[画像]社民党の福島瑞穂さん、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
60年前、1954年3月のアメリカによる、ビキニ環礁(マーシャル諸島共和国)での核実験により、被爆した第五福竜丸の船員らの放射能検査の公文書について、当時の国会では存在しないとされたものが、60年経ってから、厚生労働省、外務省が情報公開法にもとづき公開したことが分かりました。2014年10月16日(木)の参議院厚生労働委員会で、社民党の福島瑞穂(福島みずほ)さんが指摘したもので、すでに9月に一部報道で、高知県の市民団体による情報開示請求で公文書が公開されていました。
福島さんの質疑によると、米国との補償をめぐる公文書を外務省はアメリカには渡していたものの、日本国内では公開していなかったとし、外務省官房審議官が事実を認めました。
厚労省は、第五福竜丸の船員の放射線検査の結果を公表していなかったと認めたうえで、「厚生省は漁船員の船体や捕獲物の放射能を2週間にわたり検査した」とし、当時は「必要がある人には、適切な医療をするよう講じられていたのではないか」との考えを示しました。
厚労省政務官は、「当時の国会では、質問通告の時間が遅く、資料が見つけられなかった可能性がある。今回は、茨城県にある文書倉庫までいってひっしに探した」と答弁し、「第五福竜丸の船員には、放射線医学総合研究所で、毎年の検査を受けてもらっていた」と語りました。
これに対して、福島さんは「第五福竜丸以外の船員は低線量被爆をしながら、それを知らずになくなっていった可能性がある。船員は、海水でお風呂を浴びるなど事情が違う。情報公開をしていれば、年齢が50歳代、60歳代、70歳代となるなかで、フォローアップできたのではないか」と第五福竜丸以外の船員への情報公開が必要だったと指摘。これには、塩崎恭久厚生労働大臣も「こういった資料が出なかったことはきわめて問題だ。持ち帰って検討したい」と語り、前向きに検証するかまえを示しました。
かねがね疑問だったのは、首相は国会でよく「唯一の被爆国である我が国」という言い方をしますが、マーシャル諸島共和国は核実験により60年たった今でも首都に避難中の人がいます。これに対して、首相の広島平和記念式典でのあいさつは「唯一の戦闘被爆国だる我が国」と言っていて、この表現の方が正しいと考えてきましたが、今夏インターネット上で「コピペだ」という批判が渦巻きました。ビキニ環礁水爆実験については、新聞では大々的に報じられましたが、公文書の公開マインドがないと、やはり厚労省も含めて、みんなが損をすることになります。この問題はぜひ、今後も見ていきたいです。
【参議院厚生労働委員会 2014年10月16日(木)】
大臣所信に対する一般質疑があり、上記の福島質問もあった後、質疑終了。
続いて、先の通常国会で衆議院では多数で可決しながら、参議院では時間切れで継続審査となっていた、
「専門的知識等を有する有期労働者の雇用期間を5年から10年に延長する特別措置法案」(186閣法48号)が
塩崎大臣から趣旨説明され、審議入り。来週参考人質疑をすることになりました。なお、今国会で参議院で可決しても、再度衆議院での審議、可決がないと成立しません。このほか、厚労省関連で政府は2本の法律案を参議院先議で国会に提出しました。厚労委は野党の理事もほとんど続投しているようで、労働者派遣法改悪法案の成立阻止に向けて、あいかわらず目が離せません。
【参議院外交防衛委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑があり、江渡聡徳防衛相の資質に対して、検察官出身の小川敏夫さん、警察官出身の小野次郎さんらが厳しく追及しました。
この後、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の中間報告について、岸田外相が「経緯」、江渡防衛相が「性質」をそれぞれ説明して、質疑はなく、散会しました。
【参議院第1種常任委員会 同日】
上記も含めて、参議院のすべての第1種常任委員会は、大臣所信に対する一般質疑を終えて、散会しました。
衆議院では、あす一般質疑があるため、大臣の資質に関する質疑が、続きます。かなり大臣の資質追及について、野党を応援する世論が強まっているように感じます。
tag (宮崎信行)
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