【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【財務省人事】太田充財務事務次官の構想、民主党政権の総理秘書官ながら岡田「理財局長としてはある意味見事な答弁術だった」玉木「国民のために公平公正な行政をやってほしいと期待する」とひやかしの声も

2020年07月08日 21時30分28秒 | 霞が関人事
[写真]財務省に咲く白百合、4年前の春(2016年3月18日)、宮崎信行撮影。

 財務事務次官に、太田充主計局長が近く就任する、との人事が新聞各紙で報じられましたが、野党幹部から「理財局長としてはある意味見事な答弁術だった」(岡田克也前副総理)、「国民のために公平公正な行政をやってほしいと期待する」(玉木雄一郎国民民主党代表)などと、やや冷やかした感想が述べられ、同省の逆風を感じさせました。

 太田さんは1960年生まれ、島根県出身、東大法学部を卒業し、1983年(昭和58年)旧大蔵省入省。太田さんは8年前、政権交代前の野田佳彦民主党内閣で、内閣法第23条が定める「内閣総理大臣に附属する秘書官」をつとめました。

 安倍晋三政権でも冷や飯を食わさせることは無く、2度目の主計局次長として省に戻り、佐川宣寿氏の次の理財局長、主計局長、事務次官と本人は順風ですが、省は逆風ばかり。本省が命令した近畿財務局の公文書改竄、消費税率に関する「新しい判断」、金融政策をめぐるMMT理論が台頭。太田さんは佐川宣寿氏の次の理財局長として、長時間の答弁を強いられ「いくらなんでもご容赦ください」などの発言が繰り返し報じられました(関連記事)。

 野田首相と同じ首相官邸(及び4号館)に大臣室を持っていた、前副総理の岡田克也さんは、「人事のことは正式に決まってからでないとコメントしません」としながら、野党議員として「太田さんが理財局長のときの答弁はずっと聞いていましたが、そうとう苦労して答弁していました」と語りました。岡田さんは「安倍総理の下での財務省の局長ですから、ある意味見事な答弁術で、嘘は言ってはいないと思うが、ギリギリのところでかわしているな、と思った」とし、「まあ、あれ以外にやりようがなかったでしょうね」と話しました。きょう(2020年7月8日)国会内で記者団の質問に答えました。

 玉木雄一郎・国民民主党代表(平成5年旧大蔵省)も「一役人の人事ですから、政治家としてどうこう言う物ではないが、適正な人事が行われたものと思っています。もし仮に(報道の通りに)事務次官になったら、国民のために公平公正な行政をやってほしい、と期待します」と述べました。党本部での定例記者会見で語りました。同じ会見で玉木さんは「消費税の減税はやるべきだ」とし野党の共通政策にしたいと意気込みました。

 1年ないし2年の在任とみられますが、安倍晋三首相・麻生太郎副総理らが政権の維持をめざし消費税率が政局の焦点となり続けそうで、太田次官のとっさの判断も注目されます。

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インターネット版官報

Ⓒ2020年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki

黒川弘務・東京高検検事長「辞めるしかない」と岡田克也さんが勧告、全国で非常事態解除後に公共事業の含めた大型補正の審議を求める

2020年05月15日 06時35分58秒 | 霞が関人事
[写真]岡田克也さん、5年前の2015年1月、宮崎信行撮影。

 立憲、国民、社民3党と会派を組む「無所属フォーラム」代表の岡田克也さんは、きのう昼、定例の記者懇談会を議員会館内の共用会議室で開きました。

 検察庁法改正案の取り扱いは国対に任せるとしながらも、黒川弘務・東京高等検察庁検事長に対して「政権の思惑とは別に、検察制度の信頼性をどう守るのかという認識に立てば、辞めるしかない」と語りました。

