けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

南のあくまき、北のちまき

2011-03-11 02:31:19 | 野良あるき
宮崎の「あくまき」をいただきました。漢字にすると「灰汁巻き」。
一種の保存食。でも、保存という機能性だけではなく、美味しい!!から、受け継がれているのだと思います。
きな粉や砂糖醤油をつけて食べます。大好物です



水でうるかしたもち米を竹の皮に包み、木の灰から作った灰汁(あく)で煮たもの。
簡単に説明するとこうなりますが、じつは、すごく奥が深いのです。
なぜなら、灰汁の作り方がむずかしい。

まず木。どんな木からもいい灰汁がとれるのではなく、カシが最高、シイでも可。
カシにも何種類もあるので、どれがいいのかまでは、わかりませんが…。
木(炭ではだめ)を燃やした灰を、きれいにふるってバケツに入れ、水を注ぎ数日おきます。
その上澄みが灰汁。強アルカリ性で、指にちょっとつけてなめただけでも、ビリッときます。
灰汁のアルカリによって、もち米がとろとろに。表面は茶色くなってピータンみたいに透き通ります。
灰汁が弱いと、米が粒々の固いままで、あまり美味しくないみたい。

さらに、もっとすごいのが、北日本にも同じ食べ物があるということ。
山形県南部の山村で出会ったことがあります。「ちまき」と呼ばれていて、端午の節句の行事食。
ところが何と、南と北では、灰汁を作る木も包む葉も、まったく違う植物なのです!!

山形では、ナラの木が最高、ブナやトチでもいいそうです。
そして、九州ではモウソウチクの皮(タケノコが出るときにかぶっている皮)で包みますが、
山形では、クマザサを何枚も重ねて使います。葉っぱが小さいので、1個ずつが三角錐でお握りサイズ。

気候風土が違うから、自然に生えている草木も違う。
それを上手に利用しつつ、北と南で同じ料理を作っていたなんて。ほ~んとに、不思議です。

味は…? すこし硫黄のような香りがして、風味は同じような感じです。
ただ、両方とも灰汁の加減がポイントなので、作り手によって味が違うように思います。

パワフルな農家の女性が集合!

2011-03-10 02:32:27 | 野良あるき
農村に住んでいないと、全然なじみがないかもしれませんが、日本の各市町村には、
農地を守り、地域農業のために働く「農業委員」という、市町村議会議員のような仕事があります。
議員さんとまったく同じく、3年ごとに選挙で選ばれます。もっとも、選挙権があるのは農家ですが。

それなりの経営と人徳のある農家が務める名誉職の一面もあり、昭和29年の制定以来、男性の聖地だったのを、
この10年ほどの間に「農業人口の半分は女性でしょう!がんばる女性を農業委員に!!」との動きが。
いってみれば、農村の旧弊を破って、ようやく女性の真価が認められるようになってきているのです。

  

とはいえ全国の女性農業委員は、まだ全体の4.7%、約1400人。
年に1回の全国シンポジウムが、きのう東京で開かれ各地から女性農委が集まりました。
地域の農業をリードする女性たちばかりとあって、議論百出、とにかくすごく熱いです。
そして、「明るい日本の未来のためには、もっと女性の農業委員が必要。力を合わせよう!」と、
女性農業委員の全国組織が、きのう発足したのでありました。パチ、パチ、パチ

会場のうしろには、彼女たちが作っている農産物加工品がズラリ。
さすがに女性の底力です。女が元気 イコール 美味しい、なんです。

瀬戸内海、アマモの石風呂

2011-03-09 02:33:44 | 浜あるき
広島県竹原市、忠海駅の近くに「国宝にしてもいい!」ような、すんごいお風呂があります。
海っぺりの洞窟に掘られた岩穴の床に、直接ガンガン焚き火をして岩ごとあっため、
炭と灰をかきだしてから、海水を含ませた藻を敷きつめる、一種のサウナ風呂です。

もともと温泉がわいていない瀬戸内海沿岸には、中国四国合わせてたくさんの石風呂があったそうです。
それが、今では4つに減り、そのうちの3か所はイベント時のみの営業。
日常的に、日帰り入浴施設として営業しているのは、ここだけ。最後の1か所!!!です。

