もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

サタデーナイトスペシャル

2024年02月29日 10時59分07秒 | タイ歌謡
 ニューヨークのスタジオからの生中継お笑い番組のことではない。あれはサタデーナイトライヴだ。サタデーナイトスペシャル。若い頃読んだ本に、小さな護身用の拳銃のことで、合衆国の第16代大統領エイブラハム・リンカーンの暗殺にも使われた、というような記述があったのを憶えている。もう40年以上まえの記憶だから詳細どころか名称すら怪しくなっていて、ググろうとキーワードを打ち込もうとして(ウィークエンドスーパーだっけ)と思ってすぐに(いや、それはセルフ出版の雑誌だな)と末井昭さんと荒木経惟さんの顔が脳裏に浮かんで消えた。
 ググってみたら繁体の中文で「星期六夜晚特殊品」というのだとわかって、まんま直訳で笑った。そりゃ確かにサタデーナイトスペシャルだわな。Wikipediaによると小型の護身用拳銃であるということは間違いないが、口径が22~35のことが多い低品質の安価なジャンクガンを指すものらしく、リンカーン暗殺に使われたデリンジャーは小型であっても45口径であるうえに100ドル越の高級品だからサタデーナイトスペシャルとは呼ばないようだ。細かいことを言ってしまったが、正直なところ小型拳銃の知識なんて日本に住んでいれば必要ない。
 サタデー(S)ナイト(N)スペシャル(S)というような略し方もしないようだ。フェイスブックなんかのSNSとは似てないしぜんぜん違う。ザッ(S)カー(N)バーグ(S)でも違うね。ぜんぜん合ってない。

 リンカーン暗殺に使われた銃は単発式で、山上某と違い2発目の機会はなく、一撃必殺を余儀なくされたわけで、よほど近い距離で狙撃したんじゃないかと思う。当時の報道の挿絵だと信憑性はともかく、すぐ後ろで撃っている。

 ちなみに伊藤博文の暗殺に安重根が使った銃はブローニングM1900のブローバック式7連発自動拳銃(リボルバーではない方式で、オートマチックと言った方がわかりやすいか)。残弾1発を自決用に取っておいたというから撃ったのは6発。なのに、現場で確認された弾痕は16発。これは、ずいぶんあとになってロシア側の公文書が公開されて判明した弾痕数。他に撃った者がいるのは間違いなく、カービン銃の弾丸も伊藤の身体に撃ち込まれていた。ところで伊藤博文は朝鮮半島併合に反対だったんで、それが暗殺理由とすると今の韓国で安重根がヒーロー視されている理由がよくわからないんだが、べつの恨みだったのかもしれないね。

 さて。週末は、めかし込んで遊びに行くというライフスタイルはタイではまだ浸透しているとは言い難くて、最近やっと週休二日制の会社も増えてきたが、製造業なんかだと土曜も営業している会社は普通のことだ。おれがタイで働き始めた1995年は週休二日制なんて海の向こうの制度で、T.G.I.F.(当時の日本語でいうハナキンのこと。ありがとう神様そりゃ金曜日だね、の頭文字)なんてのも理解できてなかった。おれが任された会社もタイ人従業員は普通に土曜は半ドン(これ死語だよね)で働いていたけど、見るからにヒマそうだったから「タイ人従業員の土曜出勤は半分ずつ交代で隔週勤務にしようと思うが、どうか。もちろん給料は減らさないよ」と提案すると、ポカンとしたあとで歓声があがった。日本人は毎週出るのにタイ人は半分ずつ休んでいいの? というのが画期的だったらしく、今度の社長はマネジメントが上手いと皆喜んだが、それはマネジメントとは言わないんじゃないかな。あと、経理のシステムを変えて不正ができないようにしたら、腕利きのお局様みたいなのがゴッソリ辞めて、そのときは大変だったがその後風通しも良くなりイジメもなくなって、褒めるならそれだろうと思ったが、そっちは冷血な所もある人よね、という評判だったらしく、へえタイ人だな、と感心した。