 1月の閣議決定による定年延長から始まり、今国会最大の懸案となった「黒川案件」。岡田さんは「そこの問題を解決するのには道は2つ。一つは(稲田)検事総長が(慣例とされる)任期2年で辞めずに(65歳の)定年まで続ける」としました。この場合は、黒川さんの検察官としての63歳定年が先にくるので、黒川さんは検事総長になれない、としました。「もう一つは、黒川氏が自らの判断で身を処して検事総長にならない。その2つしかない」とし「いずれにしても、政権の思惑とは別に、検察制度の信頼性をどう守るのかという認識に立てば、辞めるしかない」とし、黒川氏は自ら辞任すべきだと強調しました。

 検察官があまりやりたがらない、政治家との折衝にあたる、法務省大臣官房長と事務次官を7年以上やったことについて、岡田さんは「民主党政権にも黒川氏はいたと思う。しかし、黒川氏本人の問題というよりも政権側の問題だと思う」とし、安倍首相・菅官房長官ら政権側に黒川氏を官房長・事務次官として重用し続けようとしたとの認識を示しました。

 新型コロナウイルスに関しては、同日夕方に39県で緊急事態宣言が解除され、首相は第2次補正予算案の編成を指示しました。これに先立ち岡田さんは「緊急事態宣言を一遍とは言わないが日本全体として解除できたあかつきには、経済を下支えする3次補正が必要になると思う」としました。その時期について「(6月17日に)国会を閉会してしまうと、場合によっては早くても夏(以降)になる。隙間が出る」とし、「会期の延長も必要になるのではないか」と語り、矢継ぎ早の2次、3次補正の必要性を強調しました。

 岡田さんは「リーマンショックのときのように、自動車や家電の需要を喚起して、一部公共事業も含めた補正を組まないと経済の底が割れ、無残なものになるかもしれない」と語りました。「コンクリートから人へ」をスローガンにした民主党政権の代表的存在である岡田さんが「公共事業の追加」に言及するのはまれ。地元である東海地方の自動車産業からは「受注量は半分以下。2次下請け、3次下請けから悲鳴が上がっている」とし、最大の輸出国である米国が死者数が世界一位で収束が見通せないため「国内需要を作り出していかないといけない」。エコカー減税・家電エコポイントが駆け込み需要を喚起したリーマンショック直後のヒット政策を参考にすべきだとの考えを披露しました。

 蛇足ですが、会議直前に岡田さんに「久しぶりだね」と牽制されてしまいました。とっさに「先週は(平日だが連休明け初日で)なかったので3週ぶりぐらいだと思います」と応じましたが、調べてみたら、4月9日以降、4回ぶり(5週ぶり)の出席でした。岡田さんはこの後、YouTubeも配信しており、私もボランティア活動とはいえ、4番から外されたら当惑しますので、きょうはこの後の国会の混乱が予想されることもあり、早朝から書きました。まだ眠いですが、国会はクライマックスですので。他にも今年の書き漏らしはありますので、土日も含めて、ほどほどに、また執筆していきます。

 以上です。

渋谷和久さんが太平洋を越えてチリ大使に栄転、TPP11で自由貿易を推進した無名の英雄

2020年04月18日 13時37分30秒 | 霞が関人事
[写真]入道雲(積乱雲)は日本列島にしかない、9年前、宮崎信行撮影。

 環太平洋パートナーシップ協定「TPP11」の交渉の下働きで国益・国民益を増進した無名の英雄、渋谷和久さん(昭和58年旧建設省)がチリ駐箚特命全権大使に栄転することがきのうの閣議で決まりました。

 TPP11の交渉当事者が、TPP11加盟国の大使になることになりました。5大陸は新型コロナウイルスで大荒れ。太平洋の波は静かですが、赴任はしばらく見送られそうです。チリは人口1700万人で、銅の世界最大の産出・輸出国。TPP11がグローバル化を続けるのか、はたまた、地域ブロック化するのかは神のみぞ知るところですが、環太平洋の比重が環大西洋の比重を上回るとの観測もありますが、今はコロナ収束だけが人類の目的です。

