[画像]渡部恒三さん、羽田孜さん、岡田克也さん、鹿野道彦さん=Ustreamからキャプチャ。
予想外の内閣改造で、すっかり疲労してしまい、報道の事前登録をしていたのに、党大会に行けませんでした。1998年4月27日の民主党統一大会以来、14年ぶりに党大会をこの目で見たいと思ったが、奢れる者は久しからず、その栄華は見ずに、通常国会に備えたいと考えます。
北澤俊美・実行委員長の下、2012年1月16日(月)、民主党2012年党大会がホテルニューオータニでにぎにぎしく開かれました。
[画像]北澤俊美・2012年民主党定期党大会実行委員長。
北澤実行委員長は「議論は活発に行い、決定には従う。そういう責任政党としての政党文化を確立しなければなりません」と語りました。
そして、ついに、民主党規約案、代表選挙規則案の改定に成功しました! これは、両院議員懇談会で小沢グループも交えて議論し、先月20日の第543回民主党常任幹事会で決定した案。公正な運営の下、小沢グループも含めた全会一致で承認されました。
新しい民主党規約の第11条3項では、「代表の任期は就任から3年後の9月末日まで」となりました。ですから、今後、「総選挙による下野」などの理由で代表が途中辞任した場合でも、少なくとも2年以上はしっかりと腰を落ち着けて代表職に取り組みことができます。また「重ねて就任することができる」となりました。自民党は連続して3期以上務めることはできませんが、民主党は「総選挙での国民の信」がある限り、何年でも総理・代表を続けて、国際会議に出席し続けることができます。新しい代表選挙規則第6条4項は常任幹事会の発議、両院議員総会の承認の基、選挙日程を変えることができます。これは一昨年の英国労働党が下野したとき、ブラウン前首相(党首)の後任を5ヶ月かけてじっくり決めて、党再建に取り組んでいるように、長期的なリーダー選びによって下野時の代表(次の首相)を選ぶことが可能になりました。なお、党規約第10条では「本党が政権の任にない場合、党の政策に関して審議、決定するため、『次の内閣』(ネクスト・キャビネット)を設置する」とし、引き続き、民主党は「次の内閣」、自民党は「影の内閣」と名称は違う状態が続きます。
これにより、政権準備政党(自由主義の野党第1党)としてフロントベンチに座った1995年12月以来17年間繰り返された小沢グループによる選挙違反(ただし公選法適用外)事件にようやく終止符が打たれることになりそうです。
これに先立つ15日のNHK日曜討論では、副総理である岡田克也さんが「小沢グループと権力争いしているつもりはまったくない。お互い協力して政権交代の実を挙げないと国民のみなさまに申し訳ない」と発言し、民主党内における権力争いの終結を宣言しました。党大会には、小沢一郎さんは出席せず、ごらんのように鈴木克昌・一新会会長(小沢グループ)が党役員としてとりしきりました。また、小沢グループを含めた全会一致で、党規約、代表選挙規則が承認され、成立しました。ですから、これを持って、小沢グループとの闘いは終わりました。
[画像]民主党大会を幹事長代理(内定者)としてとりしきる、鈴木克昌小沢グループ会長=Ustreamからキャプチャ、トリミング。
[画像]小沢グループも含めた満場一致で、民主党規約、民主党代表選挙規約が成立した瞬間。
[資料 小沢グループによる選挙違反事件]
小沢グループによる党首選選挙違反の歴史(公選法適用外)
1995年12月(衆院満了まで1年6ヶ月、実際には10ヶ月後)。
野党第1党・第2回新進党党首選(海部俊樹党首の任期満了)
小沢一郎候補 112万票(66%)
羽田孜候補 56万票(34%)
議員、党員以外に「1000円を払った日本国民のハガキによる投票」を実現。大いに関心を呼ぶ。しかし、「小沢一郎」と同じ筆跡のハガキの束が党本部に大量に届く事態に。党首選挙後、米沢隆幹事長が投票用紙の全焼却を指示。非党員支持者や創価学会などに不満が溜まる。旧新生党の有力議員はほとんどが反小沢派(新進党羽田派)を結成。自社さ内閣の震災初動不手際、消費増税に対して、1996年10月の第41回衆院選での政権交代のチャンスを逃す結果に。1996年12月、羽田派(羽田孜さん、北澤俊美さん、前田武志さん、奥田敬和さん)が太陽党を結成し、離党。石井一さんと岡田克也さんは党に残り改革を目指す。
1997年12月(衆院満了まで2年10ヶ月、実際には2年7ヶ月後)
野党第1党・第3回新進党党首選(小沢党首の任期満了)
小沢一郎候補 230票(55%)
鹿野道彦候補 182票(45%)
翌夏に参院選を控え、創価学会系、連合系を中心に無投票ムードがあった。しかし、反小沢派が党改革を訴え、「当選8回、閣僚2回、旧自民党ながら非竹下派(福田派)」の鹿野道彦さんが早期に単独で出馬表明。ダークホースとみられながら、旧羽田派、創価系、連合系などから徐々に支持を集める。結果として小沢党首に肉薄し、「党首に反省を求める」党内世論が明らかになる。しかし、小沢党首は反省せず、政党助成法の基準日を控えた年の瀬に突如、両院議員総会を開き、「新進党解党」を宣言。翌夏の参院選では橋本自民党が地滑り的惨敗で、参院選2連勝(第1会派)の機会を逃した、
2009年5月(衆院満了まで4ヶ月、実際には3ヶ月後)
野党第1党・第12回民主党代表選(小沢代表の途中辞任)
