きょう(4月20日) [人民網日本語版]で読んだ記事です。
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【
中国、丹頂鶴を唯一の国鳥候補に】
数年間にわたる専門家の評議・選定活動と、インターネット上の選定活動の結果、国家林業局はこのほど、丹頂鶴(タンチョウヅル)を国鳥の唯一の候補として国務院に申請した。国家林業局と中国野生動物保護協会は2003年に国鳥選定活動を始動し、専門家による選定グループを結成、選定基準を設けた。同協会は2004年5~6月、全国20以上のメディアサイトにおいて、国鳥の選定活動を行った。
候補に挙がった鳥類10種類の中で、
丹頂鶴が500万人のネットユーザーのうち64.92%の投票を得て、その他の鳥を大きく引き離した。
国鳥の選定は、すでに200年以上の歴史を持ち、世界で初めて国鳥を選定したのは米国。現在、国鳥を選定した国は40カ国以上にのぼる。
「人民網日本語版」2007年4月19日
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この記事を読んで、最初に頭に浮かんだのは、「あれ?いいのかな…」というものでした。
というのは、丹頂鶴(タンチョウヅル)は、学名が『
Grus Japonensis』、英語名が『Red-crowned Crane』、または『
Japanese Crane』だからです。
[英語版WIKIPEDIA]の
【Red-crowned Crane】をみると、
〔The Red-crowned Crane (Grus japonensis), also called the Japanese Crane and Manchurian Crane〕
とありました。
愛国的な中国人からすると、学名に「日本」をあらわす「Japonensis」(ジャポネンシス、or、ハポネンシス)の文字があるのは、多分気に入らないだろうと思います。
それ以上に、英語名が〔The Red-crowned Crane〕(赤い冠のついた鶴) だけでなく、〔the Japanese Crane〕(日本の鶴)、〔Manchurian Crane〕(満州の鶴)とも呼ぶというのは、不愉快なのではないかと想像します。
というのも、日本人は今でも中国の東北地方を「満州」と呼ぶ人が多いですが、中国人は地名として「満州」という言葉を使われるのが嫌いだということを、陳舜臣さんがどこかに書かれていたからです。
記事を読んで、「あれ?いいのかな…」と思ったのは、学名にも英語名にも「日本」という言葉が含まれている鳥を、国鳥にしても大丈夫? そのことを知ってるの? という心配からです。
もしかすると、「日本」や「満州」という漢字と音には抵抗を感じても、「Japonensis」や〔Manchurian〕(マンチュリアン)という文字と音は、気に障らないのだろうか?
もっとも、中国人は「
小異を捨てて大同につく」ことのできる民族だと、司馬遼太郎さんか陳舜臣さんか貝塚茂樹さんがおっしゃってましたから、こんな細かいことはいちいち気にしないのかもしれませんね…。
そうであって欲しいと思います。
丹頂鶴を描いた中国の切手です。『Grus Japonensis』という学名がちゃんと記されています。
朱鷺を描いた中国の切手です。この切手にも『Nipponia nippon』という学名が印刷されています。
いつどこで覚えたのか、それは覚えていないのですが、朱鷺と丹頂鶴の学名はなぜか知っていました。不思議なものです。
なお、日本の国鳥は「キジ」だそうです。そういえば、昔、キジ料理を食べたことがありますが、おいおい「国鳥を食べていいのか
」と、つい一人突っ込みを入れてしまいました。