 茂木敏充TPP担当大臣が外相に昇進していることも人事に影響したのでしょうか。当ブログ内の2年前の記事では、当時の参議院議員山本太郎さんがTPP12のルール分野で「新自由主義の代表例である米企業の日本公共分野に対するコンセッション方式が含まれるのか」との問いに、渋谷さんが「含まれる」と答弁したところ、「含まれない」が正解だとして、渋谷さんと茂木TPP担当相が謝ったとする記述もあります。4年前の記事では、大臣に随行する職員の経費について、渋谷さんは「質問通告を受けて土日に計算したが、1・1億円だ」と答弁。米議会ロビイストを雇ったのかとの問いに岸田文雄外相(当時)が「雇ったが、金額は明かせない」と不誠実な答弁に終始したのとは対照的な姿勢をみせました。

 外務事務次官経験者が駐米大使をつとめたあと、「専門だから」という理由で駐独大使になったことがありました。TPP11交渉当事者が、TPP11メンバー国の大使になるというのは、多少は論功行賞もあるかもしれません。同国はスペイン語ということで、英語についても、国交省出身の渋谷さんがケンブリッジの天皇、ハーバードの皇后両陛下よりも英語が堪能ということはないでしょうが、果てしない地平線のかなたのチリで、自由貿易大国ニッポンの希望を追い続けてもらいたいものです。

 以上です。

5年間にわたった「小西洋之vs横畠内閣法制局長官」バトルは、横畠裕介さんの国家公安委員就任で終息 平和安全法制で変節の官僚

2020年04月17日 10時52分07秒 | 霞が関人事
[写真]国家公安委員会、3年前、筆者撮影。

 横畠裕介さんが国家公安委員に就任することになりました。

 参議院はさきほど17日(金)の本会議で国家公安委員に横畠さんを充てる人事を賛成多数で同意。14日の衆議院と合わせて、両院同意になりました。

 横畠国家公安委員の任期は、令和7年2025年5月までとなりそうです。

 予算定員及び俸給額表では、国家公安委員の年収は1410万円とみられます。内閣法制局長官は1600万円程度。前々任者がついた最高裁判所裁判官は年収1800万円程度ですので、さほど地位が高いようには思えません。仕事量に比べれば、なかなかですが。横畠さんは手の汚し方が中途半端なので、安倍首相・菅官房長官に厚遇したポストを割り当てられなかったのかもしれません。

 当ブログで横畠さんを書いたのは、第二部長だった2007年12月で、「法文上、空間だけを用いるときに非戦闘地域とはいわない」と答弁したとの記述。非戦闘「空域」がないので、航空自衛隊のイラク派遣は違憲行政ではないのかとの野党議員の懸念に応じ、当時の町村官房長官、石破防衛相とは異なった見解をしました。

 その後、法制次長になりながら、前長官の最高裁判所裁判官への「左遷」による新長官に外務官僚の駐仏大使が就任。法制次長に留め置かれました。長官死亡により、横畠さんが長官に。その後、5年前の安保国会で、小西洋之さんから「「横畠長官が私の論理的な質問に論理的に答弁できないのは、(昨年7月1日の閣議決定が)論理破綻しているからだ」と言われるなど大バトルに。小西vs横畠論争は国会クラスターの名物になりました。

 きょねん3月には、小西さんと横畠さんが語気を荒げた質疑になったことをふまえて、岡田克也さんが筆者の質問に答えて「驕りだし、ボス(安倍晋三首相)を見ているとそうなるんだと思います。かつての横畠さんとは違う人になってしまった」と一刀両断し、各紙で報じられました。

