還暦過ぎてなおアニメを見ているジジイなんてダメに決まってるんだが、見なくたってダメ人間なんだから、それなら見たっていいってことになる。 21世紀になったのはもう、ふた昔もまえだというのに未だ「異世界もの」のアニメが跡を絶たない。ひと頃下火になったかに思えたが、やはり現世でダメな者が転生して秘めた能力（または与えられた等ボーナスチャンスがあって）を発揮してヒーローになっちゃうという、新手のドラえも . . . 本文を読む
人類最高傑作の楽曲という話になって出てくるのが「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番 イ短調」って曲で、人類最高だなんて誰が決めたんだか不明ではある。じっさい「人類最高傑作 クラシック」でググっても、この曲は出てこない。通好みというか、履歴書の趣味欄に「音楽鑑賞」と書く人の半分は「は？ なにそれ」って感想だろう。散見されるのは「バッハのアリア」とか「ベートーヴェンの第九」とか「運命」とか、中には . . . 本文を読む
象の墓場の伝説があるように、猿にも人知れず死期を覚った重篤の猿が集まる終着地がある、というような話ではない。猿は満月の夜に立ったまま月を見上げて息絶えるという話でもない。聞いたことないでしょ、そんなの。 ああ、そうだ。月だ。たとえば、とても辛いことがあって、愛も夢もなく、絶望より他にないとき、ひとは月を仰ぐ。きみだけじゃない。世界には辛い人が数えきれないほどいて、絶望と共に月の明かりを仰ぐ。べつ . . . 本文を読む
こないだインターフォンを鳴らす者がいて、玄関カメラの画像を見たけれど、誰もいない。大きな水溜まりが映っているだけで、訊くと「ロプノール湖です」と言う。ここまでさまよって来たというのか。 うそをつきました。 んなわけ、ねぇわ。ふつうロプノール湖は訪ねて来ない。ていうか、とっくに干上がっている。それよりも現実味があるのはオランダ人で、彼らがいつもさまよっているのは有名だ。でも。 さまよえるオランダ人 . . . 本文を読む
