村ちなみさんが「理事会で、採決まで委員長が決めた」「きょうになっても新しいデータ間違いが出た。私たちは何を信じて審議すればいいのか」と語りました。さらに「加藤大臣、あなたは不信任です!加藤勝信厚生労働大臣不信任決議案を提出しました。委員長確認してください」と語りました。午後9時45分過ぎ、委員長は休憩を宣言。午後1時からの本会議で否決されました。

 午後4時45分ごろに、再開。委員長自ら質疑終局の是非をはかり、賛成多数で議決。採決では、政府原案が修正議決されたとみられます。

【衆議院内閣委員会 平成30年2018年5月25日(金)】

 「ギャンブル依存症等対策基本法案」(196衆法20号)が立共など反対、自公など賛成多数で「可決すべきだ」と決まりました。これに先立つ討論で、立憲の阿部知子さんは「カジノ法案の露払いであり、アリバイ作りだ」と批判しました。

●カジノ実施法案審議入り。

 そして、午後4時45分過ぎ、長い本会議が散会した後、「IRカジノ実施法案」(196閣法64号)が石井啓一カジノ相から趣旨説明され、審議入りしました。自民から3人質問する予定でしたが、1人に絞り、公明の1人と合計で、15分間だけ質疑し、午後5時にきょうの審議は終えました。

【衆議院法務委員会 同日】

●民法18歳成年法案が衆・委員会通過。

 「民法18歳成年法案」(196閣法55号)の審議。政府原案の付則には2022年(新元号4年)の4月1日に施行する、とあります。今月9日から審査してきましたが、きょうで質疑終局。討論では立憲、共産党が反対しました。採決の結果、立共など反対、自公賛成多数で、可決すべしと決まりました。散会。

【参議院本会議 同日】

 衆議院が緊迫する中、7法律が成立しました。但し、嵐の1か月に向けて、与野党とも浮いた藻を片付けたような様相。

 「海外インフラへの我が国事業者の参入促進法」(196閣法32号)は、投票総数229、賛成215、反対14の賛成多数で可決し、成立しました。ひな壇には議長と大臣1人の参議院議員がいたはずですが、それ以外で定数242のうち、投票総数229って少ないですよね。

 「地域における大学定員上限法」(196閣法5号)は229、182、47で可決し、成立しました。もりかけで集中攻撃を受ける特区系では初めての法律成立でしょうか。「改正地域再生法」(196閣法7号)は229、208、21で成立しました。
 
 「統計法などを改正する法律」(196閣法34号)は、229、215、14で可決し、成立しました。

 「学校教育法及び著作権法を改正する法律」(196閣法29号)は229、229、0の全会一致で可決し、成立しました。デジタル教科書を導入。

●森林経営管理法が成立

 「森林経営管理法」(196閣法38号)は230、212、18で可決し、成立しました。林業政治の大きな転換点となります。

 「改正独立行政法人農村漁業信用基金法」(196閣法39号)は229.215、14で可決し、成立しました。

 これに先立ち、法案の趣旨説明と代表質問がありました。「消費者契約法改正案」(196閣法31号)が福井照大臣から趣旨説明され、代表質問をしました。福井大臣は何度か、衆議院段階での本会議答弁のミスにも言及せざるを得ませんでした。衆議院からは全会一致で送られてきています。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「船舶リサイクル適正実施の香港条約国内実施法案」(196閣法53号)が全会一致で可決すべし、と決まりました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 国政調査として、イラク日報問題について。政府側はこれで幕引きを図りたい思惑だと観測されています。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 「文科省・文化庁設置法改正案」(196閣法26号)は共反対、自公立国無維などの賛成多数で可決すべきだと審査を終えました。前回の委員会で質疑終局をしていました。きょうは討論・採決のみ。これで来週火曜日に本会議を開こうという提案が、与党からしやすくなりました。附帯決議を採択して、散会しました。この委員会の次回は、30日(水)。

【衆議院国家基本政策委員会 同日】

 合同審査会、党首討論をするための手続きをとりました。 

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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