 週休二日制なんて、主に英語社会では早い時期からの慣習だったのだろうな、と考えたが、待てよ。’70年代半ばのベイシティー・ローラーズが「♬サササ・サタデーナーイト」って歌ってたから、まだあの頃は半ドンなのか。もう少し経って‘70年代終わり頃には「サタデーナイト・フィーバー(公開まえの仮タイトル案に“土曜劇場”てのがあったが、それだとヒットしなかったかも)」が流行ってるから、その頃は米国もまだ半ドンか。それともベイシティーなんてイモ臭いスコットランド人だったし、サタデーナイト・フィーバーなんてのも、どう見ても上流階級の若者を描いたものじゃないから、週休二日制なんて一部の恵まれた層のものだったのか。あんまり関係ないが、ベイシティー・ローラーズの兄ちゃんたちは、当時辺境の地で高校生だったおれが見ても垢抜けない感じで、当時はまだ「ダサい」という言葉がなかったから(イモくせぇ)と思っていた。テレビでキャーキャー言われてるのを見て、目つきが如何にも魯鈍だし、口元を見て(あ。これ頭の悪い人の口の形だ)と、失礼なことを思っていた。初めて聞いたとき、アタマの悪そうな曲だな、という印象と、(なんでテンポがどんどん速くなるのか。リズムキープもできないのか、こいつらは)と思ったが、今になってライヴの映像を見るとアテレコのクチパクだった。実際に楽器の演奏ができたかどうかも怪しい。しかしスタジオ奏者だったとしたら、テンポが走っててリズムキープできてないのもヘンだ。わざとそうする意図がわからないし、たぶん当時のスコットランドのアイドル企画の水準が、こんなものって話なんだろうが、ひどい。そして、こんな連中に熱狂してた当時の姉ちゃんたちもひどい。
Saturday Night - Bay City Rollers
 日本では‘80年代から徐々に週休二日制に移行していった印象だが、21世紀になって日本に戻ってきたら携帯電話と週休二日制があたりまえになっていて、驚いた。

 ところで、こないだニュースで「2月22日は、にゃんにゃんにゃんで、猫の日です」と言ってて、(あれ? 竹島の日じゃなかったのかよ)と思った。こういう隠し方もあるんだね。そりゃ竹島の様子を映して「わー♡ 可愛い♡」とは思わないからね。それにしても「にゃんにゃんにゃん」って強引すぎないか。そのうち8月6日をハムの日、8月9日を覚醒剤撲滅デーとかにしたりして。
 そういえばずいぶんまえに、あんまり親しくない人に電話番号を訊かれて、「うーんとね。090のあしながおじさん、だよ」と答えて絶句させたことがあったな。それで引き下がったから良かったが、「いやそうじゃなくて電話番号教えろよ」とか詰め寄られたら「局番なしの110で呼び出してくれ」とでも答えたんだろうか。ついでに思い出したが、若い頃に泊まったホリデイインだったかラマダだったか、なんかそんなクラスの安宿の電話番号がブローシャーに300-HOL-IDAYみたいに書いてあったのを見て(あー! 数字の1の下にABCとか書いてあるのって、こういうことか)と納得した。「ダイヤルMを回せ」という古い映画もあったが、Mひと文字じゃ、どこにも繋がらないな。まあ原題は「Dial M for Murder」だから、Mを回せという意味ではないけどね。そのころはまだ携帯電話もなくて、ダイヤルパッドで文字を打つなんて発想もなかった頃だ。

 それと、ラマダホテルだが、ケンタッキーだったかシカゴの近くだったかのタクシーの運転手さんに「ラマダに行ってください」と言っても通じなくて、苦し紛れに「ラーマダ」とか言ってみてもダメで、しょうがないからスペルアウトしたら、「あー。ウァマーダ」みたいに平坦なイントネーションでマーを伸ばして言われて(へえ。そう発音するのか)と思ったが、あの辺の英語は平気で訛るから他のところでもそう言うのかどうかはわからない。ちなみにバンコクでならカタカナ発音で「ラマダ」と言って通じる。タイ語訛で「ラマダホテーン」と言えばもっと良い。が、今ではバンコクには3軒のラマダがあるからフルネームで言わないと、どこに連れて行かれるかは運任せだ。ワクワクしちゃうね。
 さらに話は転じて、J.J.ジョンソンというトロンボーン吹きの代表作で、「Dial J.J. 5」ってのがあるんだが、これはダイヤルMとは関係ないんだろうか。どう考えてもないよね。でも、良い演奏だ。
J. J. Johnson - Dial J.J. 5 ( Full Album )
 おれの生まれる2年まえの録音だが、そうとも知らずに高校生の頃によく聴いていたな。