 こういう人を法匪というんでしょう。

 以上です。

池永肇恵さんが内閣府男女共同参画局長に 6年前、岡田克也副総理の記者会見で司会

2018年07月29日 17時14分12秒 | 霞が関人事

[画像]池永肇恵さん(左端)、2012年3月、首相官邸ホームページ内の岡田克也副総理記者会見概要内の動画からスクリーンショット。

 2012年初頭に、岡田克也副総理の記者会見で、内閣府大臣官房政策評価広報課長として司会をつとめた、
 
 池永肇恵さんが先週水曜日平成30年2018年7月25日に、内閣府男女共同参画局長に就任しました。

 おめでとうございます。

 池永さんは、昭和58年東大教養学部を卒業して、銀行を経て、昭和61年に経済企画庁入庁。総理府、経企庁、沖縄開発庁が合併した内閣府のキャリア官僚として活躍。男女共同参画局長は、旧総理府本府採用の女性キャリアが目標にしていることが多く、退任後は大学長、副知事などが出ています。池永さんは、経企庁採用ということで、まさか男女共同参画局長というコースは考えていなかったでしょうし、私は今でも、経済企画事務次官というポストを復活させるべきだと思いますが、男女共同参画局長となりました。

 こちらの部署は、昔は局ではなく室だったんですが、平成9年4月に、当時の総理府男女共同参画室長にあいさつにいったら、その流れで、「男女共同参画審議会設置法」(平成9年3月26日法律7号)の本則7条、附則2条を、室長に全文解説してもらいました。キャリア官僚の人生と言っても、意外に法案執筆にあたるのは、数回以下です。名取はにわさんという室長でしたが、本則7条、附則2条でも内閣法制局の審査など大変だったとの話。また実務の中で感じたようですが、「審議会設置法」というものは珍しいということでした。審議会設置法という霞が関には珍しい日の当たる大通りを堂々と歩くような法律は社会の脚光を浴びて、わずか2年後に「男女共同参画社会基本法」(平成11年6月23日法律第78号)が成立され、「審議会設置法」(平成9年法律7号)は廃止されるという功績になったようです。まあ、常時出入り可能な記者クラブメディアに居た時代の私ですが、さはさりながら、局長に法律全文を逐条で法制局の審査も含めて解説してもらった経験は、かなり貴重で、本当に感謝したいと思います。

 で、その「室長」の20年後輩である、内閣府男女共同参画局長に池永さんが就任。

 で、6年前は、課長として、岡田副総理記者会見の司会をするという、やや緊張感があり趣の違う仕事をされていたんだよ、というのがこの記事の趣旨です。

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連立政権に亀裂 公明党代表が菅官房長官を暗に批判 日本郵政人事への政治介入

2013年05月23日 08時26分49秒 | 霞が関人事

 日本郵政株式会社の坂篤郎(さか・あつお)社長は6月の株主総会で退任することを表明しました。後任は特許庁システム開発に失敗した東芝の元社長が就くことになりました。

 第1次安倍内閣で総務相をやった第2次安倍内閣の菅官房長官が政治介入しました。
 
 しかし、これは団塊の世代による私怨があると感じます。

 5年前の日銀総裁人事で、武藤敏郎総裁候補が国会同意人事で実現せず、その後もひたすら財務官僚が提案され、両院の議院運営委員会で所信聴取されましたが、全員不同意(ないし撤回)され、最終的に白川方明副総裁(日銀プロパー)が総裁代行になり、総裁となりました。

 このときの、衆院議院運営委員会で同意人事の鍵を握ったのは、団塊の世代、仙谷由人・衆院議員です。財務省の事務次官、主計局長、官房長が野党のチーム仙谷を日参する珍しい後継が繰り広げられましたが、これを指揮したのが「大蔵一家の官房長官」であった、坂・官房副長官補でした。この背景に福田康夫首相と同じ麻布中学・高校の同窓生という政治資源もあります。

 そして、今回は同じ団塊の世代である菅官房長官が坂社長に難癖を付けて、更迭に動きました。

 坂さんも団塊の世代ですが、大変に裕福なご家庭の出身です。東京大学正門から歩いて5分ほどで旅館業を営む家に生まれて、麻布中学、麻布高校、東大法学部、大蔵省とすべてストレート。実家は今も、文京区を中心にマンション、千葉県にゴルフ場を経営しています。仕事も出来て、世界観、文明観にもすぐれていますが、本省(大蔵省)では主計局次長から局長になれず、経済企画庁官房長、内閣府政策統括官という局長ポストをしましたが、ややくすぶり感がありました。国家公務員を退職して天下りながら、わずか4ヶ月で、内閣官房副長官補として永田町に復活するという脅威的な執念の持ち主です。

