【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第213回通常国会が閉会、七夕都知事選、9月の自公立党首選に関心

2024年06月23日 19時34分15秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]平和の礎からおよそ4キロメートルの距離にある「ひめゆりの塔」に立つ筆者、沖縄・糸満市。

 第213回通常国会は、令和6年1月26日(金)から6月23日(日)までの会期を終え、きょう閉会しました。沖縄慰霊の日となりました。両陛下は英国へ。都知事選が7月7日投開票を迎えます。

 召集野党の議員の支持者が「大臣全員の決裁だ」と質問主意書に対する答弁書を持て話過ぎるのはいかがなものかと思いますが、今国会では「政府は8月15日を終戦記念日と定めていない」との答弁。再質問に「終戦日を巡り様々な議論がある」との再答弁書が閣議決定されました。きょうの沖縄を見ても分かる通り、8月15日正午を終戦とするのは、日韓のみの一面的な地政学であり、島国日本ではたとえ製造業の均質化を妨げても、多面的な認識で個々人が生きてほしいと考えます。

 今国会では、岸田文雄さんの人を食った性格が表面化しました。「宏池会(岸田派)」を解散し、全国町村会館西館のオフィスが閉鎖されました。

 旧統一教会の家庭観の自民党への浸食は深刻で、離婚後共同親権の改正民法で「離婚禁止法」ともいえる家族法の戦後初の抜本改正を成し遂げつつも、経団連から提言された「選択的夫婦別姓」が具現化するのはかなり遠そうです。

 食料・農業・農村基本法の改正法では、自民党が農業者の所得が向上したと答弁する中、立憲・国民が、農地に着目した食料安全保障を訴えるなどすれ違いが続きました。自民党は来年夏の参院選で、JA全中事務局出身の現職から、「北海道最大の民間企業だ」と揶揄される「ホクレン」の幹部を公認することを既に内定しました。

 政治改革をめぐっては、維新が「旧文通費改革」を持ち出して、政治資金規正法の改正論議と歳費法改正論議が並行して混乱しました。平成6年改正法の「公開と国民の監視」の趣旨から、確認書による特捜部や第三者機関への丸投げへと歴史的転換点を迎えました。

 能登半島地震の補正予算は検討すらされず、壊れた建物の雑損控除の確定申告を1年前倒しにするという対象者が限られた税制改正法が成立しました。安住淳・国対委員長が元財務大臣であることから、野党国対にも「ザイム真理教」がいまだにこびりついている証左であり、野党議員として言語道断の振る舞いです。

 「骨太の方針」は先週末に閣議決定されましたので、今後の政局は来月7日の東京都・鹿児島県知事選の結果に移ります。その後、政策面での論争はとくになく、きょねんの「4か月間の夏休み」に続き、ことしも「2か月余りの夏休み」となりそうです。

 9月末に、自民党総裁、公明党代表、立憲民主党代表のトリプル選を迎えます。このうち、西暦下一桁が偶数の年の秋に開かれる公明党大会が、池田大作名誉会長の逝去による国政選挙態勢の持続のために延期される公算が高まっています。

 さて、お江戸では都知事選でにぎやかだという、究極の一極集中がなされています。新聞広告の公費負担を受領しながら、広告を出さないと現金が残ることが多数の再立候補者のねらいでしょう。

 立憲民主党を離党した前参議院議員の蓮舫候補のきょうの街頭演説会は、およそ2000人の聴衆が集まりました。2012年末の政権再交代以降の12年間、海江田万里・岡田克也・枝野幸男・泉健太各代表の街頭演説会の聴衆は、中央値で50人未満でした。一貫して取材し続ける私は、この秘密を初めて読者に公開します。現職も最有力新人とも女性という直接大統領制の選挙なので、関心が集まっているのでしょう。

[写真]蓮舫候補(最も右端の白いジャケットの人物)の街頭演説会に集まったおよそ2000人の聴衆、JR総武線の錦糸町駅前(墨田区)、きょう2024年6月23日、宮崎信行撮影。

[写真]予想以上のペースでビラがはけてしまい、選挙カー(候補者は確認団体車)からビラを補給してもらう、滝沢やすこ江戸川区議(平井地区は新・東京14区)ら=同。

 和歌山県や宮崎県の関係者から聞かれて困惑したことがありますが、「江戸っ子」という言葉は気を付けてください、封印した方がいいでしょう。錦糸町は、江戸城天守閣が焼失した明暦の大火の直後に、隅田・荒川に幕府が「両国橋」を解禁して錦糸町もお江戸になりました。しかし、武蔵のまま明治維新を迎えた新宿、池袋など「山手線」沿線の方が地価がはるかに高く、東京の格差の象徴で、会話のタブーです。そもそも、祖父母、父母、本人が江戸生まれで「江戸っ子」で、千代田区神田のビルオーナーぐらいなものです。

 そのお江戸・錦糸町での街頭演説で、蓮舫さんの演説で最も拍手が上がったのは「東京の光と影の、影に光をあてたい」との言葉でした。「不合理な慣習や制度で困っている女性を応援する施策を進めます」との文言が入った政策ビラははけてしまい、江戸川区議の滝沢やすこさん(事務所がある江戸川区平井地区は、旧東京16区から新・東京14区に移行)は、確認団体車で、菊田まきこさん、吉良よしこさん、酒井なつみさんに囲まれて蓮舫候補が演説するさなかに、選挙カーを開けてもらい、ビラを補給していました。

 およそ2000人が集まっても、地域の利権が複雑な東京では現職・小池ゆり子さんがかなり有力だと思います。自民党関係の屋内演説会で法被を着て最前列を占拠する異様な民間団体「江戸消防保存会」との写真も「X」(旧・ツイッター)にあげて威圧しています。このほか、石丸伸二候補と田母神俊雄候補も追い上げています。清水国明候補は遅れをとっています。

 地方議員選と違い、選挙カーが自宅周辺に来た人も稀でしょうし、電話作戦は週明け火曜日ごろ方始まるようです。23区だけど武蔵の地域では、9候補程度しか公営掲示板にポスターがありません。

 きょうの演説会では塩村あやか参議院議員が「蓮舫さんの演説を前にも聞いた人」に手を挙げてもらったところ、前列でも3割程度でした。塩村さんは会場ごとに演説を変えているとアピールしましたが、1991年の都知事選で当初最有力の磯村尚徳さんもテレビの習慣から違う演説をしなければならないとの思い込みを実践してしまい公約のブレが生じてことも落選の原因だったとされています。1995年の都知事選は、警視庁・神奈川県警の大失態である地下鉄サリン事件の翌月という暗い世相で施行され、投票日数日前に公営掲示板で「青島は都政から隠し事をなくします。このポスターを張るのことに協力してください」とした青島幸男・元参議院議員が当選しました。都心で見たと思いますが、青島ポスターを見た私は希少だったとも他人から言われました。

 森ビルによる六本木六丁目再開発の後に、小泉政権が制定した都市再生特措法の六本木(正確には赤坂9丁目)の三井不動産の旧防衛庁払い下げから始まった三井不動産の乱開発。これにストップをかけることが未来にとって最も大事です。

 が、蓮舫さんのいう東京の光と影の影に光をあてるのが、野党が結集すべき軸です。上京したあなたの娘は、東京の風俗で働いているかもしれない。アベノミクス量的金融緩和で生じた著しい経済格差を多面的にみながら、まずは税金の直接投入で、ゆがみをとるしかありません。

 もう、自民幹事長・公明代表の「安定の自公政権か、混乱の立憲共産党か」という実在しない法人名で一面的に騙される日本人は卒業してください。

 以上です。


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