 で、猫の日の翌日は2月23日で天皇誕生日だったんだけど、こっちはテキトーな日を作って隠す必要もなかったようだ。でも天皇制はいろいろと賛否両論あるから早々にリタイヤしてもらって、娘の愛子内親王でどうか。天皇制やめて愛子制っていうの。天皇は日本国の象徴ってのもアレだから日本国の公式アイドルにすりゃいい。国歌とか国鳥とかあるんだから国アイドルを作りゃ良い。ついでに国技もまだ決まってないから将棋でどうか。ナマハゲでもいいけど。相撲は問題ありすぎなんだよ。アタマの悪い無法者だらけだ。どうしてもというなら、相撲ファンの愛子内親王に全権持たせてクリーンにしろ。
 話は戻って愛子制民主主義だが、愛子内親王はニコニコするのが仕事。もうね、令和になってロクなことないし、天皇のパワーで厄災を捻じ伏せるってのもムリそうだから、そういうのから解放してあげないとかわいそうじゃないの。だから天皇誕生日もやめて12月1日を愛子デーということでナショナル・ホリデーにするのがよろしい。理由は、愛子内親王が子供だった頃の笑顔が、めっちゃ楽しそうだったから。村上佳菜子の笑顔を凌駕するザ・スマイル・オブ・スマイルズなのに加えてロイヤル・スペシャル・スマイルなんだぞ。最強じゃないか。

 次の代は未定。これでいいじゃないの。決まりだ。って、おれが決めてもお国が従うものかどうか。こういう軽口を叩いても毒を盛られたり撃たれたりしないのが日本の良い所で、ところでサーロインステーキは好きですか、と話題の変え方が大雑把だったりするんだが、こないだ久しぶりに会った人に「あれ? 痩せた?」と訊かれた。
 そうなんだよ。じつは入院していて……と説明するのが億劫だったんで「うん。就寝まえにバターをひと箱食べる習慣をやめたら、なんか痩せちゃったんだ」と答えたら、「えー! そりゃ痩せるだろうな!」と驚いていて、そんな話を信じるってことに、おれは驚いたんだが、面白いから「すみません。ウソをつきました」と言うのを堪えて「ねえ。痩せちゃうよね」と答えた。
「まえは1ポンドで450グラムくらいあったけど、最近は少しずつ減っていって今200グラム売りとかでしょ。やっぱり世の中そういう傾向なんだね。450グラムは多いと思うんだ。なんだか減らした方が体調が良くってさぁ。そんで、いっそやめちゃおうかって、やめてみたら調子良いんだ。だからね、バター毎日ひと箱食べるのはやめたほうが良いよ」と教えてあげた。おれは親切だから。
 親身な知人というものは持つべきもので、ずいぶんまえにも「こないだ蕎麦食ったら味がしなくて、よく見たらタオルだったんだよな」って話をしてゲラゲラ笑っていたら、「いや、それ笑い事じゃねぇぞ」って他の人を諫めてて、心配してくれて優しいなと思った。
 ただ、普段は与太話の作り話に騙されない友人と喋っていたときに、寝違えた背中が痛くなったことがあって、いてててて、と呟いたら「ん? どしたの?」と訊くので、あー。痛むんだよ。むかし少年兵に撃たれたときの傷がね、と出任せを言ったら、「ええー!」と大声で驚くので、このときはごめんなさいウソですと、すぐに謝った。
「そういうね、ありそうな事を言っちゃいけない」と叱られた。そんなの、どう考えたってリアリティーがないんだが、「きみの場合はありそうだから困る」と言い募る。いやいや。少年兵に銃を向けられたことはあるけど、撃たれたことはないです、と言うと、「ほらぁ。きみのリアリティーは一般の日本人向きではないんだよ」と噛んで含めるように諭されてしまった。なんか悔しいが、裏切りにも似た背徳感があって、それは面白いと思った。

คืนวันเสาร์ - วงChare [ 4K MUSICVIDEO ]
 วงChare(ウォンチェー)というバンドが歌うคืนวันเสาร์(土曜の夜)という曲なんだけどね、なんかイントロが昭和のロック演歌っぽいフレーズで、なんだこりゃと思ったらルクトゥンっぽい田舎くさい歌い方だけど、カテゴリー的にはルクトゥンじゃない。普通のロック風タイポップのつもりらしい。その証拠かどうか、歌でハモりを見せて、日本人が聞くと(ロック風ムード歌謡コーラスグループか?)と思うが、それも違う。とにかくタイ歌謡でハモりは珍しい。たしかに太鼓とベースのリズムセクションを聞くとロックだ。ギターもロック。歌だけ田舎風だけど、それが強い。なんかバラバラな感じだけど、根強いファンがいるようだ。経歴もよくわからないバンドで、わかるのはメンバーの名前と、あとは眼鏡のリードヴォーカルがデビューまえは自動車販売店でセールスだったってことぐらいだ。いろいろググったら、あちこちの記事で自動車のセールスをやってた、ってことしか書いてないが、彼の歌を聴いて(あ。これは自動車売る奴の歌だ)と見抜ける人は少ないのではないか。
 他にもヒット曲は幾つかあるのに、詳細のわからないバンドだ。
 特筆すべきは歌詞だ。ぜんぜん普通じゃない。歌詞と言うより散文で、それを無理矢理旋律に乗せている。根強い人気はこれだと思う。ていうか、こういう歌詞だから大ヒットは難しいんだと思う。

