もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

角度をつける

2024年06月09日 13時03分30秒 | タイ歌謡
 そう。角度が重要だ。
 いきなりどうした。いったい何の角度だよ、ていうか突然だっての。そもそもひとは唐突に角度の話題を聞く心の準備などできてないぞ、とお思いだろうが、歯ブラシだ。
 歯ブラシの話題が嫌いな奴なんて、いない。
 そこへ、満を持しての歯ブラシの角度。
 もう聞きたくてたまらない話題じゃないか。
 歯ブラシで歯を磨くときにブラシの毛と歯の表面の角度が垂直だと磨き残しが生じやすく、綺麗に磨けないので角度をつけろ、という話だ。
 しかしこれは何度がいいのだと決まっているのではなく、個人によっての力加減や手癖などで変わってくるから、角度を決めるにはキッチンスケールなんかの秤の面を歯ブラシでこすり、だいたい150-200gの圧力で「ここだな」と思う角度で磨くのだと歯科医は言った。
 なにそれ。
 そんなこと、どうでもいいじゃない。オレンジの雨の歌詞が総天然色で蘇った。
 とはいえ、これを知ってからというもの歯磨きの際には何となく角度をつけて磨いている。電動歯ブラシだから、角度をつけるなんて簡単だ。お陰ですっげえキレイに磨けている。ような気がする。
野口五郎と野呂五郎「オレンジの雨」
 なーんだ。角度をつけるというから、てっきり朝日新聞のアレかと思ったという人も多かろう。マスコミ用語ではなく朝日新聞社だけの用語で、模範的というか普通に記事を書き上げると、これをチェックしたデスクに「もっと角度をつけろ」と指導が入るというものだ。これじゃ毒にも薬にもならん。もっと朝日ふうの主張をブレンドしなさい、ということを「角度」と言っている。右翼的な人などに評判が悪いのだが、その主張がどうあれ新聞社によって多少のテイストの違いがあるのは当然だと思うが、その主張が気に入らない人は読まなきゃいい話ではある。
 ただ朝日新聞と統一教会は仲が悪く、ならマトモじゃん、と、この件に関しては思う。「赤報隊事件」でググっていただければ概要はわかるが、あの事件は統一教会が仕掛けたものという証拠はどこにもない。捜査も「上からストップがかかった」と真相は藪の中だ。やったのか? と訊かれて「やってないやってない」と答えたんだから、やってない。という話で時効を迎えて未解決のままだ。

 そんなことより、純粋に角度をつけるという話で、おれは積極的に角度をつける趣味はないが、すでにある角度、出来合いの角度なら、30°前後が好きかな。前後ってのは、その日のコンディションによって好きな角度が微妙に変わるからだ。昨日は29°が良かった。
 こんなのは人によって嗜好が異なるのはあたりまえで、わたしは鈍角。そうですね、できれば152°で。151°でもいいです。という人もいるだろう。
 わかる。
 鈍角は鈍角で、あの安定感がたまらない。
 と、またテキトーなことを言ってみた。書いてるうちに、なんだか角度の魅力に目覚めてきた。たしかに鈍角も悪くない。でもそんなこと言い出したら直角もピシッとしててカッコいいし、直角付近の少し崩した感じも捨てがたい。あ。おれ、角度って好きかも。
 飛ばせる模型グライダーの主翼って、水平じゃなくて少しだけ前縁が上がってたりするんだけど、これを迎角という。じっさいの旅客機ではフラップを下げたり、スラットを前方に出したりして揚力を得るから、固定翼に迎角がついてるとは限らないが、フラップを下げる行為が迎角をつけることに他ならない。迎角はせいぜい15°がいいとこで、そんなに角度をつけると失速する。じゃあ角度つけ過ぎると危ないじゃん。ばかなの? って感じがするかもしれないが、着陸間際に高度を落とすとき、失速近くを狙ってフラップに角度をつける。40年くらいまえから日本の民間航空会社の操縦は失速気味に高度を落とすということを善しとせず緩やかに、徐々に下げる操縦だった。そのほうが乗客は快適だからね。いっぽう当時のフィ♨リピン航空やアエロ☆フロートなんかは軍人アガリというのか軍人崩れというのか、軍隊仕込みの操縦術で、失速すれすれで降下するのが多かった。まえにも書いたが、おれの初めての就職は不定期便の小型飛行機コミューターの会社で(1年足らずで辞めてしまったが)、無駄に飛行経験が多かったし、多少は操縦についても詳しいつもりだったから軍隊仕込みの操縦術に「すっげ! 巧いな!」と感動していた。‘80年代の航空会社なんてバス会社のノリで飛行機を飛ばしてるような会社もあって、「◎◎航空のパイロットは軍人アガリで巧いんだけど、1秒間に何フィート降下できるかという記録作って遊んでるパイロットもいて、怖い」などとまことしやかに噂されていた。「ソ連なんかその遊びで乗客諸共墜落しちゃった例もあるんだぞ」とかいうのを聞いたことはあるが、今考えると嘘くさい。とはいえ同じ噂をなん度も、しかも全然つながりのない人から聞いたから、わりと有名な噂だったんだろう。案外本当だったとしても驚かないけどね。

