[画像]民主党の津村啓介・衆議院安全保障委員会野党筆頭理事、2014年10月14日(火)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【衆議院安全保障委員会 2014年10月14日(火)】
江渡聡徳・防衛大臣も資質問題が上がっています。
これは、総務大臣届出政治資金管理団体「聡友会」で、選挙資金ではない「寄付金」が「江渡聡徳」さんに少なくとも450万円されていたものの、入閣直前の先月、「人件費」に訂正され、告示されたことで、予算委員会の基本的質疑では、人件費で仮領収書があるとしていました。
<なぜか衆安保委だけが、トップバッターで一般質疑の日程設定>
経緯は分かりませんが、すべての常任委員会のトップを切って、きょう、安全保障委員会で、大臣所信表明演説に対する一般質疑がセットされました。
まず自民党は武田良太さんが質問。内閣改造前は武田副大臣を政務官として支えた左藤章・新副大臣が「まず武田前大臣が・・・」と話すと、やじがとび、「あっ失礼しました。前副大臣が・・・すいません、昇格させてしまいまして・・・失礼しました」と答弁。まるで中選挙区55年体制自民党に先祖返りしたような、和やかなシーン。
公明党の佐藤茂樹さんは、「安保法制、ガイドラインともに越年するのではないかという報道があるが、2プラス2で合意した年末という期限を守るべきだ」と問うと、江渡防衛相は「年末までにしっかりと見直しが終わるようにする」と答弁。佐藤さんは、重ねて、「7月1日の閣議決定を順守してアメリカはガイドラインを見直すべきだ」と語りました。佐藤さんがんばってほしいですが、公明党の論理構成はかなりいびつになってきて、苦しいですね。ところで、先週のエントリーで私が書いたように、やはり再改定ガイドラインから周辺事態を削除することが中間報告で完全に決まったわけではないことが、佐藤質問・江渡答弁から分かりました。ほとんどの報道で中間報告により周辺事態削除が決まったとされていますが、私は削除が決まったとは書いていないと主張しましたが、やはりただしったようです。もちろん、方向性としては、周辺事態削除の方向性で、戦後の歴史的転換点、ポイント・オブ・ノー・リターンに向かっていることに変わりありません。
[画像]公明党の佐藤茂樹・安保委理事。
そして、ここから一変。
今国会から、安全保障委員会野党筆頭理事になった、民主党の津村啓介さんが登場。
冒頭の「聡友会」問題で、仮領収書が理事会に提出されていないと指摘。江渡大臣は、政治資金規正法での領収書保存期限が3年間なので、提出する必要がないと答弁。津村さんの質疑に、人件費には源泉徴収はしておらず、払った人は税務申告をしていると思う、と答弁しました。
この件ついては、次の民主党ニュースの階猛さんの6日の衆予算委配布資料の1ページをみるとわかりよいようです。
ここで、4点の要求のうち、2点が理事会に出ていないと津村筆頭理事は抗議。自民党の北村誠吾委員長、小野寺五典筆頭理事、新藤義孝理事らが応じないため、ここできっぱり。
「退席します」
[画像]追及する津村さん。
この後、委員長らは、衆参ねじれが解消したとはいえ、大臣所信に対する一般質疑では異例の空回し。
インターネット中継では分からなかったのですが、維新の党の足立康史(足立やすし)理事の質疑順になって、維新の党も欠席戦術をしていると分かってうれしかったです。
[画像]民主党、維新の党ら野党5党退席後も空回しを続ける、北村委員長、江渡大臣ら。
午後4時58分、北村委員長は「民主党、維新の党、みんなの党、生活の党、社民党の5会派に出席いただけない」としたうえで、日本共産党の赤嶺政賢さんを指名。この委員会は常連の赤嶺さんは「自民党にこんなに拍手をもらった。ふだんからこのぐらい拍手をもらえればいいが」と語り、「自民党の小野寺理事らは円満な議会運営をしてほしい」と語りました。
[画像]必死に答弁する、江渡聡徳・防衛大臣。
次世代の党の中丸啓さんも「冒頭一言申し上げたい。理事会が何度も開かれ、みんなが走り回った。今、野党は共産党の赤嶺委員と私の2人しかいない。円満に運営してほしい」と語ると、江渡大臣は「私の不徳のいたすところで、できる限りのことをしたい」と語りました。江渡大臣は、誰かから、なんかの指示でも受けているんでしょうか?なんだか、第1次安倍内閣の悲劇を思い返しそうです。
伝統的にこの委員会は開催日数がとても少なく、楽な委員会なのですが、若くて初めての野党理事らの情熱で、第187臨時国会では、なにか忘れられないシーンが生まれる委員会になるかもしれません。
【参議院第1種常任委員会 同日】
参議院の第1種常任委員会がすべて開かれ、新委員長のあいさつや、理事の選任、大臣の所信聴取がありました。すべて店開きが済みました。
ただし、「宿舎(衆院規則)」、「うちわ(公選法)」、「マフラー(参院規則)」の3点セットの「資質」問題を国会で指摘された挙句、記者会見で「雑音」と表現し、4点セットになった、松島みどり法相の所信を聞く、参議院法務委員会(委員長=魚住裕一郎・参議院公明党会長)は3時間遅れとなりました。これに先立つ、午前10時からの参議院内閣委員会では、松島さんは特定秘密保護法施行担当大臣として所信を述べましたが、前置きとして、自身の発言を陳謝しました。午後1時になってようやく開かれた法務委員会では、まず、民主党の有田芳生・新筆頭理事が正式に就任。その後、松島法相は、午前より、大きく陳謝し、所信を述べました。きょうはここまで。ただ、あす以降の衆参の法務委、内閣委では当分追及が続きそうです。
