怒り
2015-04-19 | 本
今日は一日雨。午後から、かなりの土砂降りでした。図書館や買い物に出た以外は、家でのんびりテレビを見て過ごしました。図書館で借りて、吉田修一の「怒り」上下巻を読みました。今年の本屋大賞6位ということで、読んでみることにしました。上下巻で長いのですが、とても読みやすくて、一気に読み終わりました。文章が読みやすいし、先が気になって、どんどん読み進みました。「悪人」の作者ですね。「怒り」も映画化が決まっているようです。
冒頭で起こる殺人事件。その犯人を追う刑事。指名手配され逃走している山神。そこから、いろいろな人の話に飛ぶので、最初は戸惑いましたが、別々の場所でわけありの男と出会った人たち三組の物語が交互に語られていきます。東京でゲイの優馬が出会い、一緒に暮らすようになった直人。男に騙されて風俗で働いていた愛子と、愛子を連れ戻した父親の洋平が出会った田代。沖縄で暴行され傷を負った泉と、泉の友達の辰哉が出会った田中。いったい誰が山神なのか。
男に心をゆるしつつも、犯人かもしれないと疑いを抱き、葛藤する人たち。犯人であってほしくない、でも犯人かもしれないと思うと恐ろしい。登場人物たちと一緒に、ドキドキしながら読み進みます。そして、下巻後半で一気に明かされる真実。つらい結末もあり、救われない思いですが、その中でほんの少し救われる展開もあります。ただ、冒頭の惨殺事件については、すっきりしない読後感です。とても読みやすく、映像も浮かぶ物語でしたが、読んで良かったというほどではなかったかな。