 角度の話だった。
 なんかね、ちょっと深いような、わかったふうなことを言いたいときに「角度」の視点は使えるんじゃないか。たとえばワイン。
「香りも良いですが、なんと言っても酸味ね。酸味の角度が立ってます。あと1°多いとぼやけた感じになってしまうし、少ないと若くて尖った感じになるでしょう。この角度。この感じですよ」みたいに言うの。
 その場におれみたいな奴がいると、醒めた声で「なにいってんすか」って言われちゃうけど、煙に巻くときなんかは有効なんじゃないか。しゃらくせぇ! の見本みたいで良い。絵を見て「この色の角度が」とか、演奏を聴いて「ほら、このフルートの、ここ! ここで目一杯、角度を削った音色が、スコーンと! スコーンと来るよね!」みたいに、ふつう角度を測れないものに言ってみると、なんかわかったふうになる。この手法の欠点は、熟達者に「あー。わかってないわ、こいつ」と思われることくらいか。知ったかぶりではない。わかったかぶり、て言うのかな。

 ところで最近、画面に「通知不可能」と表示された携帯の呼び出し音が鳴るので、イヤだけど好奇心に負けて出てみると中国語の自動再生音声が何事かを言っていた。だがその音声は北京語らしく、意味を知ることができないという通話だった。また他の通知不可能のコールに出てみると外に居るような風の音と日本語ではない雰囲気でガヤガヤ言う人たちの声が聞こえて「はい」とだけ応答すると、「アー……」とひと声発して切れてしまった。これは間違い電話なんだろうか。電話のIPアドレスをいじらないと通知不可能にはならないような気もするんだが、実害もないし「ま、いいか……」と思うよりない。
 おりしも6月4日は天♨安☆門記念日だったけど、支那共産党に目を付けられるような発言をした憶えもないから、当局の嫌がらせの線はないと思う。今年も中国でのNHKの放送で、この件に触れた途端に中国内での放送が数分間遮断され「信号異常」と表示されていた。恒例行事の風物詩だね。
 それにしても、おれは中華人民共和国の共産党に叱られそうなことは、そんなに言ってない。ていうか華人ひとりひとりには好感を持っている旨、いつも書いてるだろ。国がダメなだけで、知人の華人は良い奴ばかりだ。まあイヤな奴だったら付き合わないんで、知人は良い奴ばかりってのは当然か。

