【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「SVBショック」シリコンバレー銀行破綻で「危機感ない、かつて自民政府はリーマンショックを蜂に刺されただけだと過小評価した」、日本の衆議院財務金融委員会でも議論 安住淳国対委員長

2023年03月14日 18時30分33秒 | 経済
[写真]シリコンバレー銀行「SVB」の破綻を報じたニューヨーク・タイムズ紙、2023年3月中旬、宮崎信行撮影。

 先週末2023年3月11日過ぎに、アメリカの「シリコンバレー銀行」(SVB)など2つの銀行が破綻し、預金を引き出す「とりつけさわぎ」が起きたことについて、立憲民主党の安住淳国会対策委員長がきょう14日(火)の衆議院議員向けの会合で「日本の政府がこのことに対して鈍感さというかあまり危機感を持った発信をしてないということに私はちょっと危機感を持っております。このことに関しては衆議院の財務金融委員会を中心に議論をしっかりしていきたい」と語りました。

 会合で、安住さんは2008年秋のいわゆるリーマンショックのときに、自民党総裁選の与謝野馨候補が2008年9月17日に「影響はあるが、ハチにさされた程度で大したことない」と発言したことに言及。このときは21日のテレビ番組で茂木敏充金融相が「ハチでもミツバチもスズメバチもいる」と軌道修正しましたが、東海などの製造業の雇止めで職と住宅を同時に失う人が続出し、東京・日比谷公園や厚生労働省講堂に「年越し派遣村」ができました。

 SVBシリコンバレー銀行は、アメリカ連邦準備制度理事会が2008年秋から始めた量的金融緩和をコロナショックで再び始めた時期から預金量を大幅に伸ばし貸出先が少ないので米国債など債券を購入。緩和をやめたパウエル議長が「インフレを退治する」とのお題目で政策金利を上げたことで、債券の評価額が下がり貸借が釣り合わず危機に。これを聞きつけたシリコンバレーの経営者・従業員が預金をおろす「とりつけ騒ぎ」となり破綻しました。これを受けて、バイデン大統領としては異例の記者会見を開き、預金保険制度が機能することを表明しました。また、パウエル議長らが利上げをやめることも期待され、利上げ反対派のトランプ前大統領が政治的に巻き返すこともありそうです。また、ニューヨークタイムズ報道では、パリ協定など気候変動枠組に対応して二酸化炭素を減らすグリーントランスフォーメーション(GX)の製品開発をめざした新規企業の一部が経営できなくなるとの観測が出ています。

 安住さんの発言は次の通り。
「アメリカで金融機関が二つの銀行が破綻をするという。ちょっと言葉悪いんですけど、気持ちの悪い現状があります。週末だったんですぐ反応はしなかったんですけど。私もちょっと財務大臣のときにやっぱり金融機関が破綻するとくにシリコンバレーに関係する金融機関はどうも会計監査を2週間ほど前だったときに、極めて健全で、リスクはなかったと言われていますね。そういう金融機関がある日突然、破綻をするというのは、やっぱアメリカが今行っている利上げと、それからそれに伴うやっぱり資金調達に迫られた企業が急激な預金を下ろし始めたことが原因なのかと思ってしまいます。これはですね、金融システム全体を揺るがしかねないような話になるとも思いますので、日本の株式市場も反応してますけども、もしそうだとすると、決して軽く考えてはならない。思い出すとですね、麻生政権下で実はリーマンショックが起きたときの最初の2ヶ月日本の政府はなんて言ってたかと、お亡くなりになられたんであんまり言いたくないんだけども、当時の与謝野馨担当大臣はね。街頭演説やったときもハチの一刺しに刺された程度で、こんなことは大したことないんだって言い張ってたんですよ。私は絶対そんなことないと思ってました案の定、危機的な状況になって、リーマンショックは世界を覆ったわけですね。そういう点からいうと、政府はちょっと日本の政府がこのことに対して鈍感さというかあまりあの危機感を持ってない発信もしてないということに私はちょっと危機感を持っております。このことに関しては衆議院の財金を中心にですね、ちょっと議論をしっかりしていきたいというふうに思ってますのでよろしくお願いします。以上です」。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2023年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

