結婚するまえに家に来てもらっていたメイドさん達がいた。初代の娘は愛想が良かったが手癖が悪く、当時の同居人が家の近所で会ったときに「あ！ あたしの服着てる！ ベルトまで！」と叫んだら咄嗟に手を隠し、何かと思ったら指輪までしていたということで、その地区のメイドさんの親分が一緒に来て、ほんとすいません盗んだんじゃなくて借りただけだと言ってますがもうこういうことはないようにべつのひとをよこしますのでこら . . . 本文を読む
もう亡くなってしまった友人が、まだ元気よく生きていて若かった頃。やがてタイ人の許に嫁に行くなんて、これっぽっちも思っていなかっただろう娘時代の話を聞いたことがあって、「もう、すっごく働いて働いてクッタクタのボロボロになるまで働いて家に辿り着いたの。で、夕食って言って、お母さんが素麺出してくれたんだけど、あたし、こんなに、もうこんなに働いて、その答が素麺なのか、って。素麺は嫌いじゃなくて、むしろ好 . . . 本文を読む
きちんとした言い回しなのにダメってことがあって、「クソ野郎」と簡潔に言われるよりも、「さながらクソ野郎のようでございますわね」と言われる方が受けるダメージが大きい。 英語でもそうで、「Bullshit（直訳は牛糞だが、ざけんなよ、とかウソだろ、みたいな意味）」よりも「This is some bullshit」のほうが言い方が丁寧なのに、冗談じゃなさが大きくて下品だ。 たぶんどこの国の言語でもそ . . . 本文を読む
豆パンという菓子パンがあって、北海道民のソウルフードのひとつだ。名前から想像すると軟らかく煮た塩味の大豆や黒豆あたりが練り込んでありそうだが、そうじゃない。 基本は甘納豆。あるいは甘く煮た豆が練り込んである。 なんだそれ、と思われるだろうが北海道以外でこれを見ることは稀で、いち度福島の郡山のパン屋で見かけたきりだ。郡山のパン屋は、「おにぎりパン」といって、いち時流行りかけた握り飯を模って海苔を貼 . . . 本文を読む