 そういえば中国のSNSに天安門関連の発言を投稿するとキーワードで撥ねられて書き込めないんだよね。が、JPEGとかの画像だと今のところチェック体制がなくて撥ねられないようだ。だからといって嫌がらせをするような気もないし、還暦過ぎのいいオトナだから、そんなことはしない。ひとりで雑すぎるクソコラ作って笑うくらいか。だってMicrosoftのAIに「天安門広場で戦車に立ち向かうくまのプーさんのカッコいいイラスト」を頼んだら「申し訳ありませんが、このトピックについては話を続けることができません。」と答えて、チャットのスペースのカーソルが消えて書き込むことすらできなくなって、「そりゃそうだよな」と思った。
 しょうがない。
 自分で作るしかない。使命感てほどではないが、こんなのつくるのに10分近くかかっちゃった。いいオトナのやることではない。あえて責任を問うとすれば画像生成を拒否したMicrosoftのAIが悪い。おれが悪かったためしなど、生まれてこのかた殆どないのだ。

↑雑すぎる
 うーん。いいのだろうか。またエントリーが削除されたりして。こないだは裸の画像をうっかり貼り付けての削除だったが、ポリティカルな要素が微塵もない悪ふざけだからなぁ。まあ。いずれにせよブログのアカウントがBANされるようなことはないと思う。されても「え。そうなの?」で終わりだけど。
งัดถั่งงัด - เต้ย อธิบดินทร์【Official MV】
 戦車(ถัง – タン)の歌でもないかと探したら、ゴミ箱(ถังขยะอ – タンカイヤー)の歌くらいしかなく、そうか、ゴミ箱ってタイ語でゴミの戦車なんだな、と感心した。英語のタンクからにしてはタイ文字表記をアルファベットに置き換えると「Tang」で、ちょっと違うけど耳で聞いたのをそのまま音訳したものかもしれない。こっちの歌は戦車と関係なくガッタンガッ(งัดถั่งงัด)というタイトルで、同じタンかと思ってよく見るとスペルがちょっと違っててこっちには声調記号が付いてる。発音の音の高さを高く言うのがタイトルね。どういう意味かというと意味なんてない。筍を掘るという行為のオノマトペだそうで、タイ人にはそう聞こえるのか。

 ところでこの曲、2億6千万回も再生されてて当時えらくヒットしている。コテコテのイサーンの曲で、音楽的にも歌詞も優れていることはないが、ヘンな中毒性がある。
 歌っているのはเต้ย อธิบดินทร์(トーイ・アティボディ)という当時留学生だ。ははーん。留学って、さてはラオス人だな、と思ったらドイツからだった。父親がドイツ人なんだね。全然そうは見えないけど。
 当時コンケン大学に在学してて、偏差値高い。外国人枠だったら国立は入りやすいけど、タイ人枠なのか外国人枠なのかは不明。今でもタイで歌手活動をしているので、タイに住むようになったんだろう。この曲も自作だがヒットした自作曲は多くて、映画の挿入歌なんかは4億回ほど再生された。けっこうな金持ちになれたはずだ。近年は作曲だけでなくプロデューサーの仕事が増えたという。
 いちおう歌詞を訳しておくか。

早朝 太陽が眩しく輝いていた
あのひとが とても心配だ
タケノコだけ食べたいと 言うんじゃないかな
煮たり 蒸したり 煮浸したり カレーにしたり
海を見に 誘おうかな
目を覚まして 出かけよう
掘ったり 刺したりする 小さなシャベルを忘れないで
もしかして タケノコどっさり獲れちゃうかも

おれは言ったんだよ 「見せて」と
姐さんに タケノコ探しに行こうと誘われ 近くで掘ったんだ
綺麗な顔なんだよ もう すっごく愛してる
進むべき道などない所で タケノコを探すんだ いっぱい獲るんだぜ

 歌詞は、こんなことしか言ってない。意味のないかけ声みたいなのが多くて、タイ人が喜びそうな歌だね。せんぜい5年くらいしか経ってないのに、なんか古くさい。ダンスも揃ってない。ていうか揃える気がない。ムリせずに楽しくやると、こうなっちゃうって見本だよね。