総務省行政文書はくすぶり続けてNHK予算承認案審議にも、コロナ赤字鉄道法案、特区法改正案も審議始まる

2023年03月14日 13時30分42秒 | 第211回通常国会(2023年1月)
[写真]NHK渋谷放送センター、4年前の2019年、宮崎信行撮影。

 放送法解釈の「補充説明」をめぐる行政文書は参・立憲に続き共産・田村智子さんもきのう参戦。きょうは衆・立憲のNHK予算案審議にも横展開しました。

【衆議院総務委員会 きょう令和5年2023年3月14日(火)】
 「NHK予算承認案」が審議入り。きょうは維新まで質問しました。
 立憲民主党の委員は8人いますが、1期生国対委員の大築紅葉さんが「先輩方の格別なご配慮」で登場。小西洋之・高市早苗「総務省行政文書」問題で、省の情報流通行政局長を呼び、放送法解釈変更に関する文書はすべて出ており、確認作業ではおとといからきのうにかけての進展がないことを確認しました。
 自民党の務台俊介さんは宮澤税調会長と同じ学歴とされる稲葉会長について「日銀出身で立派な経歴だ」として「私はNHKしか見ない」と語りました。

【参議院予算委員会 同日】
 「令和5年度予算案」は10日目。一般的質疑3日目、第2巡の前半。自民党議員が「LBGT問題で、夫婦別姓に賛成。というのは少数派だから一気に多数派になった方が社会で通りやすい」としました。野党質疑はあす。

【参議院懲罰委員会 同日】
 「政治家女子48党のガーシー議員懲罰事犯」について、弁明とそれに対する質疑。浜田聡議員が弁明しました。委員長、自民、共産が質問。討論では全会派が「除名すべきで、それに賛成する」としました。採決の結果、除名すべきだとの審査報告書が決まりました。あすの本会議に報告し、尾辻秀久議長が除名を宣告する段取りになるようです。

【衆議院本会議 同日】
 「関税定率法改正案」(211閣法13号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。
 「裁判所職員定員法改正案」(211閣法10号)が立共れ反対、自公維国有賛成多数で可決し、参議院に送付されました。
 「地域公共交通活性化法改正案」(211閣法17号)が審議入りしました。国鉄民営化以来の流れで、コロナ禍の鉄道の持続可能性について協議会や予算措置を盛り込んだ法案で、斉藤国土交通大臣と、立憲、維新両党の質疑答弁がありました。

【衆議院地域・こども・デジタル特別委員会 同日】
 この特別委員会は35名で「災害」「公選法」などと同じ規模。きょうは第一委員室で開かれました。3大臣の所信的あいさつに対する一般質疑。この記事の公開後にも一般質疑は続きます。そして「特区法改正案」(211閣法37号)が岡田地方創生相から趣旨説明する段取りです。かなり早い審議入りで利権でもあるのでしょうか。きょうの日本農業新聞では養父市の農業特区からオリックスが「採算が取れない」と撤退することを決めたと報じられました。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「水産加工施設の資金融通法5年延長法案」(211閣法5号)が趣旨説明されました。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 同日】
 福島の立憲・玄葉光一郎さん、茨城の有志の会・福島伸享さんらが質問しました。

【衆議院北朝鮮拉致問題に関する特別委員会 同日】
 3大臣の所信的あいさつ。谷公一国家公安委員長は「13件19人の拉致事件があり、11人に逮捕状が出ている」と述べました。

【衆議院消費者問題特別委員会 同日】
 所信的あいさつ、この委員会は1大臣です。

【参議院財政金融委員会 同日】
 「所得税法改正案」(211閣法2号)の2日目、法案審査1日目。

このエントリーの本文記事は以上です。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読くださり、ご寄付をお願いします。 
このニュースサイトは以下のウェブサイトを活用しています。
Ⓒ2023年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。