 その一方、仙谷さんは東大中退ですし、菅さんはたたき上げですので、恨みをもたれるのはやむを得ないところです。

 その点で、バランス感覚が優れているのは、坂さんの東大法学部の後輩にあたる、公明党代表の山口那津男さん(今夏東京選挙区改選)です。

 夕刊フジのコラムで、なつおさんは次のように書いています。

夕刊フジコラムから引用はじめ] 

さて、日本郵政の人事が政治に翻弄されている。先日、「坂篤郎社長を退任させ、後任に西室泰三氏を起用する方針」と一斉に報道された。政府が100%の株式を保有するからといって、政権交代のたびに、実力者の意向でトップ人事が左右されるイメージができるのは避けたい。 

郵政ネットワークは国民の資産である。見直し後の新体制のもとで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉もにらみ、民営化を進めることが期待される。  

ドラスチックな郵政民営化を進めたため、さまざまな傷跡が残った。これに政権交代が重なり、複雑な因縁が取り巻いている。だからこそ「政治介入」を卒業し、本来の民営化にふさわしい運営に委ねるべきだ。

[引用おわり]

 名指しは避けていますが、菅義偉さんをたしなめているのは明らか。なつおさんの言うとおりだと思います。やっぱりなつおさんは観察力があるなあ。

 高支持率のときこそ、人間の本性がでます。菅官房長官は高支持率に浮かれて晩節を汚すことのないように、百千万億倍もご用心あるべし。

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日本郵政社長に斎藤次郎さん 皮肉、現・民主党寄りで天下れなかった元大蔵事務次官

2009年10月21日 21時57分14秒 | 霞が関人事


 政治とは何とも皮肉なものです。

 民主党マニフェストは「政権構想 第5策」で、「天下り、渡りの斡旋を全面的に禁止する」としています。

 これには抵触しませんが、きょう、日本郵政の新社長に内定した斎藤次郎さんは、細川内閣の大蔵事務次官です。斎藤次郎さんは民主党系の細川政権に近かったということで、その後の自社さ政権で干され、長く、天下りできなかった元事務次官なのです。

 大蔵事務次官の天下り先というと、日銀総裁、さくら銀行頭取(全銀協会長)、横浜銀行頭取(地銀協会長)、東京証券取引所理事長、国民金融公庫総裁が定番でした。

 斎藤次郎さんは、1995年の大蔵事務次官退任後も、天下りできず、「小沢自由党」が自自連立で与党入りしていた2000年にようやく東京金融先物取引所のトップになり、きょうまで9年間務めています。日銀総裁になった先輩次官に比べると、かなり格落ちといえます。

 小沢さんと斎藤さんは良好な仲が続いたようで、一昨年秋の「大連立騒動」に斎藤さんが関わっていたことは、朝日新聞の松田京平記者のインタビューで小沢さんも認めていました。

 今回の人事はその仲を知っている亀井静香・金融郵政担当相の深謀遠慮があるような気がします。亀井さんが小沢さんに電話したら「ほーっ」と答えたそうです。

 私も斎藤次郎・日本郵政社長に賛同します。その理由は次の通りです。

 私は西川善文社長を“クビ”にすることについて、2つの懸念を持っていました。

 ①日本で最も影響力が大きい三井住友銀行出身の西川さんがクビを切られた「後がま」を務めようとする財界人がいると思えない。

 ②日本郵政の代表取締役には西川さんの他にもう一人、高木副社長がいます。学者・文化人が社長になると、高木副社長に主導権を握られると思われる。

 代表取締役副社長の高木祥吉さんは財務官僚出身の元金融庁長官。竹中平蔵大臣のもと、内閣官房で「郵政民営化準備室副室長」をした人です。

 第171通常国会に参考人として呼ばれた高木副社長の答弁はある意味で、見事なものでした。

 民主党(当時野党)議員が「竹中大臣からどんな指示があったか?」と聞くと、「記憶にありません」。議員が具体的な証拠を示すと、「忘れていましたが、そう言えばたしかにそういうことがありました」。その上で、高木さんは「そう言えば竹中大臣からの指示はたしかこういうものでした~~」と新しい情報を明かした上で、議員が審議の流れを持っていきたい方向へうまく誘導していきました。だから、高木副社長は、民主党(当時・野党)から批判されませんでした。

