今日は晴れたり曇ったり。栗をたくさんいただいたので、栗の皮むきを頑張りました。夜は、おいしい栗ごはんを食べました。図書館で借りて、辻村深月の「ハケンアニメ」を読みました。本屋大賞に選ばれて、一時期話題になっていましたが、なかなか読む機会がないままでした。図書館で見かけたので借りて読んでみました。アニメということで、なんとなく近づきがたかったのですが、読み始めてみたら、おっ、なんか面白いじゃん、と思って、そのまま、どんどん読み進みました。さすが本屋大賞です。本当に面白かったです。
アニメ業界が舞台のお仕事小説です。「ハケン」は、派遣ではなくて、覇権でした。覇権を取るアニメはどれか、競争の世界です。3つの話から成っていて、私は1話目がすごく好きでした。天才アニメ監督の男性と、プロデューサーの女性。変わり者の監督に振り回されながらも、仕事を愛し、アニメを愛し、スタッフを愛し、苦戦しながら作り上げる作品。読みながら、思わず応援しています。この1話目がすごく好きで、私的には、2話目、3話目と、だんだん好みからは離れていきましたが、それでも、最後までとても面白かったです。
2話目は、1話目で登場したライバル会社にスポットを当て、ライバル作品を作る期待の新人監督の女性と敏腕プロデューサーの男性という組み合わせの物語です。1話目では敵対視したライバルも、そちらの視点に立てば、また違った顔が見えてきて、これも面白い。そして3話目は、1話目と2話目にも登場した人気アニメーターの女性が主人公です。絵を描くのが好きで、誇りを持って仕事をするアニメオタクが、アニメの舞台となった田舎を聖地巡礼するブームで、地元の活性化に期待をかける公務員と出会い、人生が変わっていく物語です。
そして最後に短い最終章がついて、それぞれのその後が語られますが、ここでも1話目の監督とプロデューサーのやりとりが、一番好きでした。とにかく登場人物の女性が、みんな、アニメを愛し、仕事を愛し、失敗したり、壁にぶちあたったりしながら、懸命に働いています。そのすがすがしさが、後味のいい読後感につながります。アニメ業界のことも、ちょっと分かって面白かったし、でも、アニメに興味がなくても、全然楽しめる物語でした。とにかく面白くて、読んで良かったです。