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陳舜臣「唐詩新選」牡丹⑥:白居易「買花」

2006年01月21日 21時46分42秒 | 本・陳舜臣
きのうの続きです。陳舜臣「唐詩新選」牡丹(中公文庫)
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(67ページ)
 白居易には別に「買花」と題する五言古詩があり、当時の牡丹狂いを風刺している。

  帝城春欲暮  帝城 春暮れんと欲し
  喧喧車馬度  喧喧(けんけん)として車馬度(わた)る
  共道牡丹時  共に道(い)う牡丹の時
  相随買花去  相随(したが)って花を買いに去(ゆ)くと 
  貴賎常価無  貴賎(きせん)常価無く
  酬直看花數  酬直(しゅうち・支払い)花の数を看る
  灼灼百朶紅  灼灼(しゃくしゃく)たる百朶(だ)の紅
  戔戔五束素  戔戔(せんせん・すくないさま)五束(ごそく)の素(そ)
  上張幄幕庇  上は幄幕(あくばく)を張りて庇(おお)い
  旁織笆籬護  旁(かたわら)は笆籬(はり・竹の囲)を織りて護る
  水洒復泥封  水洒(そそ)ぎ復(ま)た泥封(でいふう)し
  移來色如故  移し来たりて色故(もと)の如(ごと)し
  家家習爲俗  家家(かか)習いて俗を為(な)し
  人人迷不悟  人人迷いて悟らず
  有一田舎翁  一田舎翁有り
  偶來買花處  偶(たまたま)花を買う処(ところ)に来たり
  低頭獨長歎  頭を低(た)れて独り長歎(ちょうたん)す
  此歎無人諭  此の歎(なげ)き人の諭(さと)る無し
  一叢深色花  一叢(ひとむら)の深色の花
  十戸中人賦  十戸の中人の賦(ふ)

 春も終わろうとするころが牡丹の季節である。三月十五日を中心とする二十日が花どきだが。慈恩寺太真院の牡丹のように、ほかの牡丹におくれること半月にして開くというのもあった。
 人びとは車をつらねて花を買いに行く。値段はまちまちで、百朶の紅(あか)い花もあれば、一枝に五つの白い花もある。田舎から出てきたじいさんが、花を買うところに、たまたまやって来て、仰天し、ながいため息をついた。なんと一叢の深い色の牡丹の値段が、中流の人の十戸分の税金に相当する。

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 続く 
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