国の平成22年度一般会計決算書に関連した「平成22年度一般会計国の債務に関する計算書」のうち、国庫債務負担行為について、平成21年度から22年度、22年度から23年度への繰越額について、少なくとも「6億円以上」、あるいは、延べにすると数百億円になりかねない誤記があることが分かりました。一部を報道を受けて、当ブログが財務省ホームページを確認したところ、「平成22年度決算」に「正誤表」が掲載されているのを確認しました。
参・決算委は、委員会1回、本会議1回で、平成22年度決算是認(承認)というスケジュールまでこぎつけていたのに、2月中の是認が不可能になりました。このため、平成22年度、23年度決算が店ざらしになっている状態ですが、21年度にも間違いがあった可能性もあります。さらに衆院決算行政監視委員会は、平成21年度、22年度、23年度が店ざらしになっています。民間では考えられないどころか、地方議会でも考えられないことです。与野党関係なく、国会(とくに衆議院側)の失態です。
国庫債務負担行為とは、例えば防衛省発注の飛行機などで、防衛省が認められた歳出を超える大型の契約を入札できる権限で、防衛省は業者と契約だけしておいて、後年度にお金は払えばいいということになります。業者としても「将来税収の裏保証」なので安心して契約するでしょう。その契約の限度額を「債務負担行為の限度額の設定」といい、予算書の中に書いてあります。だから国会の議決を得た財政民主主義であり、財政法定主義です。しかし、これを理解している国会議員や官僚は少なく、予算委員会で議題になることは皆無です。よく防衛省がやり玉に挙がりますが、国交省、農水省と違って、防衛省は特別会計を持っていないので、一般会計の中で、債務負担行為の設定を使って、現金払いを各年度に散らしているという意味合いがあります。
現在のところは防衛省ではなく、内閣府の経済社会総合研究所(旧経済企画庁)のGNP統計計算のパソコン関係の設備更新で、富士通と三菱総合研究所が一般競争入札した事業に関して、なんらかの計算ミスがあったのではないかとみられます。このほかにもあるかもしれません。
国が発注し保証する長期の契約です。当然、安い札で落としに行く業者がいるでしょうから、債務負担行為の限度額よりも安い契約になるのは当然のことに思えます。これも落とし穴だったのかも知れません。ところが、「後年度に業者に支払う現金」が水ぶくれし、それを国会のお墨付きで歳出済みかもしれません。
そもそも、予算書の国庫債務負担行為のなかで、複数の契約案件があるはずです。そして、「複数年度」の期間もそれぞれバラバラです。平成22年度にミスがあるということは、少なくとも平成18年度までさかのぼって確認しないといけないことになります。これは大変な手間ですが、まったく同情の余地はありません。ただ、元首相の財務大臣のリーダーシップがあったので良かったのかなとは感じます。
少なくとも6億円の誤記ですが、これは単式簿記の怖さで、他の年度にも「誤記を繰り越した可能性」があります。そうなると、「延べ金額」で言うと、これはおびただしい金額の誤記になるでしょう。防衛省入札業者は大企業ですが、例えば、文部科学省の「義務教育教科書購入」の業者などは極めて財務基盤が脆弱な会社でしょう。信用不安になります。それは、最終的に、日本国債全体への国内外への不安につながりかねません。
ことしになってから、補正予算書の提出が通常国会召集日から3日遅れるなど不自然なことがあり、「なんか変だな」と思っていました。自民党の麻生太郎財務相に説明を要求します。それからこういうときは、オール霞が関にとって煙たい存在である「会計検査院」に責任が押しつけられることがありますが、それは止めて欲しい。
もちろん、平成22年度の決算の国庫債務負担行為の23年度への繰越額に間違いがある以上、平成25年度当初予算書にも間違いがある可能性があります。平成25年度暫定予算の編成とあわせて、全党党首会談などで政治全体が国民(日本国内外)にメッセージを発するべし。
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