満願
2015-01-12 | 本
今日も、朝起きるとちょっと積もっていて、昼間は曇り時々雪の寒い一日でした。父も休みだし、テレビを見たり、家で仕事をしたり、のんびり過ごしました。図書館で借りて、米沢穂積の「満願」を読みました。いろいろなところで今年のミステリ一位と紹介されていたので、読んでみました。6つの話からなる短編集です。どれもミステリーと思えない書き出しで、引き込まれて読んでいくうちに、思いがけない謎解きがあって驚かされるという、よくできた話でした。短編だし、そこまでいうほどでも、という気もしましたが、短い中にもどんでん返しがあり、1話づつ楽しんで読むことができました。
「夜警」は、夫が暴れているという通報を受けて駆け付けた交番警官が殉職するという話です。そんなぁ、という秘密が隠されています。「死人宿」は、昔の彼女を探して訪ねていくと、女が働く宿は自殺者が続く死人宿だったという話です。「柘榴」は美人母娘の話。美人女性が選んだ夫は、美男子だけれどだらしのない男。ついに愛想をつかし離婚することになり、娘の親権を争おうことになるが...。この話が一番ひんやりとして面白かったです。「万灯」は、エネルギー資源確保のため、インドネシアやバングラディシュで奮闘する商社マンの話です。仕事にのめりこむあまり犯した罪に、裁かる時が来る。これも怖い話で面白かったです。「関守」は、長く続く山道の峠にあるドライブインで、都市伝説の記事を書こうとする記者が出会う食堂のおばあさんの話。これは昔話のような怖いオチです。「満願」は、殺人を犯した女を、知り合いの弁護士が弁護しますが、彼女は控訴を取り下げ、懲役8年の刑に服します。服役を終え、満願成就を迎えた彼女の動機とは。