鳩山由紀夫候補 124票(56%)
岡田克也候補 95票(44%)
支持率から政権交代が確実な情勢で、事実上の首相選挙。小沢代表が突然辞任表明しその週の土曜日に選出する日程を発表。良識派が抵抗も、「決まったことを守るのが民主主義だ」という謎の言葉で押し切る。古川元久中央代表選挙管理委員長が両院議員総会中にディベートタイムを取り込むなどの善後策をはかる。鳩山由紀夫幹事長を小沢系が応援。郵政勝ち残り組の衆院議員は岡田副代表陣営がわずかにリード。小沢氏は参院での巻き返しを図り、小沢一郎政治塾出身議員が参議院議員会館に二十人前後の議員を呼び出し、鍵を閉め、支援を確約する文書に署名しない限り部屋から出さないと迫る「監禁事件」が発生。泣き出す議員も。また離党した無所属の前田雄吉・衆院議員が飛脚としてベテランを籠絡。岡田系の躍進に怒った小沢氏は、両院議員総会の最後に登壇しないという大人げない行動に出る。この3ヶ月後の政権交代で、岡田克也さんから幹事長職を奪い返し党の主導権を握り、翌夏の参院選で惨敗する事態に。ねじれ国会となり現在にいたる。
2010年9月(衆院満了まで2年11ヶ月)
与党・第14回民主党代表選(定期代表選)
菅直人候補 721票(59%)
小沢一郎候補 491票(41%)
8年ぶりの定期代表選で、地方議員、党員・サポーターも参加。結党以来初めて、総理大臣が出馬。勝敗を決する1期生議員に対して、小沢氏の議員秘書が、総選挙の際の資金提供に関する領収書など支援に関する文書をみせて、投票を迫る。東京、大阪、札幌での街頭演説会に大量に聴衆を動員し、菅候補をののしる戦術をとるが効果は不明。結果は、41%の得票率の大惨敗。党内での影響力は大幅に低下する。
[資料おわり]
第2回新進党党首選での屈辱により、太陽党の船に乗り込んだ、羽田孜さん、北澤俊美さん。新進党に残った岡田克也さん。そして、新進党第3回党首選に出馬し、善戦した恨みで、解党という屈辱を受けた鹿野道彦さん。そして、「(第41回衆院議員総選挙で)新進党と書いてくださった有権者(国民)に対する裏切りだ!」と叫んだ岡田さん。無所属(衆議院副議長)として見守った渡部恒三さん。そして、なんと言っても、新進党千葉4区総支部長として浪人中に党を解党され、イチバン苦労した野田佳彦総理・代表。生活・子育てが困窮し、不安で暗い長い道を歩いたのは野田さんなんですよね。最近まで、そのことに気付きませんでした、ごめんなさい。亡くなった奥田敬和さん。政界引退した畑英次郎さんら。
みんながそろってきょうこの日を迎えました。
[画像]渡部恒三さん、羽田孜さん、岡田克也さん、鹿野道彦さん。
[画像]野田佳彦代表(総理)と渡部恒三さん。
まさに二大政党制のしくみが完成した歴史的な日となりました。
なお、民主党規約、民主党代表選挙規則の改定は、鉢呂吉雄さん、細川律夫さん、藤本祐司さんらが取りまとめにあたりました。
代表選挙規則の第4条では、任期満了の代表選挙では、国政選挙の公認候補予定者(内定者含む)も有権者となりました。また同13条では、国会議員は2ポイント、公認候補予定者(内定者含む)は1ポイントとなりました。これは、任期満了ではありませんでしたが、野党時代の2009年5月の第12回民主党代表選のルールを決めるときの常任幹事会で、北澤俊美さんが提案したアイディアとほぼ同じです。このときは、辞任を表明した当時の代表から「北澤俊美先生の言葉とは思えない」と恫喝され、実現しませんでした。同日の役員会では野田佳彦広報委員長、安住淳・国対委員長代理、長妻昭政調会長代理、福山哲郎政調会長代理らが指を刺され、「お前らは俺の代表在任中にずいぶん文句を言ったな」という趣旨の発言をその時の代表はしたと伝えられています。それから2年半経った与党として実現しました。当時北澤さんは党副代表でした。今も党副代表です。
野田さんは第180回通常国会について「(ねじれ国会の)参院では、衆院から法案を送って、野党に『この法案が通らないとどうなるか』(迫る)ということも時には示していく」と述べました。昨年末の常任幹事会で提案し、民主党機関誌新年号で広く党員に呼びかけた「北澤3策」の一部採用を代表・総理が表明したものです。
[画像]民主党籍10年以上の功労者を表彰する野田代表(総理)。
北澤さんは「民主党にはまだまだ若く力強いエネルギーがあります。これを私は信じております。そのエネルギーをいたずらに党内で浪費することなく、国家国民のために燃焼させようではありませんか」と語りました。
[画像]眼帯をした総理を気づかう、北澤俊美さん(後ろ姿)。
長い道。
北信越地方で縁故疎開した少年時代を描いた映画や井上陽水さんの曲のタイトルは「少年時代」ですが、もともと柏原兵三(かしわばら・ひょうぞう)さん自伝的小説です。第58回芥川賞を受賞した柏原さん。北信越地方での苦労がたたったのかは存じ上げませんが、38歳という若さで亡くなりました。そのため現代では、その名前を知る人はまれでしょう。この自伝的小説のタイトルは「長い道」。羽田さんと北澤さんの長い道。ホントウに長かった。「国民の衆院選での投票行動による政権交代が可能な二大政党制」というりんごの実はしっかりと残りました。
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