【衆議院本会議 同日】
【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】
今国会最初の法案審査入り。
地方創生に関する2法案。
まち・ひと・しごと創生法案(187閣法1号)と、
地域再生法改正法案(187閣法2号)が、
石破茂・地方創生担当相から趣旨説明されました。
まあ、法律案をよく読む人というのはどれほどいるか分かりませんが、これほど「スカスカ」の法律案は珍しく、代表質問の中でも「理念法案とはいえ具体的でない」「内容がスカスカ」との演説がありました。
本会議では、民主党の渡辺周ネクスト総務大臣が質問し、冒頭、「台風被害のお見舞い」と「まず午前の安全保障委員会で江渡大臣の聡友会の領収書問題について、不正常な運営がありました。言語道断であり、与党に対して猛省を求めます」と切り出しました。維新の党の小熊慎司さんも同様に切り出しました。
大臣の資質追及は、塩崎恭久厚労相にもおよび、本会議の所管外大臣としては異例ですが、渡辺周さんは「厚労相の、地元の老人ホーム建設に関する(入閣前の)厚労省への口利き疑惑について聞きたい」としました。おそらく、この質疑の関係で議場内交渉が起きました。渡辺さんの質問後、伊吹文明議長が「周君!」と伊吹議長就任後の1年半野党側議運筆頭理事をつとめた、渡辺周さんを呼び出し、「私の議事整理権だが・・・」という声がマイクに入りました。この後、議場内交渉はきえ、速やかに首相、地方創生相、厚労相らが答弁。塩崎厚労相は本会議壇上から「地元の団体から頼まれて、ユニットリーダーという言葉の法令上の解釈を私の議員事務所が厚労省に問い合わせた、よくある日常の議員事務所の仕事である」という趣旨の答弁をし、「その後、私が把握し、松山市に対する連絡はしないよう指示したので、現在まで連絡したという事実はない。高度な倫理観で職務にまい進します」と答弁しました。とはいえ、問い合わせは認めました。
地方創生に関しては、なかなか具体的な答弁はありませんでしたが、質問演説の中で、公明党の稲津久さんは「今年度補正予算案の編成を求めます」としました。みんなの党の佐藤正夫さんは「法案の18条に、本部長は官僚である内閣官房副長官補とあるが、反対だ。いつか来た道だ」と指摘しました。
この後、第1委員室で、法案の趣旨説明がありましたが、いわゆる「お経読み」で、石破大臣はずいぶん早口で読み上げました。あす9時から法案審査が始まるとともに、衆議院の各常任委員会で一般質疑が行われます。
いずれにせよ、野党共闘で、驕れる自民党をしっかりと監視する国会がスタートしました。多くの国民がのぞんでいたことです。
[画像]菅義偉・内閣官房長官、ニコニコ生放送からスクリーンショット。
政府が平成26年2014年10月14日(火)の定例閣議で、
「特定秘密保護法を2014年12月10日に施行する」とする政令を天皇陛下に公布するよう求める閣議決定をしたことを、
午前9時52分から開いた、菅義偉内閣官房長官の記者会見で公表しませんでした。
菅長官は、「閣議の概要について、お知らせします。一般案件17件を決定しました」としながらも、内容を語らず、首相の外遊について語りました。
9時54分からの質疑応答で、TBS記者からの質問に答えて、閣議に先立つ、国家安全保障会議(NSC)の内容について聞かれました。ここで、冒頭のニコニコ生放送の中継スクリーンショットのように、菅長官は原稿を見つけられず、秘書官と思われる人物からペーパーを受け取りました。
そのうえで、
「特定秘密保護法の運用基準について整理をした」「隠蔽が無いようにする」「このことを今後とも徹底する」「国民の不安を払しょくしたい」と語りながら、
12月10日施行だ、ということは、その後の質疑応答も含めて一度も情報発信せずに記者会見を終えました。
今後の政治日程としては、11月30日(日)に国会が閉会。
12月8日(月)の内閣府GDPに前後して消費税10%を閣議決定、10日(水)に特定秘密保護法施行、同月末までに、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定終了という日程になります。
菅さんの師匠である、梶山静六さんは、官房長官会見で、手元に資料の用意がない質問を受けた時に、秘書官からペーパーを受け取ることは無かったと思います。少なくとも、私が総理番非番で、官房長官会見に出ていた時に、ペーパーを受け取ったことは見た記憶がありません。そして、官房長官室に帰ってから、秘書官(内閣官房、大蔵省、外務省の3人)を烈火のごとく叱りつけたと言われています。 梶山さんは早く帰るし、金曜日には必ず地元に帰る(落選経験がある)、ので、秘書官は夕刻には帰宅する日も多かったようですが、官邸内ではそうとうの緊張感で仕事をしていました。そういう短時間でも、ピリピリした緊張感が、第2次安倍内閣にかけているのではないかとニコニコ生放送を見ながら感じました。