  

端っこの小屋が脱衣所。手前の岩山の中にお風呂があります。
岩穴は戦時中の、軍事用運搬船の秘密格納庫。戦後に、先代がお風呂にしたそうです。
穴は2連になっていて、火を焚く「あつい方」と、熱い空気を送り込む隣の「ぬるい方」があります。
水着に着替え中に入ると…、一瞬息がつまる熱さ。藻から上がる湿気が雲みたいに見えます。1分で汗だくに…。
でも、藻の香りがただよい、うす暗くてなんだか胎内のようでもあり。“癒し”の空間ですね、これは。



焚きつけは、近隣の山のシイやカシ、マツなどの剪定枝。ガスや石油は使いません。
「お百姓さんにしばってもらう」のを買うそうです。この調達がまず大変。
もっと調達に苦労する、しかしいかにも瀬戸内海らしいのが、熱くなった床に敷きつめる藻のアマモ。

  

アマモは最近、海の自然再生のキーワードになっているので、ご存知かも。
浅く穏やかな内海に生える藻ですが、海藻ではなく、イネに近い種子植物「海草」。
アマモが茂る藻場は別名「海のゆりかご」といわれ、生き物の産卵場所や隠れ家です。

かつて瀬戸内海沿岸は一面の藻場で、船が立ち往生するほどでしたが、埋め立てと濁りで急激に消えました。
今、アマモの海を取り戻そうと、自治体や漁協、環境団体などが、種まきや苗移植に懸命に取り組んでいます。
そのアマモを、惜しげもなく刈り取ってお風呂に敷きつめるとは、何たるぜいたく!!
近くの安芸津に豊かな藻場があって、夏に1年分を刈っても、翌年にはまた元通り回復しているそうです。

ご主人ご夫妻が、超がつく好人物で、お茶を飲みながら色々とお話を聞かせてくださいました。
すべての作業を1人でこなすご主人は70歳。後継者はありません。
「あと5年で終わりだな。スーパー銭湯がこんなにできたから、経営はギリギリだよ」。

海山両方の自然の恵みで成り立つアマモ風呂。自然のバロメータともいえるのでは?
これは日本人の宝ですよ~。
文化財に指定してでも、何とかして守り続けないといけないのではないでしょうか?

広島の酒どころ、西条

2011-03-08 02:35:56 | 街あるき
この週末は東広島市で仕事。西条に1泊しました。
東海道の京都から西にのびる、西国街道(旧国道2号線)沿いに、造り酒屋が8軒も!!
西条は酒どころなんです。
そのわけは、豊富な湧き水。

  

それぞれの蔵が湧き水の井戸をもっていて、その水でお酒を仕込む。
蔵によって、水の味が違うという説もあるそうです。
各蔵の前には、その水のおすそ分けが。いいなあ~、こういう町。

地下水なのであったかい。すくって飲むと…、うわーなめらか、やわらか。
“東京水”もわるくないとわたしは思っていますが、一生の間に飲む水がすべてこんな水だったら、
やっぱりからだも人生も変わってくるのじゃないかと、ふと考えてしまいます。

広島のお好み焼き

2011-03-08 02:34:56 | 街あるき
西条は、酒蔵が並ぶいい町並みだったので、
各蔵の新酒を飲み比べつつ、地元の美味いものでしっぽり…、を期待したのですが、
運に恵まれなかったようで。

当て外れの1軒目を早々に引き上げたあと、“しっぽり路線”をキッパリあきらめ、
若い兄ちゃんたちが元気に営業しているお店で、お好み焼きを。

  

広島風のお好み焼き。苦手な生ネギたっぷりの創作風だけど(ネギはよけて)うまい!
で、翌日のお昼にも、今度は竹原の町のお好み焼き屋へ。



カウンターで焼いたのを、でっかいヘラに乗っけてテーブルの鉄板に移動。
なるほど、鉄板は必須なのですね。
昨夜とはまた違い「正統派」を味わえたような気がして、めでたし、めでたしでありました。

帰りは福山駅で買った駅弁のタコ飯。
JR西日本の「こだま」は、車体の線が黄緑色! 初めて気づきました。