【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

IRカジノ抱き合わせの「ギャンブル依存症対策基本議員立法」基本計画策定は愛媛県1件のみ

2020年01月14日 11時07分51秒 | 法律の執行状況
[写真]衆議院正玄関、3年前の2017年、宮崎信行撮影。

 仏作って魂入れずとまでは言いませんが、やはり方便に過ぎなかったのでしょうか。

 おととしの通常国会で、「IRカジノ実施法」の参議院本会議での審議入りに先立ち成立した議員立法「ギャンブル等依存症対策基本法」(関連記事)。結党直後の国民民主党の女性議員が附帯決議を朗読しているところを、他の野党の女性議員から「なぜ採決に応じた」と罵声を浴びせらるという異常な映像になりました。私は一貫して、附帯決議をつけず採決に抵抗すべきだと主張してきました。

 この法律ですが、やはり附帯決議は意味がないばかりか、本則の規定もあまり実施されていないことが分かりました。

 昨年12月29日付の東京新聞は1面トップで、「対策推進計画策定1県のみ IR誘致にらむ5都府県まだ」と報じました。

 議員立法本則にもとづく「愛媛県ギャンブル等依存症対策推進計画 」が昨年4月に、中村時広知事の顔写真入りで発表されています。しかし他の県はつくっていないそうです。

 IRカジノ施設実施法を成立させるための抱き合わせだった議員立法には、良い点もあり、「ぱちんこ」は遊戯であるが、ギャンブル等でもある、と法律で初めて定義されました。警察庁は消極的だったとみられますが、厚生労働省は病気として治療の対象にしたい、という積極的な思惑があったようです。

 しかし、議員立法が県に実施計画を策定させるようつとめさせる規定は、県のオーバーワークを生み、法律通りに策定されない現状が肯定されつつあります(先の臨時国会の記事参照)。

 そんななか、IRカジノ施設への参入をねらう中国企業「500ドットコム」から裏金を受け取ったとして、自民党のIR担当副大臣だった秋元司さんが逮捕され、年を越し、近く再逮捕の観測。第201回通常国会召集の時点で、東京拘置所に収監されたままとなりそうです。東京地検特捜部は「清和会」タブーをやぶって、清和会所属の議員の事務所を令状で捜索したり、複数議員から任意で話を聞いているようです。

 第201回通常国会は「IRカジノ」「桜を見る会」「自衛隊中東派遣」の3点セットで予算委員会がスタートする公算。統治構造が流動化する中で、県実施計画、議員立法、附帯決議のあり方も見直すべきです。

 以上です。

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