 そういえば「国交省、トヨタなど5社に立ち入り検査へ 認証不正 計6車種の出荷停止指示」ってことで、オトナのおじさん達が「なるほどな。ここんとこ自動車工業会は天下りを減らしてたから、やられちゃったかー」なんて言ってて、なるほど、そっかー。日産に検査が入ってないのは天下りが足りてるってことなのかー、と感心すると、「うーん。それはどうかな。創価学会にアレなのかもね」なんて言ってて、あー……。そうかー、国交省って公明党かぁー、というような話で、年寄りが集まるとこういう世知辛い話題が多くてかなわん。ていうか嫌がらせにしても規模が大きくて(これ、どっかの国が日本の自動車工業会を弱体化させようとしてんのかな)とまで勘ぐってしまった。どこかの国の誰か、みたいな言い方は大嫌いなんだが、合衆国でも中国でもヘンな信憑性を持ってしまって、本当にどこの国だかわからないので困る。
 床屋談義で政治家の話ばっかりなジジイがいるけど、あいつらは政治に興味があるわけじゃなくて、政局の話しかしてない。もっと有意義な時間を過ごしたらどうなんだ。
 こないだ知人に「おれ趣味がないでしょ。なんか良い趣味ないかな。趣味始めたら楽しいかと思って。そんなにカネもかかんなくて、難しくないやつ。知らない?」と訊かれて、これは他人に意見を訊くだけで、どうせやんないやつだ、と思ったんで、「カネがかかんないんなら、ホラだね。ホラ吹くの」と答えると、「え。……それ、趣味だったの?」と失礼なことを言う。
 なに言ってんだよ。おれは嘘ついたりホラ吹くのなんか嫌いだよ。
「あ。ウソついた」
 ウソじゃねぇよ。おれ、冗談とか嫌いだもん。男のくせに冗談なんて。
「あははは。それはいいけど、普段は何やって遊んでんの?」
 ぜんぜん信じてねぇ。まあウソだから良いんだけど。それにしても普段ねぇ……。そうだな、普通だよ。本読んだり映画見たり音楽聴いたり。
「普通だな」
 まあね。
「でもおれ、眼が悪くてさ。さいきん。本はツラいな」
 あー。老眼。
「うん。あと音楽はウルサいし、映画はアレか? テレビでいいの?」
 あー……。いいんじゃない……。
「うーん。他になんかないの? 面白いの」
 あ。マトリョーシカ! マトリョーシカ作るの。面白いよ、あれは。
「ま、マトリョーシカって……、ロシアの?」
 そうそう。
「人の中に人が入ってる、あの」
 そうだよ。
「面白いのか? あれ」
 あれ、けっこう面白いよ。木彫りが面倒だったら、木の削っただけで絵の描いてないのが売ってるから、それに描くの。あれは面白い。
「へぇー」

 という会話があって、どうせやんないんだろうな、とテキトーに答えたんだけど、今気になってググってみたら、ほんとにマトリョーシカの削っただけの生地が売られてるんだね。しかも、そんなに高くない。これ買って友達の似顔絵描いて入れ子になったのいっぱい作って贈ったら、困り果てた顔で「あ……ありがとう……」って言ってくれるんだろうな。
 高校を卒業して東京に出てきた年に、上野で椰子の実売ってんのを買って、それに太い油性ペンで友達の似顔絵を描いてプレゼントしたら、困ったような顔で受け取ってたけど、そのあとで遊びに行ったら椰子の実に毛糸の帽子被せて本棚に飾ってあって、「え。これ飾ってんだ」って言ったら、「いや。飾ってるわけでは……。おれの顔かと思うと捨てられないんだよ」と、少し怒って言ってたな。引っ越すまで飾ってたもんね。
 マトリョーシカねぇ……。作って贈りたいが、迷惑だよなぁ。
 と、じぶんでも少し驚いた。おれ、ちゃんとオトナになってるじゃん。

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