仕事はとても疲れるので 私も休みたい 
たくさん働いたので 他の人と同じように休みたい
他の人と同じように お金を持っていれば 心を世話してくれる人がいるだろうか
いるかな?

私たちの仕事は 全世界を網羅しており 私たちの給料や家の支払いは 私たちを時々悲しくさせるドラマの有名人と比較できるものではない
私を心から愛してくれる人に出会いたいんだけれど 一緒に戦って耐えてくれる人は いるだろうか?

明日は土曜日に変わるけれど 悲しい話は過ぎ去った
酔った友人を隣に連れて 酒場にチェックインする
もし世界のバランスが取れていたら 私はあなたに会うことができるかもしれない
そして他の多くの女性の友達とも
テーブルタイガーに変身して たくさんの獲物になることもできる 
今夜の幸せは 理解者がいて たくさんの金を持っていて
あなたの心を大切にしてくれる人がいること
命令する上司はいない シャディダディダダ 命令する上司はいない

 なんか愚痴っぽい文芸部みたいな歌詞だよね。これがもう少しスタイリッシュな酔っ払いだったら、トム・ウエイツになれたかもしれないが、タイの土壌に咲くと、こうなっちゃいました、ってことなのか。
Tom Waits - (Looking for) The Heart of Saturday Night (Lyrics)

 銃刀法の縛りがある日本では、週末の夜に護身用の拳銃を携帯して出かける習慣はないんだが、何かあったときの護身はどうしたらいいのか。井村屋のあずきバーは護身用になる時間が限られていて、柔らかくなったら食べてしまえばいいんだが、せいぜい半時間ってところか。
 昔の映画で楽器で反撃するシーンがあったのは小林旭の渡り鳥シリーズで、ギターで悪漢を打擲していた。派手にギターが壊れて視覚効果も良いのだろうが、楽器を弾く者にとって、ああいうシーンは(えー……)と興醒めだ。「ローマの休日」の乱闘シーンでもオードリーがウクレレだったかギターだったかで男を撃退したところで一気に気持ちが下がった。ああいうシーンの脚本や監督は楽器を弾かない人なんだろうな、と思う。
 子供の頃に見た時代劇で、三味線の竿に刀が仕込んであって、堪忍袋の緒が切れたらバチでビョンビョンと弦も切って、するりと細長い刃を抜いて男たちをバッタバッタと切り捨てるやつは子供心に(なんだこれ……)と目眩を覚えた。こんなオトナになりたくないな、と思ったものだが、コドモだからわかってないよね。
女殺し屋花笠お竜OP・ED
 でも、弦楽器が凶器になるのはイカンと思う。じゃあ何ならいいのかと訊かれても、凶器になって良い楽器など思いつかない。
 ハープで殴られたら重篤になっちゃうだろうな、とは思うがハープ弾きはぜったいそんなことはしないとわかる。だってチューニング狂っちゃいそうだし、カドの所に血が付いてんのも何かイヤだ。トランペットやサックスは簡単に凹みそうだし、フルートなんかで殴られたらダメージ強そうだけど、キーやレバーが曲がっちゃいそうだから、フルート吹きは楽器を凶器にしないだろうな。ということで、おれが見ていて心が痛まない楽器というなら、シンバルかな。シンバルの縁を砥石で研いでキレッキレになった奴でシュッ! と斬られたら、これはイヤだ。シンバルの殺し屋ってアイディアはないような気もするが、そんなものを持って歩くのも目立ってしょうがない。職質されたら「これでピッツァを切るんだよーん」って言い張るしかない。
 それに、おれは何とも思わなくても、打楽器奏者は怒りそうだな。「シンバルで人を殺すなー!」って。ものすごく真っ当な意見だと思うよ。シンバルでひとを殺すな。
 うん。良い結論だ。
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