 斎藤次郎社長、高木祥吉副社長という財務官僚コンビが日本郵政を仕切ることになりました。

 旧大蔵省と旧郵政省は仲が悪かったそうです。聞いた話ですが、郵便貯金の口座間の送金に関する資料は、大蔵省国税庁が要求しても、郵政省は出さなかった、と聞いたことがあります。

 それ以上に大事なのは、財務省理財局が発行する日本国債の引受先の30%以上が郵便貯金で、かんぽを含めると4割以上を「日本郵政」が保有しているということです。

 ですから、「日本の借金800兆円」という財務省キャンペーンには、そんなに恐怖心を持つ必要はありません。外国からの借金は50兆円ほどと見られます。100年前(日露戦争)の方が深刻だったことでしょう。とはいえ、先進国ではかなり悪い状態になっています。

 この話をすると、よく「(国債と郵貯を)チャラにはできないの?」と聞かれますが、チャラにすると、長期金利が混乱します。しかし、財務省コンビが主導権を握ったことで、日本郵政の資産を縮小していくことで、財政の健全化が図れると期待しています。

asahi.com(朝日新聞社):日本郵政社長に斎藤次郎・元大蔵事務次官 亀井氏が発表 - ビジネス・経済

 亀井静香郵政改革担当相は21日記者会見し、日本郵政グループの持ち株会社である日本郵政の次期社長に、元大蔵事務次官の斎藤次郎・東京金融取引所社長(73)が内定した、と発表した。「郵政民営化見直しに対する考え方が連立3党と一致している」ことが起用の理由。ただ、「脱官僚」を掲げる鳩山政権の方針とは矛盾するだけに、斎藤氏は郵政事業の立て直しの具体的な成果が問われる。

 西川善文社長(71)が20日に辞任を表明し、後任人事が焦点になっていた。斎藤氏は28日の取締役会で西川氏が正式に辞任した後、臨時株主総会などを経て社長に就任する見通し。政府は20日に閣議決定した基本方針に基づき、郵政民営化の見直し作業を進めるが、斎藤氏は日本郵政のかじ取り役として、この作業にも関与するとみられる。

 斎藤氏は元大蔵官僚。93年の細川内閣時の大蔵事務次官で、民主党の小沢一郎幹事長とも親しい。細川政権が打ち出して挫折した「国民福祉税」構想の立案者ともされる。東京金融取引所では約9年にわたりトップをつとめ、取引の活性化を進めてきた。

 亀井氏は会見で、斎藤氏に昨夜、社長就任を正式に打診し、今朝、承諾の連絡を受けたことを明かした。斎藤氏とは「長い間の友人」といい、「剛直で竹を割った性格で、妙な利害関係に振り回されない人」と評価。郵政事業についても「いろいろと意見交換してきた」という。

 元官僚である点については「斎藤氏が旧大蔵省を辞めてからすでに10年以上が経過している」と述べ、問題ないとの考えを強調した。

 郵政事業を所管する原口一博総務相も21日、視察先の佐賀市内で記者団に対し、「金融の中でしっかりとした仕事をされてきた方。最適な方に引き受けていただいた」と歓迎した。

     ◇

 斎藤 次郎氏(さいとう・じろう) 59年旧大蔵省(現財務省)に入省、主計局長などを経て93年から95年まで事務次官。00年から東京金融先物取引所(現東京金融取引所)理事長を経て、04年から社長。73歳。