きのうの続きです。陳舜臣「唐詩新選」牡丹(中公文庫)
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(66ページ)
韓弘と同時代人であった白居易は、いちどならずこの「牡丹狂い」を、作品の中で批判している。まず楽府(がふ)の「牡丹芳」は、天子が農を憂うるを美(ほ)めるというテーマで、牡丹の美しさより大切なものがあると警告した。
花開花落二十日 花開き花落つ二十日
一城之人皆若狂 一城の人狂えるが若(ごと)し
と、当時の世相をよみ、華を重んじ、実を重んじないことをなげく。牡丹狂いは華を重んじる気風が、とうぜん行き着くところであるとする。この楽府はつぎの句で結ばれている。
我願暫求造化力
滅却牡丹妖豔色
少廻卿士愛花心
同似吾君愛稼穡
我は願う暫(しば)らく造化の力を求め
牡丹は妖豔(ようえん)の色を滅却し
少しく卿士(けいし)の愛花心を廻(めぐ)らして
同(とも)に吾が君の稼穡(かしょく)を愛するに似せしめんことを
卿士(大臣)たちが牡丹にうつつを抜かすのは、その花のすがたが、あまりにも奇絶であるからなのだ。こうなれば、もう造化(自然)の力にすがり、牡丹の魅力をすこし減らしてもらうほかなさそうだ。
そうなれば大臣たちも、花を愛する心を、農事にふりむけることができ、わが君の農事を愛する心に近づくことができるのではあるまいか。
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続く
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韓弘と同時代人であった白居易は、いちどならずこの「牡丹狂い」を、作品の中で批判している。まず楽府(がふ)の「牡丹芳」は、天子が農を憂うるを美(ほ)めるというテーマで、牡丹の美しさより大切なものがあると警告した。
花開花落二十日 花開き花落つ二十日
一城之人皆若狂 一城の人狂えるが若(ごと)し
と、当時の世相をよみ、華を重んじ、実を重んじないことをなげく。牡丹狂いは華を重んじる気風が、とうぜん行き着くところであるとする。この楽府はつぎの句で結ばれている。
我願暫求造化力
滅却牡丹妖豔色
少廻卿士愛花心
同似吾君愛稼穡
我は願う暫(しば)らく造化の力を求め
牡丹は妖豔(ようえん)の色を滅却し
少しく卿士(けいし)の愛花心を廻(めぐ)らして
同(とも)に吾が君の稼穡(かしょく)を愛するに似せしめんことを
卿士(大臣)たちが牡丹にうつつを抜かすのは、その花のすがたが、あまりにも奇絶であるからなのだ。こうなれば、もう造化(自然)の力にすがり、牡丹の魅力をすこし減らしてもらうほかなさそうだ。
そうなれば大臣たちも、花を愛する心を、農事にふりむけることができ、わが君の農事を愛する心に近づくことができるのではあるまいか。
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